2024/10/27 14:36:04 更新【車検整備】ハーレーダビッドソン XL1200S スポーツスター車検ハーレーダビッドソン XL1200S スポーツ
車検のご用命でハーレーダビッドソン XL1200S にご入庫いただきました。

法定24か月点検に準じる検査を行い、各部を調整してから車検場に向かいます。 ヘッドライトの光軸が少しずれていましたが、微調整にて無事合格です。 入庫時からフロントフォーク(サスペンション)付近の汚れが気になっていました。 車検前にはさっと拭いただけだったのですが、検査場で走らせてみるとどうもフロントサスペンションの動きに違和感があります。 積載トラックへの積み下ろし時に気づきましたが、フロントフォークのオイルが漏れていまいた。 フォークオイルが漏れていても車検は合格しちゃうんです(笑) もっとも滲む程度ですから検査員も気づかないかもしれません。 フォークの汚れの時点でもしやと思い、周辺を良くふき取ったうえで検査場を走らせたので滲みを発見できたようです。 汚れたままだと気づきません。 オーナーはお気づきになられなかったのか… いずれにしても車検が終わったら早速修理です。

歴代ハーレーダビッドソンの車種の中では一番充実した足回りだと言われたXL1200S アメリカンクルーザーと思われがちなハーレーですが、実はスポーツスターシリーズはダート(フラット)トラックレースの常勝マシンのレプリカでもあります。 エンジンもビッグツイン系と異なりエンジンとミッションが普通のオートバイのように一体となってコンパクト化されています。 またビッグツイン系が1カムや2カムなのに対し、スポーツスターは4カムです。 1本のカムに1本のバルブを対応させ、高回転でスムーズに稼働させることを目的としています。 実はスポーツスターは低回転だけでなく、高回転を使うのも楽しんです。 XL1200Sのサスペンションはショーワ製のフルアジャスタブルタイプ。 他の車両では減衰調整機能なんてありませんでした。 それだけ走りに重きをおいていた車種だったのです。 フロントサスペンションはカートリッジ式です。 本来は定期的にフォークオイルを交換するのがベターです。 オイル漏れがあったときは故障と捉えず、オイル交換の良い機会だと前向きに考えましょう!

エンジンオイルとブレーキフルードも交換します。 ハーレーダビッドソンのオイルはドライサンプ形式。 エンジンとは別にオイルタンクが備わるタイプで、オフロード車にはよく見られます。 オイルの冷却や、エンジン自体のコンパクト化といったメリットがあります。 最低地上高をそれほど気を使わなくても良いオンロード車ではウェットサンプ形式が主流。 エンジン下部にオイルをためるオイルパンを備えます。 低重心化や、部品点数を減らしてシンプル化することができます。 通常、ドライサンプ場合は古いオイルを排出するためにはタンク側とエンジン側の2か所から抜く必要があります。 しかしハーレーの場合はタンク側からしか抜けません。 従ってエンジン側には必ず古いオイルが残ってしまいます。 だからこそ定期的ではやめのオイル交換をしたいものです。 この年代のハーレーのブレーキフルードはシリコン系のDOT5 現在主流のグリコール系フルードとは異なります。 これらのフルードは絶対に混ぜてはいけません。 くれぐれも注意してください。

プラグも交換します。 プラグメーカーによる交換推奨のタイミングは5000キロ毎です。 これは常用回転域が高いオートバイだからこそです。 普通自動車に使われることの多い両貴金属タイプの白金プラグは10万キロが交換推奨です。 残念ながらオートバイに適合するものはありません。 片貴金属タイプの白金やイリジウム合金を採用したプラグや一般プラグの場合、普通自動車の交換目安は15000〜20000キロ毎。 軽自動車なら7000〜10000キロ毎で、オートバイは5000キロ毎です。 排気量が小さくなるほど常用回転域が高くなります。 常用回転域が高くなればなるほど、プラグの点火回数が多くなるわけですから交換時期が小排気量程早くなるのは当然のことです。

多くのハーレーダビッドソンと異なり、XL1200Sはツインプラグを採用しています。 他のスポーツスターシリーズはシングルプラグですが、XL1200Sだけは1シリンダー(1気筒)あたり2本のプラグを備えます。 これにより低回転域でのトルクが増大…とメーカーは言っていましたが、実際のところは排ガス規制への対策のような気がします。 いずれにしても2気筒のXL1200Sですが4本のプラグを交換します。 通常のハーレーダビッドソンのプラグ交換は簡単で、車体左側からエンジンを見ればプラグを確認することができます。 XL1200Sで追加されたもうひとつのプラグはエンジン上部から脱着をする必要があり、その為には燃料タンクを外す必要があります。 フロントシリンダー側はタンクとイグニッションコイルをずらせば何とか交換できますが作業性はよくありません。 リアシリンダー側はより困難です。 こういうときは手間のように見えてもタンクを外して作業をします。 急がば回れですね。

タンクをおろす(外す)手間はあるものの、プラグ交換の作業性は格段に良くなります。

実は今回のXL1200Sは前回のプラグ交換から3000キロ程度しか走っていません。 その為、プラグの消耗という点では交換は不要なのですが、プラグの金属部分の錆がひどくなっていました。 もちろんエンジンに刺さっている部分(エンジン内部)は錆びていることも無く、機能的にも問題ありませんが、このまま錆が侵食していくとネジ山部分も腐植しそうです。 そうなってしまえばプラグの脱着も困難になりますし、プラグホールのネジ山も傷めてしまいます。

新旧プラグを比較すれば一目瞭然です。

プラグ交換を終えれば今回の車検整備は完了です。 車検は重量税が年式により3,800〜5,000円です。 これに審査料と検査料の非課税法定費用が1,800円。 自賠責は2年毎に更新しますので、その費用が8,760円(年度ごとに自賠責保険料は見直されます) これらが一般的に法定費用といわれるもので、14,360円から15,560円です。 車検をご依頼いただいた場合、当店は法定費用に加え車検点検整備料として11,000円を頂戴します。 この費用には24か月法定点検に準じる検査を実施し、車検に必要な光軸調整や排ガス濃度の調整を行います。 これに加え検査手続き代行費用として22,000円を頂戴し、陸運局にて検査を受けます。 もちろん書類作成などの手続きもすべてこちらで行います。 合計で47,360円〜48,560円です。 車検時には車両の洗車も行いますし、最後にはガラスコーティングも施工。 ドライブチェーンを含む各部の調整や注油、グリスアップも車検点検整備料に含まれますが、オイル交換やプラグ交換等のご用命があれば、それらが追加費用になります。

車検は最短で2泊3日のお預かりで、基本的には1週間のお時間を頂戴すると助かります。 車検満了日の1ヵ月前から継続車検を受けることが可能で、ご依頼は完全予約制となっています。 車両をお預けいただいた際に、ご希望のお客様にはお帰りの足代わりとなる代車も無償でご用意します。 どうぞお気軽にご用命ください。
対象車両情報
- メーカー・ブランド
- ハーレーダビッドソン