金属風のガルバノフィニッシュが施されたサイドカバーやツートンカラーのシート、新形状のエアボックスカバーとイグニッションロックカバーなど、2016年型で外装を中心としたマイナーチェンジを受けたF700GS。すでに海外のウェブサイトで、電子制御システムやマフラー形状などを一新した2017年型の概要が公開されていることを考えると、過去のBMWに前例がない2年連続の仕様変更は、何となく不思議な気がするものの、この事実を深読みするなら、BMWにとってのF700GSは、相当に重要なモデルということになるのだろう。
と、他人事のように書いてみたけれど、F700GSは僕にとっても相当に重要なモデルである。しなやかなスチール製トレリスフレームや、絶妙の安定性を発揮するフロント19インチホイール、あえて出力特性を穏やかに設定した並列2気筒エンジンなどを採用するF700GSには、GSシリーズの原点にしてアドベンチャーツアラーの始祖である、1980年代初頭のR80G/Sに通じる万能性と優しさが備わっているのだから。ちなみに、世の中にはF700GSを初心者向け、あるいは小柄なライダー向けと考えている人がいるようだが、僕としてはこのモデルの本当の価値が理解できるのは、酸いも甘いも知り尽くしたベテランではないかと思っている。
なお日本市場では、足つき性に配慮したローダウン仕様がスタンダードになっているF700GSだが、このモデルの本質を味わいたいライダーは、本国仕様と同等のスペックを持つハイラインかプレミアムラインを選んだほうがいいだろう。
|