ここ数年、飛ぶ鳥を落とす勢いのKTMのラインナップにおいて、ツーリングに特化したモデルがアドベンチャーシリーズ。現在4機種をラインナップしているが、この1050は、シリーズの末弟的存在。発売以来、必要最小限の装備と軽快さを重視した車体により、初心者でも楽しめるアドベンチャーとして、エントリーユーザーからも定評のあるモデルだ。
一見するとシリーズの中間モデルである1190とほぼ同じ車格で、車重も同じ212s。だからその存在意義を懐疑的に見てしまうが、実際に乗り比べると1050のほうがかなりマイルドで乗りやすい。その要因のひとつがボアダウンされたエンジンだ。1190は9500回転で最高出力(150馬力)を発生しているのに対し、1050は95馬力の最高出力を6200回転で発生、最大トルクも1190が7500回転、1050は5750回転と圧倒的に低い。この低中速域寄りのセッティングこそが1050に親しみやすさを与えているゆえん。パワーが抑えられているからといっても95馬力もあれば通常の使用では充分にパワフルだ。
KTM特有のカチッとして軽やかな操作系統やABS、トラクションコントロールといった電子制御デバイスもしっかりと装備。高速、ワインディング、ダートと日本国内の旅では狭さを感じるほどのポテンシャルを秘めていると言って間違いない。その上で車体価格は1190の195万円に対し、1050は150万円という設定。性能も価格もアドベン初心者には必要にして充分な仕上がりの1台である。
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