イタリア・ベネチアに本社を構えるアプリリアは、モト・グッツィやベスパなどの欧州ブランドを統括するピアッジオグループの中核ブランドだ。これまでスクーターやスポーツバイクに特化したイメージの強かったアプリリアだが、昨年秋にリリースした初の本格ツアラーがこのカポノルド1200だ。
RSV4を思わせるマスクだが、ツアラーらしさとアプリリアのスポーツイメージを融合させたデザインは非常にスタイリッシュ。車体は見た目の印象そのままに決して軽くはないが、高度な電子デバイスが組み込まれたVツインエンジンは、260kg超の車体を軽く感じさせるほどパワフル。パルス感やサウンドでVツインらしさをこれみよがしにアピールするわけではないが、淡々と長距離を走る道具として考えれば、理にかなった味付けと言えるだろう。
アプリリアお得意の電子デバイスはトラクション&クルーズコントロール、ダイナミックサスペンション、ABSと非常に充実している。直感で操作しづらいインターフェースは慣れが必要ながら、雨天での試乗となった今回はその緻密な制御の恩恵に預かることができた。
ハンドリングは低中速でやや切れ込むような傾向を見せつつも、基本的にはSS顔負けのスポーツライクなもの。ロードのツーリングであれば、ハイペースでワインディングを駆け抜けることも可能な性格だ。
パニアケースの使い勝手やタンデムシートの居住性など細かな部分ではやや不満も残るが、アプリリア初のツアラーと考えると、その完成度は非常に高い。改めて同社の技術力の高さを印象付ける1台である。
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