旧型オーナーが乗ったら、おそらく、十人中十人が乗り換えを考えるだろう。それほどまでに全面刷新を受けた新型デイトナ675Rは、素晴らしいバイクだった。ただし、新型デイトナの魅力は速さだけではない。なんと新型デイトナは、ホンダCBR-RRやスズキGSX-Rなどを彷彿とさせる、優しさとフレキシブルさを身につけていたのである。
そう感じる一番の要因はシャシーだ。旧型のシャシーは基本的に高荷重域重視の設定で、中途半端な荷重しか与えられない状況ではストレスを感じることがあった。しかし、新型はどんな場面でも気持ちよく曲がれるし、SSらしからぬと思えるほどに乗り心地も良好。一方のエンジンに関しては、まずは中〜高回転域の吹け上がりが鋭くなったことや、旧型に存在した7000rpm付近の谷が解消されたことなどを褒めないわけにいかない。けれど、僕が新型で最も注目したいのは、スロットルレスポンスの見事な調教だ。旧型はこの点に関してラフな部分があったのだが、新型はいついかなるときも従順。だから乗り手はどんな状況でも、欲しいときに欲しいだけの力を過不足なく引き出せるのである。
奥行きと間口の両方をググーッと広げたというのが僕の新型に対する印象で、この乗り味ならSS初心者からエキスパートまで、どんな人が買っても後悔することはないと思う。いや、さすがにセパハン嫌いの人は、デイトナの兄弟車であるストリートトリプル85やRを選ぶべきかもしれないが、そういった好みはさておき、できるだけ多くのライダーに体感して欲しいと思うほど、新型デイトナは魅力的なバイクだったのだ。
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