パッと見では、先代のGSR750にGSX-S1000風の外装を与えただけ・・・と思えるGSX-S750。とはいえ、このモデルは単なる着せ替え仕様ではないのだ。
GSX-S750の美点で僕が最初に力説したいのは、質感の向上である。先代のGSRは細部の作りにコストの制約を感じたのだが、GSX-S750はそういった気配がほぼ皆無。中でも、新作のスイングアームとホイールはスタイリッシュで、限られたコストの中で、よくぞここまでの改革を行なったものだと思う。
続いて力説したいポイントは、乗り心地の向上と接地感の増大だ。車体寸法や前後サスの見直し、ブリヂストンS21の導入などが行われたGSX-S750は、足まわりの動きが明らかにGSRより上質。ABSとトラコンの作動も自然で、これぞメーカーチューニングのお手本!と言いたくなる乗り味なのである。
そしてその印象は、6馬力の出力向上を実現すると同時に扱いやすさを増したパワーユニットにも言えることだった。クランクケース内にベンチレーションホールを追加し、吸排気系の刷新を行なったGSX-S750は、パワーデリバリーがスムーズになっただけではなく、高回転の振動が大幅に低減されているのだ。
実際にGSX-S750を購入する際に、悩みの種になりそうなのは、+16万2000円で購入できるGSX-S1000の存在だ。車格と車重が同等で、パワーが36馬力多いことを考えれば、兄貴分にグラッと来る人が多いかもしれない。とはいえ、エンジンをきっちり回してスポーツライディングが満喫しやすいのは、弟分のナナハンのほうである。
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