82年に世界初の水冷V型4気筒搭載スポーツモデルとして登場したVF750シリーズ以来、実に35年もの間、進化熟成を重ねてきたのが現在のVFR800Fである。
その最新モデルでは、従来のスタイルを踏襲しつつも現代のスポーツツアラーとして求められる機能性をさらに充実させた。変更点としてはマフラー形状と内部構造の見直しにより最高出力を2馬力向上させるとともに、マスの集中化によるハンドリングの向上。また、新たに左サイドカウル部に電源ソケットを標準装備するなどの変更が加えられた。
端正かつスマートで上品なシルエットのVFR800Fは、まさに違いが分かる大人のためのスポーツツアラーである。ライポジはツアラーとスーパースポーツの中間ぐらいの前傾具合で、前後サスもソフトすぎず硬すぎずの程良い感じだ。
エンジンはホンダV4ならではのガッツあるパワーと精緻な回転フィールが特徴。7000回転を境に2バルブから4バルブに切り替わるHYPER VTECのターボ的な加速は他のモデルでは味わえない感覚だ。
ハンドリングは軽快だが、同時にどっしりとした安定感もあり、直線でもコーナリングでも地に足が着いたような安心感がある。サスペンションの動きもスムーズで、ブレーキも扱いやすくABSも頼りになる。電源ソケットは出先でのスマホ充電にも便利だし、従来からのETC車載器やグリップヒーターも含めて、スポーツツアラーとしての熟成を極めた感がある。普段使いから長旅まで、幅広いライダー層におすすめしたいモデルだ。
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