水冷エンジンを搭載するカワサキの新世代『Z』シリーズとして2003年に登場したZ1000のダウンスケール版として登場したZ750。手ごろなサイズと扱いやすいエンジン特性により世界的にヒットしたミドルネイキッドである。そのZ750の後継として5年ぶりにフルモデルチェンジを施されたのがZ800だ。
よりアグレッシブに、そしてスタイリッシュに華麗なる変身を遂げた。日本の伝統的なネイキッドとは異なる低くワイドなハンドルバーや高いシートは、むしろストリートファイター的なライポジである。
ショートサイレンサーが奏でる排気音はやや大きめで賑やか。ひとたび右手を捻ると一段と高鳴るサウンドとともに景色の流れが変わる。ただ、加速感は思ったよりスムーズで、外観からイメージしていたドッカンパワーとは逆の印象。FIの調律も緻密でむしろジェントルだ。
キャラが一変するのは高回転域だ。8000rpmのトルクバンドを境にスロットルレスポンスは鋭くリニアさを増していく。カワサキが誇る直4エンジン伝統の2次曲線的ともいえる伸びやかな上昇感が味わえる。
ハンドリングもどちらかというと安定志向で、ほど良い重量感を感じながら穏やかに倒し込んでいける。意外にも素直なキャラだ。ただ、ブレーキについて、制動力は十分だが個人的にはフロントのタッチにもう少し手応えが欲しい感じもした。
従来型のZ750に比べて、外観だけでなく乗り味も明らかにグレードアップし、コストバリュー的にもお買い得感がある。シート高さえ苦にならなければ、誰にでもおすすめできるマシンだ。
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