大幅刷新を受けた新型MT-09に乗るにあたって、僕が興味を抱いていたのは、やんちゃで過激な初代に対して、どのくらいのマイルド化が図られるかということだった。もっとも、ヤマハからそういった発表は一切ないのだが、兄弟車のトレーサー/XSRのフレンドリーさに感銘を受けた僕は、新型09は軌道修正を行うはず、と感じていたのだ。だがしかし、実際に乗った新型は・・・。
相変わらずだった。ひとたびアクセルを開ければ、簡単に前輪の接地感が希薄になるし、逆にフロントブレーキを強めにかけると、後輪が路面から離れそうな気配を感じる。一般的なライダーにとって、このアグレッシブさは悩みの種になるだろう。ただし、意外にも新型では、そういった感触が違和感につながらなかった。その理由は、今の僕がトレーサー/XSRの扱いやすさを知っているから・・・のような気がするが、この日の僕は09のやんちゃさと過激さを、大いにアリ!と感じたのだ。
さて、前フリが長くなったけれど、'17年型は爽快感という面で明らかな進化を実現していた。僕が特に感心したのはクイックシフターとアシスト&スリッパークラッチの出来の良さだが、吸排気系の刷新で吹け上がりが官能的になった並列3気筒エンジンや、ダンパー全体の存在感が増したフロントフォークも、新型を語るうえでは欠かせない要素。
今回の試乗で09に対する印象は一変したものの、僕はこのバイクで長旅をしたいとは思わないし、万人に薦めるつもりもない。とはいえ、やんちゃで過激なストリートバイクを求めているライダーにとって、新型09は最高の選択肢になるはずだ。
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