最近、クルーザーの人気が世界的に高まっている。それはデザインだけの問題ではなく、実際に走っても楽しいマシンが増えてきたからだ。この車両はその典型的な例。普通に走るなら、スポーツバイクより面白いんじゃないかと思ってしまう。
その理由は、ビッグツイン独特の鼓動とトルク。高速道路だったら、法定速度あたりが実に楽しい。スロットルを開けた瞬間、ドッドッとシリンダーの中の爆発によって車体が押し出されるのが分かる。騒音規制で音は静かだが、ライダーが鼓動を感じられる演出が、ホンダはとてもうまい。
それに回転を上げなくても、トップホールドのまま加速していく頼もしさというものは、堂々としていておおらかな気持ちになる。ギャンギャン回転を上げて走るスポーツバイクとは、まったく別な楽しさがある。(もちろんスポーツバイクの加速もアレはアレで楽しいのだが……)。
ハンドリングも素直。バンク角は知れているから、交差点などでちょっと思い切ってバイクを倒すと、簡単に色々な部分が接地してしまう。その代わり浅いバンク角でもマシンが良く動く。つまり普通に走っているだけなら、大きな車体に似合わずけっこうキビキビ走ってくれるのである。
2人乗りもしてみたが、マシンが安定しているから、とっても楽。大事な人を乗せた時、マシンをフラフラさせる、というところは見せないで済むはずだ。これ、人によっては、とっても大事なことだと思う。
そしてマシンを止めてヘルメットを脱ぎ、眺めてみれば美しく仕上げられキラキラと輝くメッキパーツと大きく質感の高い車体が目に飛び込んでくる。このマシンに乗って良かったなとオーナーが思う瞬間だ。
つまり、VT1300っていうのは、マシンも格好良いが、乗りやすさとか、エンジンの特性とかで、乗り手まで格好良く見せることができる。こういうバイクっていうのは、大人の趣味の乗り物としてとっても魅力的だと思うのである。
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