天才設計者マッシモ・タンブリーニによって造り出された初代F4。世界一のスポーツバイクを目指し、排気量750ccで誕生したそれは、見た目だけでなく、走りの世界でも多くの人を魅了してきた。
そのF4がついにフルモデルチェンジを敢行。直4エンジンをトラスフレームに搭載するという基本構成こそ同じだが、すべてが新しく生まれ変わった。
そのもっとも大きなトピックは、電子制御面で著しく進歩したことだろう。
新しいリッターエンジンは、柔軟にして扱いやすく、かつライダーの意思に対してダイレクトにトラクションを路面に伝える。しかも、高回転域だけでなく、中高回転域のトルクも国産マシンを凌ぐ高性能ぶり。昨年秋に登場した新型ブルターレと基本を共用するも、ほとんどの部分を見直し、バランサー軸を取り払うなど、ほぼ専用で設計されている。そのため、エンジンフィールが直接伝わってくるような印象だ。
サスペンションは比較的ソフトな設定で、マシンの姿勢変化を生かして乗りこなすことが要求される。それだけに、コーナーが連続する場面では、リズムに乗れないと、うまく走らせることができなくなる。だが、リズムに乗って、華麗にコーナーを舞うことができたときの面白さは最高である。
何より、フレームのルーツはタンブリーニ設計のトラスタイプだけに、マシンと路面の状態がダイレクトに伝わり、マシンの表情はじつに豊か。剛性バランスの良い車体は、シャープなハンドリングを備えながら、安定性も申し分ない。
さらに、新採用された8段階調整式のトラクションコントロールシステムは、介入度を高めていくにしたがい、リヤの挙動が安定して行く。これにより誰もがあらゆる条件で、パワーを使い切る面白さを満喫できるようになっている。
ニューF4は、芸術的要素だけでなく走行性能に関しても、世界最高峰のスーパースポーツなのであった。
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