ハッシュタグ 道標のカスタム・ツーリング情報94件

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    「道標」の投稿は94枚あります。
    道標フィクションバイク小説不定期連載超ド級妄想 などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例など道標に関する投稿をチェックして参考にしよう!

    道標の投稿写真

    道標の投稿一覧

    • W800W800 さんが投稿したツーリング情報

      2021年08月11日

      165グー!

       今日は、2回目のワクチン打つ日なので熱でて動けなくなる前に早朝近場トコトコツーリングにて月ヶ瀬周辺に😊 
       昨日交換したイリジウムプラグの変化、体感はできませんでしたね😊
       フロントブレーキは、交換して摩擦剤の残量が増えたので手前から効くようになりましたね。😊
       朝7時に、湖畔の里月ヶ瀬によったのですが、かなりの数のバイクいてましたね🏍
       柳生街道から月ヶ瀬、上野南山城線のクネクネコースを満喫して、163号線にて帰宅。
       早朝は気持ちいいですね😊

      #kawasaki
      #W800
      #バイクのある風景
      #バイク
      #ツーリング
      #ツーリングスポット
      #兵庫県
      #奈良県
      #国道307号線
      #国道163号線
      #カワサキ
      #W650
      #バイクが好きだ
      #柳生街道
      #峠
      #デカンショ街道
      #国道369号線
      #針テラス
      #やまなみロード
      #山スポット
      #オートバイ
      #単車
      #旅行好き
      #ソロツーリング
      #マスツー
      #道標
      #滋賀県
      #京都府
      #名阪国道
      #国道25号線
      #月ヶ瀬
      #曽爾高原
      #国道166号
      #高山ダム
      #w400
      #エストレヤ
      #TheOriginalIcon
      #国道168号
      #鈴鹿スカイライン
      #ロケ地巡り
      #高野龍神スカイライン
      #宇治川ライン
      #天ヶ瀬ダム
      #永源寺
      #琵琶湖
      #周山街道
      #大阪府
      #三重県
      #奈良名張線
      #奈良公園
      #国道24号線
      #笠置
      #南山城
      #和束
      #ロード
      #街道
      #国道
      #テラス
      #山
      #川
      #廃校
      #車
      #旅行
      #ソロ
      #旅
      #和歌山県
      #十津川
      #酷道
      #険道
      #トンネル
      #橋
      #高原
      #府道
      #ダム
      #w
      #聖地
      #龍穴神社
      #奈良ニュルン
      #高畑
      #柳生

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月21日

      77グー!

      【あとがき】

      皆様、「道標」を読んで頂き、ありがとうございました。
      既にご存知かとは思いますが、物語の中で出会いを構成するにあたり、モトクルにいらっしゃる方の中からプロフィールやエピソードがストーリーにマッチした方を模して、登場人物とさせていただきました。
      勝手させていただき、申し訳ないと共に、盛り上がっていただき、大変感謝しております。
      これ自体、モトクルならでは?
      愛車を乗り換えられた方や、モトクル自体を退会された方もいらっしゃるかもしれませんが、心当たりがある方は、以下のリストから探してみてくださいね。

      なれびん様 いっちゃん様 マリン後輩様 まっつん様 ザ・シュベール様 ぷっぴ様 たけ様 オッス!オラ聖二!!様 チャッピィ様 Ooka様 さいせん様 ナース様 ろく様 kimu_freedom (FXDWG)様 ヒロキ様 クロヒョ様 oiwa様 おかずdeナイト様 あき様 やんも様 カメちゃん(Gifu XJR1300)様 F R S様 フェルディナント様〈挙手ありがとうございます〉 黒騎士様 ぴー太郎(^^)v様 お  だ づ様 アッキー様 ハードw様 hammer様 なか。様 MA-SA様 Yassu-1〜美容室 結ノ葉〜様 よーぢ様 寿司様 shintarou様 走れ防災屋様 ちこ様 GUNBOY様 Yuji様 s t a r 5 5 1 2 1 5様 beerboy様 もともと様 いきはる様 T様 におさん2様 はなみず様 羽柴しんちゃ様 みゆちゃん様 じゅんくん様 レッドショルダー様

      実は若かりし頃から、「旅の小説を書いてみたい」という思いは抱いており、北海道の旅から帰った後、その記憶を基に書き綴った事があります。
      でも、当時はまだインターネットも普及しておらず(してたのか?)、発表する術もわからないまま。
      「コレを誰が読むの?」と思ったら、その後はもう続ける事が出来ませんでした。

      それから長い年月が過ぎ、ここに自らの様々なエピソードを記している中で、多くの方から文面に対するお褒めの言葉をいただき、もう一度真剣に描いてみようという思いに至ったのです。

      この日本縦断の長いストーリーを創り上げるのは、モトクルにいらっしゃる皆様のプロフィールやエピソード無くしては、成り立ちませんでした。
      もし不快に感じられた方がいらっしゃったなら、申し訳ありません。
      そして、プロフィールやエピソードをお借りした皆様はじめ、読んでくださった全ての方に、感謝の意を表して「道標」を締めたいと思います。

      #道標 #フィクション #バイク小説

      【告知】
      性懲りもなくやります。
      近日スタート!!

      「古都×カブ物語」
      京都に居ながらにして京都をよく知らない帰国子女の主人公が、ひょんな事から出会ったスーパーカブと共に“京都の謎や不思議”を探求する、短編シリーズ。
      これを読めば、京都ツーリングの楽しさ倍増?


    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月20日

      68グー!

      あれから1年。
      ここは鈴鹿サーキット。
      目の前を、ライムグリーンを身に纏った4気筒マシンが駆け抜ける。

      旅から帰った翌日…
      「怒らないでね。ううん、怒らせないよ! 言ってもいい?」
      「何だい?」
      「私ね、あなたがいない間に…ほら!」
      普通二輪? 免許取ったのか‼︎
      「そうか! 怒る訳ねえよ」
      「じゃあ、おねだりさせて。私の知らない所で若い女の子と楽しんだんでしょ? うふふ…」
      「あれは…ははは、しょうがないなぁ」
      何をねだるのかと思えば、ZX25Rだ。
      またドえらいヤツを選んだものだ。
      そして今、妻は鈴鹿でライディングスクールを受講…

      「お疲れ様! 奥さん、上手くなったね」
      「わぁ! ありがとう!」
      「へぇー? そうかぁ? まだヘッピリ腰じゃねえの?」
      「またそんな事言ってぇ! もう…」
      妻が参加するグループを先導してくれたのは、オーセンティックカラーのMT25を駆る友人だ。彼もサーキット走行会には足繁く参加し、実力を身に付けてきた。
      このスクールには、まだスタッフが少ない。 
      上級グループから選抜で先導者に任命されたのだが、彼の腕なら納得だ。
      「後、めっちゃ走りやすいの!」
      妻も満足げだ。

      「やあ!」
      「久しぶりですね。スクール開校おめでとうございます」
      「ありがとうございます」
      かつてピットクルーとして俺のレースに参加してくれていたこちらの男性は、浜松のショップで会った時、このスクール開校について熱く語っていた。
      京都に戻り、俺の師匠と手を組んで、夢を叶えた。

      「ところで、そろそろ走ってもらっていいですか?」
      「やっぱり俺? でも、ZXは妻のだし、エストレヤじゃステージが違うでしょ」
      「言うと思ったんですよ。実は店長に言われて、最高のマシン用意したんですよ。ほら、あれ」
      甲高いサウンド、サイレンサーから吐き出される白煙。
      「RS250R?」
      「あの時のマシン、店長、大事に残してたんです。是非!」
      殆ど無理矢理のようだが、ハンドルを握らされた俺も胸が熱くなった。

      「今から、元全日本ライダーのデモ走行入ります!」
      しょうがねえな…などと言いながら、満更でもない自分がいる。
      何年ぶりだろう? 
      跨った瞬間に、あの感触が蘇る。
      少し慎重にクラッチを繋ぎ、コースへ。
      頗る調子の良いエンジン。
      きっと、俺の癖まで覚えていてくれたのだろう。
      プリロードやダンパーからファイナルレシオまで、俺の好みにセッティングされている。
      さすが師匠だ。

      パーーーン パンパン パーアアアーーーーーン!!!
      フロントが浮き上がりそうな加速。
      タイトでコンパクトな南コースでは、あっという間に周回を重ねてしまう。

      パアアアーーーン!!

      「うおー‼︎」
      「速えーーー‼︎」
      「凄い! 彼、こんなに速いのね!」
      「そりゃもう! だって、国際A級ですよ」

      全力で走った訳ではないが、安全性への配慮が行き届いたサーキット走行は、とても熱い。
      15分のデモ走行を目一杯楽しみ、マシンを降りた。
      「じゃあ俺達、帰ります」
      「お疲れ様! また参加してくださいね」
      「ええ、こちらこそよろしく!」
      タイプの全く異なる2台のKawasakiは、一路京都へと向かう。
      明日からはまた仕事だ。

      道標。
      人は時に挫折し、進むべき道を見失う。
      そして、見落とした道標を探すべくもがき苦しみ、過去を振り返り、後悔する。
      過ぎ去った日々は変えられない。
      しかし、未来はこれから己自身で創り上げていける。
      未来への道標。
      それは知らず知らずのうちに己自身で示し、己自身でそれに従い、進んでいくものかもしれない。
      今俺は、新たなる道を切り開き、進み始めた。
      次の週末も、きっと妻と一緒に走るだろう。
      そのひとときを楽しみにしていれば、また一週間頑張れる。
      そんな平凡な日常が最高に素敵だ。

      帰宅して部屋に入ると、妻がクスクス笑う。
      「どうしたの?」
      「ほら!」
      棚に飾られた、一枚のイラスト。
      福岡から届いた贈り物。

      「今のあなた……そっくりね!」

           完

      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #似顔絵
      #旅をしよう
      #旅は人を成長させる
      #穏やかな風に吹かれてみよう
      #縛りを解こう
      #超ド級妄想

      この後、「あとがき」があります!

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月13日

      83グー!

      この旅も、残すところあと少しだ。
      実際のところ、200kmを超える道のりは決して近くはない。しかし、これまで走ってきた距離を考えると、ここから京都までは、あとわずかに過ぎない。
      早朝、彼に見送られ、加賀ICへ向かう。
      もう道中の殆どが見慣れた景色。北陸道〜名神で、一気に我が街・京都へ向かうのみだ。
      「ごめんな、仕事だってのに」
      「いえ、またいつでも来てください」
      「ありがとな」
      「気をつけて!」

      梅雨前線は太平洋へと南下し、大陸からの高気圧が晴れ間をもたらす。
      昨日の雨で空気は洗われ、バーチカルシングルが機嫌良さげに心地良いリズムを刻む。
      積み込んでいた食材は全て食い尽くし、幾分身軽だ。

      鮎釣りが解禁となり、釣り人の竿があちらこちらで弧を描く九頭竜川を渡り、福井を抜ける。
      左手の山には、眼鏡の大きな看板。
      峠に挑む手前の南条SAで、最後のガスチャージだ。

      今庄からは、2つの峠を越える。
      杉津では、敦賀湾の絶景を右に見て走る。
      賤ヶ岳を過ぎ、滋賀県に入る。
      近畿圏突入だ。
      左に伊吹山を望む。まだ日は東にいるので、山頂はやや霞む。
      この辺りにも友人がいる。落ち着いたら、また一緒に走りたいものだ。
      米原JCからは、いよいよ名神に入る。

      旅立ちは、妻が眠っている時間だった
      京都市内を抜けるとすぐに山間部に入り、孤独感が強かった。
      旅に勇気を添えてくれたのは、TE27を駆る男性だった。
      それなのに、姫路で出会った青年の呼びかけには応えられなかった。

      香川県をかすめ、再び本州を走った。
      あの夜、美味い飯をご馳走してくれた熱き男達。今、どうしているだろうか?

      九州は、阿蘇で出会った夫婦ライダー。
      妻と共に生きる事の幸せは、彼らが再認識させてくれた。
      フェニックスの木の下で話したライダーは、大自然の如く深い懐を持つ人こそが、より多くの人に愛され続けるものだと語った。

      職場の縦の繋がりは、職場だけのものと思っていた。
      そうじゃない。気持ち次第で、“友”となり得る。出会った旅のライダーにそんな事を教えられた、四国カルスト。

      あまりにも近くて足が向かなかった岸和田。
      仲間同士の連携で、グルメから景勝地へと俺を誘ってくれた。
      近いと思っていた和歌山は、思いの外遠く、新しい発見をもたらしてくれた。

      あの、釣りを楽しんでいた大柄の青年。
      今も竿を手に楽しんでいるだろうか?
      譲ってもらったアマゴの味が忘れられない。
      その翌日には、愛知県のライダーが、道の駅のグルメを教えてくれた。
      缶コーヒーから絶品フランク。
      わらしべ長者のようだ。

      長野県。俺の目の前で事故に遭った若者は、その後回復しただろうか?
      心からバイクを愛し、旅を夢見た彼の想いは、きっと叶うはずだ。
      そして、事故処理からビーナスラインでの“世直し”に立ち会ってくれた男性が呑ませてくれた、諏訪の銘酒。
      今まで様々な酒を味わったが、あの酒が俺の中では最高に美味だと思う。
      彼は元気だろうか?
      いや、きっと相変わらず、訪れる旅のライダーを高原の絶景ルートへ誘い、素敵な旅の思い出を提供している事だろう。

      俺にSLの迫力、力強さを教えてくれたライダー、富士山の絶景ポイントへエスコートしてくれたライダーも、きっと元気でいる事だろう。

      埼玉の美容室では、のちの旅に大きな影響をもたらす髪型に。
      この髪型だからこその、あの出会いだったのかもしれない。
      その美容室で、俺に東京へ向かう事を勧めたのは、何とも大柄だが人の良さげな男性だった。
      また、すれ違いざまに手を振ったのは、バイクの楽しみ方の概念を覆すかのような、笑顔あふれるポップな男性だった。

      鳥海山では、男兄弟同士の絆が見えた。
      まだ「裏切り」という言葉に縛られた脳裏を解きほどいてくれた。

      こんなにも沢山の、素晴らしい出会い。
      沢山の人に救われ、支えられ、いつしか俺は、知らず知らずのうちにひとりの若い旅人を救っていた。
      それは、間違いなく自らをも変える出来事だった。
      彼女と別れ、その夜話した警官が、俺の心の変化を知らせてくれたのだ。

      旅…
      何と素晴らしい。
      幾多もの美しい風景を目に焼き付け、今、見慣れた街並みを走り抜け、最も心を寄せる場所に帰ってきた。

      「ただいま」
      「おかえり…」

      玄関のドアを開け、目の前に妻が立っている。
      言葉にならない程の感情が溢れ、思わず彼女を抱きしめた。

      「ただいま…」
      「今…言ったよ」
      「………」
      「………」
      「ありがとう…」
      「うん………」

      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #京都へ帰ってきた
      #旅の終わり
      #旅をしよう
      #驚愕的妄想
      #不定期連載

      ※いよいよ次回、最終回!

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月10日

      68グー!

      「オイル交換、間に合う?」
      「すみません、もう終わりなんですよ…って、ええっ⁉︎」
      「ははは…いいよ。帰ったらショップに持ち込むから」
      「トラブル?」
      「いや、結構な距離走ったからね。点検を兼ねて」

      そこは、加賀温泉郷にほど近い町。着いた頃には、もう日が暮れかけていた。
      自動車整備士である彼もまた、ノサップ岬で会った彼と共にかけがえのない仲間だ。
      「アイツから連絡はありましたよ。まさかここに寄るとは思ってなかったけど。新潟? 舞鶴行には乗らなかったんすね」
      「舞鶴と敦賀は欠航だよ。若狭沖が大しけだってさ」
      「そうなんだ。確かに荒れたもんな。あ、もうすぐ帰るから、待っててもらっていいっすか? 飯、まだでしょ?」
      「ああ、ありがとう。じゃあ、せっかくだからひとっ風呂浴びてから行くわ」

      名湯・山代温泉で汗を洗い流すと、言われるままに彼の自宅にお邪魔した。
      「夜中に走るなんて危ないから、朝までゆっくり休んでください。てか、夜中になんか走らせませんよ! ははは」
      それはつまり、「呑め」という事だ。
      この長い旅の最後の宴は、良き仲間と過ごす夜となった。
      「モンスター買ったんだ」
      「良かったら、今度乗ってみて」
      「いやあ、転かしたらダメだし…そういえば、あのお坊さんも?」
      「CB1300をね」
      「みんな馬力あるなぁ!」
      「俺達もいい歳だし。やるなら今しかないでしょ」
      「またツーリングでも誘ってくれよ。エストレヤで付いて行けるかどうかわかんねえけど」
      「いや、俺達がエストレヤに付いて行けないっすよ」
      「な訳ねえだろ。あははは」
      気の合う仲間との会話は楽しい。
      だが、疲れているのも事実だ。

      「スッキリしましたね?」
      「俺か? ああ」
      「だって、去年なんか釣りに誘っても『仕事が片付かない』なんて言って、来てくれなかったもんね」
      「そうだったな。悪かった」
      「いや、悪いとかじゃなくて…兄さん、心配かけすぎっすよ。頑張りすぎ! でもこれで、また昔の楽しい兄さんに戻ってくれますよね?」
      「誓うよ。俺は…自分はこんなしょうがねぇ奴だけど、周りに救われてる。恩返しのために、まずは元気でいる事だよな」
      「ええ…」

      いつしか、2人して畳の上でそのまま眠ってしまった。
      彼は朝から仕事だ。
      俺も早いうちに出発しなければ。
      妻が待つ我が家へ向けて。

      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #加賀温泉郷
      #旅をしよう
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月05日

      113グー!

      時は流れ
      陽は 語りかける
      幾千キロの 長い旅路
      思い出を乗せて

      去りゆく時の中で
      描いていた夢は
      掴んだだろうか?
      手にしただろうか?
      問いかけてみても
      答はまだ見えないままで

      疲れ果てた身体を
      鼓動に預け
      伸ばした右手は アクセルを回す
      スピードは増して 黄昏の風になる

      やがて陽は落ち
      道が闇に包まれてゆけば
      夜明けまで眠ればいい
      必ず
      朝はやって来るから

      我が街へReturn to the West !
      暮らしの中でDream will change
      答はいつもFaraway
      夕陽が囁く
      Return to …

      Return to Kyoto !

      (※オリジナル曲『Return to the West 』より引用)

      雨上がりの北国路を走り、海岸へと飛び出した。
      目の前には、やがて沈みゆくであろう夕陽が、オレンジの光を放っていた。

      真新しいハンターカブが停めてある。
      さっきまでの低気圧の影響で白波が立ち、周りは、殆ど人影もない。
      ひとりの女性が、砂浜のゴミを拾っていた。
      たぶん、バイクは彼女のものだろう。

      何か出来る事を…
      彼女の行動に心は動く。
      俺には何か出来るだろうか?
      何をすればいい?
      いや、それも今となっては、愚問だ。
      考えれば考える程に、視野は狭まる。
      やらねばならない時に、やれる事をやるのみだ。そう、心の向くままに。
      出来る事は星の数ほどあり、そこに自分らしさが見えるはずである。
      俺の中の道標は、俺と、俺の周りの人達を、きっと幸せに導いてくれるはずなのだから。

      「ただ、綺麗な海が見たいだけなんです」
      物静かにそう語った彼女が、わずかな会話の中で最後に一言だけ、大きな声で笑顔と共に俺に向けて放った。
      「こんなトコで油売ってないで、早く帰ってあげなっ!」


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #旅をしよう
      #旅は人を成長させる
      #穏やかな風に吹かれてみよう
      #縛りを解こう
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年03月02日

      74グー!

      「あ、やべっ!」
      久しぶりのベッドがとても心地良く、目が覚めたら8:00を回っていた。
      朝食を食いそびれてしまった。
      身支度を整え、下船準備をする。
      周りの乗客達は、既に部屋を出ていた。長距離フェリーの到着時刻は、少し早まるのが常なのだ。
      そして、予想通りの雨。
      レインウェアを着て、滑りやすいスロープを慎重に降りた。

      「あの〜、この辺で飲食店って…」
      「あ〜、どこも11:00からでしょ。今開いてる店ってねぇ」
      そりゃそうだ。いちいちレインウェアを脱ぎ着するのも面倒だが、とりあえずはコンビニでパンでも買って、昼まで待たせるしかないか。
      「あの、ちなみにここから2時間ぐらい走るとしたら、どこまで行きますかねぇ?」
      「2時間だったらお店も開きますね。う〜ん、そうですねぇ、長岡辺りかな。飲食店は多いですけどね。あ、そうだ。長岡行かれるんでしたら、牛骨煮干しラーメンなんていかがです? 雨に濡れた体、あったまりますよ。牛骨と魚粉から取ったスープに、もやしの甘味が加わって…」
      なんと見事な食レポだ。
      ここまで詳しく教えてもらえると、本当に食べたくなってしまう。
      「何度か行かれたんですか?」
      「ええ。僕もバイク乗るんで、ひとっ走り」
      「相棒は何です?」
      「CBR250RRですよ」
      「じゃ、本当にひとっ走りだ!」
      今から走れば、ちょうど昼時だ。混んでなければいいが。

      「野菜味噌って言ってたか? 雨で少し冷えたからちょうど温まって良いかもな」
      新しい店なのだろうか? その外観はとても綺麗だ。
      「にく?」
      「チャーシューの事を、この店では『にく』って呼んでますね。もう、本当に“肉”ですよ」
      「そうなんだ。ありがとう。じゃあトッピングだな」
      確かに美味い。
      牛骨魚粉スープを白味噌仕立てに。野菜の甘味がマッチして、とてもいい仕事をしている。
      そして、『にく』と称されるチャーシューは、声をかけてくれた客の言う通り、まさに“肉”だ。
      ここから京都までの旅路、スタミナが付きそうだ。

      腹は満たした。
      早く帰りたい気持ちはあるが、雨の高速を避けたい。そして、旅の思い出を噛み締めつつ走るには、一般道のペースがちょうどいいかもしれない。
      柏崎からは日本海に沿って走る。

      「雨なんだけど、今日走っとかないとしばらく無理そうなんで…」
      激しさを増す雨。
      糸魚川でしばしの休憩中、富山から来たエストレヤ・ファイナルエディションに乗るライダーと話した。同じく雨宿りだ。
      「想定以上にキツくなりましたよ。ははは…」
      予報では、低気圧はこのまま日本海沖を進み、北へ抜けるという。
      あと少し待てば、小雨になりそうだ。

      「へぇ! 富山にも来られたんですか」
      「ええ。もうジグザグに走ってたから。能登島でキャンプしましたよ。ちょうど旬だったのかな? ホタルイカが美味しかったな〜」
      「刺身ですか? 刺身も美味しいですね。でも、わたを取らないと虫が居たりしますね」
      「あのヤバイ奴でしょ?」
      「そうですね」

      わずか1〜2ヶ月前の事ですら、懐かしく思える。
      そういえば、あの時は転倒の怪我で手首を痛めた状態だった。思えば、あの人気のない山間部で偶然通りかかった2人のライダー達。彼らに出会えなければ、今俺はここにいない。
      その上、キャンプ場で親切に手を貸してくれた夫婦ライダー。
      そんな事さえ、今は思い出だ。

      「じゃあ俺、先を急ぎますんで」
      そう言って富山のライダーと別れる。
      やがて雨は上がった。
      レインウェアを脱ぐと、しっとりした空気が少し冷たかった。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #新潟
      #大雨
      #牛骨煮干しラーメン
      #驚愕的妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月25日

      70グー!

      「え? ………な、何ですって?」
      「発達した低気圧がね、明日から明後日にかけて若狭沖を通るらしいんですよ。大しけが予想されるから、欠航になります」

      何という事か。
      東シナ海からの低気圧が梅雨前線を刺激して発達。その影響が、能登半島沖辺りまで響くという。
      それなら、苫小牧東まで走っても同じ事だ。
      舞鶴や敦賀には着けない。
      ならば、いっそ…

      「あの…」
      「はい」
      「新潟までは行けます?」
      「ええ。それなら、もう乗船始まりますよ。空き、見てみましょうか?」
      「お願いします!」
      新日本海フェリーは、ここ小樽からは舞鶴行と新潟行の2系統が運航されている。
      能登半島沖がダメだとしたら…
      「2等寝台、あります。急いでください」
      「ありがとう!」

      急いで相棒のもとへ戻ると、ヘルメットを被り、係員の誘導で乗船口へ。
      バイクの乗船は、基本的には一番となる。
      ノロノロしていては、逆に最後に回されてしまう。それでも、乗れればそれで良いのだが。
      車両甲板の端に停めると、船内係員がロープをかける。
      出航すると、車両甲板は閉じられる。必要な荷物は船室に持ち込まねばならない。
      船内手続きを済ませ、ベッドを確認すると、ひと安心だ。

      車やトレーラーの積み込みには、時間がかかる。出航までの間に先に入浴を済ませ、甲板に出て港を眺めた。
      様々な思い出が、まるで目に見えるかのように脳裏に蘇る。
      まだ先は長いのだが、船に乗り込むと、不思議と旅の終わりを感じてしまうのだ。

      やがて、出航のドラが鳴る。
      この港には、俺を見送る人はいない。
      それなのに、沢山の人達が出航を見守り、大きく手を振る。
      様々な想いが込み上げ、目頭が熱くなった。
      17:00、高らかな汽笛と共に、ロープが解かれ、エンジンが唸る。
      「さらば北海道」
      徐々に遠くなっていく岸壁を、しばし甲板から見つめていた。

      回り道。
      不特定多数の人々の命を預かる公共交通機関だ。大丈夫との確信が持てないなら、出航など出来ないだろう。
      俺のように舞鶴へ向かいたい乗客は、低気圧に阻まれ、最短ルートを断たれた。しかし、崖は無理によじ登るべきではない。
      急がば回れ…
      自分自身の言葉に、そのまま従うことになった。
      面白いではないか。

      新潟には、翌日9:15着。16時間15分の船旅だ。
      積丹沖を、夕日に向かって航行する。
      日本海に沈む、美しい夕日に向かって。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #小樽港
      #新日本海フェリー
      #まさかの欠航
      #回り道
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月20日

      69グー!

      「小樽までは、8時間はかかりそうだな」
      「え? 下道ですか?」
      「高速の単調な道って、逆に疲れるしな。それに俺の相棒、下道走ってる方が気持ちいいし」
      「それじゃ時間的には中途半端ですよね?」
      「だろ? 明日、阿寒湖で釣りでもしようかなってさ」
      6月の阿寒湖は、フライフィッシングの盛期となる。道具さえ借りられるなら、せっかくだからやってみたいものだと、彼に言ってみた。
      「それからどこかで一泊すれば、いい感じに行けるかな」
      「意外と呑気っすね、あははは」

      そうじゃない。
      そんなのは、ただの強がりだ。
      帰るとは言ったものの、本当は、まだどこか整理のつかない気持ちをどうにかしたい。
      そこを弟分である彼に見せたくないだけなのだ。
      幾多もの出会いは、俺に容赦なく課題を与えてきた。出会った全ての人の思いを吸収してきたつもりだ。それなのに、本当に答を出さなくていいのだろうか?

      「そういう事…ですよね? まだ何か迷いが…」
      「さすが、お見通しだな」
      「じゃあ、俺から一言言わせてもらいます。迷うのは仕方ないけど、迷ってばかりでは先に進めない。それは、兄さん自身が肌で感じてきた事でしょう?」
      「まあ、そうだ」
      「今、一番会いたい人は誰っすか? 旅の終わりは、そこ以外にないっすよ! 寄り道なんて要らないでしょう。明後日の船に乗ってください」
      「そうだな。ありがとうな。よし!」
      「え? あはは…何してんすか?」
      「いや、尻叩いてくれ」
      「じゃあ、薪でいきましょうか⁉︎」
      「うわっ! それは…」
      「冗談っす。いきますよ!」
      バシッ!
      「痛え〜。ああ、バイク乗れねえや」
      「ダメっす! その程度の苦労は乗り越えてください!」
      はははははは…

      翌朝、そそくさとテントをたたみ、相棒に括り付ける。
      「じゃあな。良い旅を続けてくれ」
      「ええ。また冬には土産話と酒、持って行きますよ」
      まだひんやりした空気の中を走り出した。
      いよいよ京都も梅雨入りしたようだが、北海道は今日も快晴だと言う。
      その距離の長さを感じる。

      道道885号線から、酪農先進地帯である“パイロットファーム”にちなんで命名された、『パイロット国道』と呼ばれる243号線へ。
      摩周湖、屈斜路湖、硫黄山といった景勝地で人気の弟子屈を抜け、特別天然記念物である毬藻が生息する阿寒湖。妻への土産を買い、すぐにまた走り出す。もう、一路京都へと向かうのみだ。
      雄阿寒岳、雌阿寒岳の間を縫うように走り抜け、誰もが知るフォークシンガーの出身地である足寄からは、高速に乗る。
      トータル6時間を超える道のりをひた走り、再び運河の町・小樽にたどり着いた。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #仲間って素晴らしい
      #写真は阿寒湖畔の町並み
      #足寄は松山千春さんの出身地
      #北海道の高速も延びたな〜
      #驚愕的妄想
      #不定期連載


    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月16日

      123グー!

      中標津空港の滑走路が見える直線道路を行く。
      ここで飛行機とクロスなんかしたら、それはもう感動ものなのだが。
      牧場や草原に囲まれた緩やかなアップダウンの道は、ライダーにも大人気の“ミルクロード”だ。
      そして到着した開陽台。
      330度の大パノラマが広がる、素晴らしい風景。
      キャンプ場は、ここに隣接している。
      珍しく観光をしながら1日走り倒し、俺達はテントを張って一息ついた。

      「焼酎が多かったな」
      「ジャガイモっすね。2月〜3月頃には、流氷で覆ったタンクで熟成させる純米酒があるんすけど」
      「それは旨そうだな。時期が外れたか」
      酒の味を教えてくれたのも、実は彼である。
      石川県在住で、毎年観光シーズンが終わると、地酒を手に遊びに来てくれるのだ。
      「トド肉は…結構クセあります?」
      「あるね。鯨っぽいかな。臭みは抜けてるけどな」
      「でもこれ、大和煮だから、しっかり味が付いてて、結構食えますよね」
      いずれにせよ、希少な食材だ。ゆえに値は張るが、ご当地グルメとしては申し分ない。

      「でも良かった。兄さん、去年の年末なんて本当にやつれてて、心配だったんすよ」
      「あれはもう、地獄だったよ。来る日も来る日も仕事持ち帰らされて」
      「こんな事言っちゃ何だけど、辞めて正解じゃないっすか? 職を失ったのはキツイけど、体ボロボロにしてまで働くもんじゃあないっしょ」

      これからどうするのか?
      そんな心配はあるが、兎に角元気になったのは良かった。彼はそう言ってくれた。
      「旅に出ろだなんて、姉さんも思い切った事言うな〜って思いますけど」
      人付き合いは得意ではないが、人から何かを吸収する能力には長けている。それは妻も言っていた。
      どうやら俺は、この旅で知らず知らずの間に、たくさんの人からたくさんの事を吸収したようだと、そう彼に話した。
      「何か掴めたんですね」
      「掴んだ…かな?」
      俺の心の奥底で、何かが変化している。それだけはわかる。
      結果としては、日本縦断の旅となった。
      俺をここまで走らせたその何かが、漠然としていながらも見えてきたような気がする。

      「なあ…」
      「何すか?」
      「お前、登山って?」
      「しますよ、今も」
      「じゃあ山頂目指す時って、最短ルートか回り道か、どっちを選ぶ?」
      「最短って険しくなるじゃないっすか。若い頃はそれでも、『崖があるなら挑んでやる』だったけど、今は…ねえ、あはは」
      「いいんだよ、それで。崖を登り切るために、その手段を探して悩み、もがく。でも回り道したって、山頂には辿り着けるよな。だから崖を登る手段なんて、別に要らない。危険を冒したりする必要なんてない。回り道してる間に、行手を阻んだ崖の正体も見える事あるだろ?」
      「ええ、確かに」
      「今俺は、この旅で…その場所に来たかもしれない。明日、俺…」
      「はい…」
      「帰るわ」
      「旅、終えるんすか?」
      「ああ、この旅は、俺の人生の最後に笑っていられるための何かを掴む旅だ。だから…」
      くどいようだが、答なんて要らない。いくら追求しても、今はそんな答など出やしない。
      「わかったんだ。生き様なんて、自分で創造するものだ。何かに縛られちゃいけないんだ。俺を縛ってたものは解けた。あとは自分自身の“道標”に、信念を持って従い生きていくだけなんだよ。それがわかった」
      「兄さん…」


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #旅をしよう
      #旅は人を成長させる
      #穏やかな風に吹かれてみよう
      #縛りを解こう
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月13日

      77グー!

      何もいらないのだ‼︎
      生きていくための答など、何も。

      「兄さんっ!」
      「は?」
      ノサップ岬から遥か海の向こうを見つめる。そんな俺の背後から、聞き慣れた声がした。
      「旅してるって聞いたけど、まさかこんな最果てで会うとは!」

      その男性は、俺達夫婦を“兄・姉”のように慕ってくれる仲間だ。
      「Z900買ったんだって?」
      「ええ、コイツっすよ。俺にはSSやネオクラシックより、ストリートファイターが合うと思って」
      「いいな! 最高の相棒を手に入れて、初めての旅だな!」
      「憧れの北海道っすよ。やっと来れましたよ」

      観光バスを運転して、全国各地を走った。
      だが、仕事ではなくプライベートで、自分のバイクで走りたい。彼はいつも言っていた。
      「どこへ?」
      「時間ゆっくりあるから、知床五湖からウトロ辺りを回って…」
      「キャンプか? 羅臼?」
      「開陽台も良いっすね。今日は一緒に走ってくれます? 後から俺の走り、見てくださいよ」
      「おう!」
      淋しさを感じていた矢先の、思わぬ遭遇。
      俺は彼の後を追いかけた。
      以前一緒に走った時と比べても、かなり上手くなっている。相棒は大型になったが、それもすっかり慣れたようだ。

      厚床から北上し、羅臼へ向かう。
      「トドのステーキが食えるって言ってましたよね?」
      「ああ、俺はそう聞いたぜ」
      「いや、今は店が変わってるみたいで…でも、トド肉は食えるらしいから、寄ってみます?」
      「そうかぁ。でも、食えるなら行ってみようか」
      そうは言っても、この希少な肉にはそう易々とあり付けないものだ。大和煮の缶詰があるので買ってみた。これをキャンプ場で食べよう。

      「せっかく来たので、温泉入りましょうよ」
      「温泉って言っても、いろいろあるぜ。どこに行く?」
      「すぐそこの温泉、有名でしょ?」
      俺達は、峠道に差しかかる手前の無料温泉へ。
      「あっつ‼︎」
      「あちっ‼︎」
      「ぬ⁉︎」
      「え⁉︎」
      先客の表情が変わった。地元の漁師だ。
      「湯だから熱いのは当たり前だ‼︎ 文句言うなら入るな‼︎」
      いや、文句を言ってる訳ではないが。
      確かに、ありがたくいただきたいものだ。
      …っと⁉︎
      「お、おっちゃん…かき回したら…」
      「何だ? ガハハハハ」
      「俺、慣れてきましたよ」
      「真っ赤になって、何痩せ我慢してんだよ」
      ははははははははは…

      羅臼を後にし、知床峠を越える。
      頂上付近の広場に相棒を停める。
      「じゃがバターあるじゃないっすか!」
      「よく食うな、あはは」
      体格もいいが、見事な食いっぷりだ。

      「熊が出るってよ」
      「あ〜、じゃあ、全部は回れませんね」
      「小ループで帰って来るパターンか」
      知床五湖は、熊の出没状況によって、地上遊歩道が閉鎖される事もある。
      野生動物の宝庫だか、それゆえ人の立ち入りには、きっちりとしたルール付けがされているのだ。

      「さて、もうひとっ風呂浴びてから、開陽台に行くか」
      「え? ここ(中標津)で?」
      「そうだよ。開陽台の近くに風呂なんてないからね」
      「マジっすか。ここと開陽台って…」
      「13km離れてるね」
      「うわぁ〜、事前情報は必要だな〜」


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #ノサップ岬
      #日本最東端
      #最果て
      #知床
      #羅臼
      #熊の湯
      #仲間と遭遇
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月08日

      85グー!

      厚岸湖は、太平洋に面した汽水湖だ。
      ここに流れ込む別寒辺牛川には、タンニンが多く含まれており、濃くなった紅茶のような色をしている。また、プランクトンを多く含んだ海水と混ざることにより、栄養素となる。
      これが美味しい牡蠣が育つ理由と言われる。
      そして、寒流の影響で通年水温が低く安定しており、年間通して牡蠣が食べられる、全国でも珍しい地となっている。
      一般には産卵時期は夏だが、厚岸湖と厚岸湾を相互利用する事で、産卵時期までをも調節出来るという。
      自然を巧く活かした、漁民の知恵の賜物だ。
      アッケケシ…
      アイヌ語で「牡蠣のある所」と表現されていたようだが、これが地名の由来なのだろうか?

      「今はね、まろやかでクリーミーな味わいだよ。プリップリの身が詰まってて、美味しいよ」
      「ほぉ! デカイね」
      「どこで食べるの?」
      「霧多布のキャンプ場…かな?」
      「じゃあ、氷入れとくね」
      「ありがとう」
      またある人は、厚岸駅の駅弁の『かきめし』が美味いと言う。甘辛いタレで味を付けた牡蠣とご飯は絶品で、全国の百貨店の駅弁フェアなどでも人気だそうだ。
      「せっかくだし、買っていきます。ありがとう!」
      今夜は牡蠣づくしだ。

      厚岸大橋を渡り、道道123号線を東へ。苫小牧を出て、12時間。今日は本当によく走った。しかも、そのほとんどが太平洋岸だ。
      徐々に町から離れて行く。
      またも原風景が広がる。
      空は、東から暗く落ちてゆく。
      この海には、漁火が見えるだろうか?

      海に向かってテントを張る。
      高台から見下ろす格好になる。
      炭火を起こすと、牡蠣をそのまま乗せる。
      殻が開きかけたらOKだ。
      かきめしを食す。
      これも噂通りの絶品だ。

      「ん? そうか!」
      フライパンにアルミホイルを敷き、牡蠣の殻の丸みがある方を下にして並べる。
      酒をふりかけ、蓋をして中火で蒸し、湯気が上がり始めたら弱火にして約10分。
      蓋を開ければ、殻が少し開いている。
      牡蠣の酒蒸しだ。
      焼くだけでは勿体ない。出来る事はいろいろやってみたいものだ。

      岬に闇が落ちて来た。
      遠くに見え始めた漁火を眺め、物思いに耽る。
      長い間、ずっと一人旅を続けてきた。
      そんな中で出会ったたくさんの人達に、思いを馳せる。

      一人なのにいつも仲間と一緒のような、つながりの深いライダー達。
      山口県や愛知県で出会ったのは、そんな人達だった。お互いを尊重し合い、程良い距離感を保つ仲間達だった。

      熊本や東北…
      我が町が崩れようとも、強く逞しく、我が町を愛し、我が町での暮らしを取り戻さんと生きている人達。
      そして、こんな一人の旅人にまで説教をくれ、訪れた事に感謝の意を表した軽トラの男。
      熊本で握手を求めてきた男だって、我が町を愛し、必死で生きているに違いない。

      行くはずもないと思っていた東京。
      都会の喧騒の中を爽やかに駆け抜け、スマートに生きるライダー達。
      都会の風を、心地よく感じたあの日。

      もっと…もっと沢山の経験を、この旅で味わい感じた。
      旅の中で様々なことを吸収し、人と出会い、時間を共有する事で、人は成長する。
      時には、生まれ変わるかの如く。
      1人の“夢破れた若者”の、再起をかけた決意。
      彼女もまた、旅に出て生まれ変わった
      俺はそれを目の当たりにし、また、深く関わる事になった。

      そんな…
      そんな旅路の中で俺は、一体何を求めていたのだろう?
      何を探していたのだろう?
      その答を見つけようと、何かを掴もうと、ただひたすらに走り続けてきた。
      今、そこにたどり着いたかもしれない。

      その答…それは…


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #厚岸
      #年中牡蠣が食べられる町
      #かきめしは連続3食喰ったぞ!
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月04日

      87グー!

      空が明るくなってくる。
      始発が来る前に荷物を括り付けて、この場所を去らなければいけない。
      あの警官には、そのように伝えておいた。
      少しだが、ゴミ拾いもしておいた。

      襟裳岬までは、ほぼ道なりに太平洋岸を走る。それなのに、所要時間は…
      「3時間? マジか」
      いやはや。北の大地の大きさを思い知らされるではないか。
      国道235号線を走り、浦河からそのまま国道336号線へ。
      この1週間で、後を確認する癖がついてしまった。ミラーにヘッドライトが映らない事に、不安さえ感じる事もある。
      かと思えば、太平洋を航行する船が気になる。
      「娘を嫁に出した父親って、こんな感じなのかな。今はここにいる訳もねえのにな」
      そして、すっかり覚えさせられた、あのバラードを口ずさんでみる。
      「それぞれの交差点…か。俺も歩き出さなきゃな」
      何を言っても独り言だが、今はそれでいい。
      淋しいと言えば嘘になるが。

      道道34号線に入り、小さな町を抜け、襟裳岬に着いた。
      かの名曲では「何もない春」と歌われたが、町があり、人の営みがあり、そして絶景がある。
      しかしその営みは、都会の喧騒とは無縁のゆったりしたものである印象だ。
      もちろん冬の厳しさは相当なものだろう。
      雪深い上に海に面し、波風を遮るものなどない。
      言わずもがな、建ち並ぶ高層ビルやその足元で齷齪と働き、右往左往する人達…といった情景とはかけ離れたものだ。
      あの歌のように、穏やかな季節への移り変わりや気忙しさのない静かな春を「何もない」と表現したのなら、都会の人々は共感するのかもしれない。

      「今日は霧多布まで行くか。そうすると、晩は牡蠣だな」
      「昼は釧路…いや、帯広で豚丼か」
      マシンガンの如く、独り言を放つ。地図を見るのも一人だ。スマートフォンを覗き込む人もいない。

      北海道でも有数の豚の産地、帯広。
      旨味が凝縮された豚肉を焼いて、醤油ベースの甘辛いタレをかける。
      最早これは、帯広の郷土料理と言って間違いないだろう。
      秘伝のタレに漬け込み、真空で低温熟成させた豚肉。これを炭火で焼く事で、香ばしさが生まれる。
      実に美味い!
      「コレは真似できねえな」
      久しぶりに一人で食べる昼食。
      絶品料理に舌鼓だ。
      この味が、今の俺の胸の奥に染みる。
      元気が出るぞ!
      よし、前に進もう。


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #だるまロス
      #旅をしよう
      #旅は人を成長させる
      #穏やかな風に吹かれてみよう
      #超ド級妄想
      #不定期連載



    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年02月02日

      61グー!

      「何だぁ⁉︎ こんなトコで寝るのか⁉︎」
      辺りはすっかり暗くなり、少し移動して苫小牧東港から程近いのに寂しげな無人駅へ。
      テントを張るのもままならないため、たまたま見つけた駅の待合室を宿にしようと思った。
      というより、結局はこんなのが好きなのだが。
      「はあ…何か遅くなって、宿も取れなかったし…」
      「呑んじゃったか。ん〜、まあ、その状態じゃあ出て行けとも言えんしね」
      呆れた様子の巡回中の警官は、俺の手に握られた地酒の瓶を見て、そう言った。

      「喜びの酒ですよ」
      「そうは見えんが…何いい事あったの?」
      「だるまがね、立ち直ったんですよ」
      「はあ? 起き上がり小法師か? 何言ってんだ???」
      警官は少し笑った後、俺の話に耳を傾けてくれた。
      「だからね、だるまは立ち直ったんですよ」
      「そりゃ良かった。まあね、ここは都会と違って犯罪なんかもないし。でもね、『良いよ』って言った訳じゃないからね。自己責任だよ。あと、駅を汚さんようにね」
      「わかりました」
      チッ! 事務的なオヤジだな。
      おっと、相手は仕事だ。悪態吐いちゃダメだ。

      …少し? いや、かなり酔ったか。

      「寂しくなったか?」
      「は? 誰だ?」
      「ワシだよ。仕事終わったから、着替えてきた。話し相手ぐらいにはなれるだろうよ」
      さっきの警官か。なんだ、いいオヤジじゃないか。
      「アンタの口に合うかどうか。ほれ、呑みな」
      「何? 俺を酔わす気か?」
      「もう酔ってんだろ? ははは、もう少しぐらいならイケルんじゃねえのか?」
      「ああ、ありがとう。頂きますよ」

      「何かねえ、アンタの話…不思議だな。惹き込まれるよ」
      警官は、そう言う。
      「でもねぇ、こんなに長旅続けてるのに、俺は何も掴めてないんですよ」
      「そんな事ないよ。沢山の人と出会って、すんごく心は動いてるじゃない?」
      旅の始まりには、人との交流や、行列に並ぶ事すら恐れた俺だ。
      確かに、心は動いている。でなければ、見ず知らずの若い女性を1週間も連れて走るなど、あり得なかった。

      「思い出したくないとか、そんなんじゃなかったら…この旅だけじゃなくて、アンタの人生全部振り返ってごらん。ワシはいい人生だと思うよ。若い頃には、“その時しか出来ない事”を目一杯やって、結婚して、挫折して、旅に出て…これからは、“今だから出来る事”に没頭していくんじゃないのかい? その歳だ。甘えちゃいかん。やり直しは効かん歳かもしれん。だけど、慌てる必要もないんじゃないかい? ゆっくり足を地につけて、奥さんと一緒に歩いて行けばいい。それ以外に何を求めてるんだい?」
      「こんなに挫折を繰り返しても、いい人生だと?」
      「だよぉ! 挫折とか、苦しんだりするのも。やってきた事、見てきた物、それはアンタだけの経験だ。全く同じ人生を歩む人なんて、いやしない。全部アンタの宝だよ」

      ん? 何だ?
      『今しか出来ない事、今だから出来る事』だと?
      これは…広島ナンバーのZZRを駆る、あの若いライダーが言ってたじゃないか。
      夢中になってやってきた事。成功以上に失敗を繰り返し、悔やみ、挫折を繰り返した。
      その経験がある今だからこそ、それらを踏み台にして行ける。
      だるまだって、そうじゃないか。

      しかし…じゃあ俺は何をすればいい?
      その答が見つけられなくて、今もまだもがいているのだ。
      「笑っていられたら、それが幸せなんじゃねえの?」


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #苫小牧
      #駅宿
      #だるまロス
      #驚愕的妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月27日

      74グー!

      燻っていたものを削ぎ落とし、だるまと過ごす最後の朝は、スッキリしていた。
      「だるまでーす! 長い間、ジローさんをお借りしました。ご心配をおかけしました。ごめんなさい」
      「妻と話すのに、ジローはやめてくれよ。ははは…」
      「え? ジロー? 嘘〜、似てるかも! もう可笑しい! うふふふふふ」
      妻とだるまは、この電話で初めて話した。
      お互い屈託がない。どことなくコミカルにさえ感じてしまい、思わず笑みが溢れた。

      富良野から苫小牧までは、約3時間。
      大洗行フェリーは18:45出航だ。チェックアウトの時間ギリギリまでゆっくりして、しっかり体を整えて行けば、それで間に合う。
      チケットは、スマートフォンですぐに買えた。これが夏休み期間中ともなると、キャンセル待ち状態になるのだが、梅雨入り前の6月ならさほど混雑していないという事か。

      ランタン、焚き火台、シングルバーナー、クッカーにシュラフ。
      テントをたたみ、バッグに椅子を括り付ける。
      丸々1週間。いや、出発から数えると、もっと長い。だるまも、これだけの期間テント泊を続けてきた。パッキングも手慣れたものだ。
      「忘れ物はないか?」
      「大丈夫」
      「やり残した事は?」
      「ジローさんとのチュー」
      「バカヤロ!」
      きゃははははは…

      2基のシングルエンジンが、心地良い和音を奏でる。二人で走る、最後の1日だ。
      プスッ…
      「ん⁉︎」
      きゃははははははは………
      「エンストこいてんじゃねえよ! あははは」
      思えば、だるまは初心者ライダーだ。
      よくここまで、しっかり走ってきたものだ。

      国道237号線を南下し、占冠から夕張方面へ抜ける。
      かつての炭鉱の町だ。
      今は閉山したが、その地名は赤肉のジューシーで甘いメロン、“夕張メロン”の産地として知られる。
      その名を冠した夕張川に沿い、また、交差しながら走る。
      追分から国道234号線に入ると、間もなくフェリーターミナルのある苫小牧に着いた。

      「ここから、あのフェリーに乗るんだね」
      だるまは窓口で乗船手続きを済ませ、小走りで駐輪場へ戻ってきた。

      互いの相棒にもたれかかり、俺達はしばし言葉もないまま、2人で走った1週間を思い返していた。
      そんな沈黙を破り、だるまは静かに声を発した。
      「もうお別れだね」
      ………
      「ああ…そうだね」
      ………
      ………
      言葉と言葉の間が長くなる。
      お互い同じ方向に目をやる。顔を見ると、寂しさが込み上げそうだ。船を見つめるように、その場を取り繕ってみる。
      ………
      ………
      「ありがとう」
      「俺の方こそ」
      ………
      「また…」
      「ん?」
      「また、会えるかな?」
      「ああ………会えるさ。元気でいれば、きっと」
      「どこで?」
      「日本のどこかで…ね」

      静かに、緩やかに時は流れ、出航時間が近づく。
      「オートバイで乗船の方、乗船口へ移動願いまーす!」
      係員の声が響く。
      だるまは、ゆっくりとヘルメットを被った。

      「じゃあ、行くね」
      「家に着くまでか旅だぞ。気を付けてな!」
      「ヤエー!」
      「ヤエー!」
      去りゆくだるまとレブルの後姿を目で追い、見守った。
      やがて彼女は、フェリーの車両甲板へと吸い込まれていった。
      「今、船に乗ったよ」
      「そう、良かった…」
      電話の向こうの妻も、どことなく涙声のように感じた。

      18:45
      出航のドラが鳴り響く。
      ロープが解かれ、大空へ向けて汽笛が鳴る。
      船は、エンジンを唸らせ、ゆっくり岸壁を離れた。
      俺は、だるまを乗せた船を、その姿が見えなくなるまで見送った。

      だるまは船に乗り込んだ後、最後まで甲板に姿を見せなかった。
      それはきっと、もう振り返らずに進んでいこうという気持ちの現れなのだと、俺は信じている。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #苫小牧港
      #前を向いて進もう!
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月23日

      64グー!

      静寂が辺りを包み込む。
      だるまは、涸れんばかりの涙を流した。
      胸が締め付けられる思いで、俺は彼女を見守った。
      何も答えてあげられない自分に、歯痒ささえ感じた。
      全てを失い、心を寄せる場所もなく、ただひとり苦しみに苦しんだのだろうその表情が、痛い程俺の胸を突き刺した。

      いや…
      失ったのは、全てではない。
      失った物以上の何かを、きっと掴んでいるはずなんだ。だるまは、それに気付いていないだけなんだ。
      言葉にはならずとも、それだけは伝えたい。

      やがてだるまは、か細い声を震わせながら、再び話し始めた。
      「1日1日、夜が来る度にカウントダウンしてた。何もかもが終わる時が、だんだん近づいてきて…」
      「………」
      「ごめんなさい。私…」
      「いいよ、もう何も言わなくて」
      「ううん。私…友達を裏切って、親を裏切って……旅で…旅で出会ったばかりの…ジローさんにまで迷惑かけて、その上裏切ろうとしてたの」
      「言うなって…」
      「本当に…ごめんなさい」

      「でもね」
      だるまは顔を上げた。
      流れる涙はそのままに、その瞳は輝いた。
      「ジローさんと一緒に旅してて気付いたの。私でも、こんなに笑えるんだって。こんなに楽しい事が、まだまだいっぱいあるんだって…」

      本当は怖かった。
      自らに終止符を打つなど、怖くない訳がない。
      だが、それと同じぐらい生きる事に恐怖を感じていた。
      何にも喩えようのない複雑な気持ちをどうする事も出来ず、あの日出会った俺にすがり付いた。
      そんな中で、一緒に見たもの、一緒に走った道、精一杯笑った時間…
      それらを思い返した時、再び“生きる勇気”が湧き始めたと言う。
      俺は、何をしてあげた訳でもない。
      何かを伝えるまでもなく、だるまは、自分自身で気付いたのだ。

      「私、帰ります!」
      ハッ?
      「高崎に帰ります」
      だるま…
      「親には、土下座でも何でもする。家に入れてくれないんなら…」
      「くれないなら?」
      「庭にテント張ってやる!」
      そうだ! その調子だ‼︎

      「私、最後の選択肢がバイク旅だったの。その選択が、きっと…」
      命を繋いだのだろう。
      バイクに乗る。
      空気を肌で感じる。
      不思議なことにこの喜びを味わった者は、ただそれだけの理由で繋がり、仲間となる。
      楽しみ方は人それぞれ。だけど、バイクが好きという共通の思いが、人と人を繋げていく。
      だるまも、その世界に踏み入った“仲間”なのだ。
      この喜びを知ったのだから、その先の夢を抱いて、きっとやり直せるはずだ。
      「バイクに乗って、旅に出て良かった!」

      あぁ、そうなんだ。バイク、そして旅が、こんなにも人を…

      「高崎に帰ったら一度リセットして、また旅に出るの。ジローさんみたいに、生きてくための旅に。いろんな人と出会って、いろいろ経験して、私…強くなる! そして、ちゃんと働いて、ちゃんとお金貯めて、優しくて温かい人と結婚して、その人と一緒に旅するんだ。バイクで」

      「わかった。今夜はしっかり飲むぞ! 付き合えよ!」
      「望むところよ! きゃはっ」
      夜は更けていく。
      ようやく涙を拭い、だるまは笑った。
      ランタンの仄かな灯りだけを残し、2人で過ごす最後の夜の宴が始まった。


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #旅をしよう
      #旅は人を成長させる
      #バイクは生きる勇気を与えてくれる
      #大切なもの
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月18日

      67グー!

      「何で…こんな俺なんかについて来る?」

      だるまは青ざめた。
      ………
      ………
      長い沈黙。
      言わなければ良かったのか?
      しばらく、お互い言葉を失っていた。

      「そうよね………見ず知らずの人に………おかしいよね」
      いや、そんな意味じゃない。
      「いいよ。お邪魔なのはわかってた。でも、私ね…」
      凍りつくような空気を感じた。だが、だるまは、今まで言えなかった真実を…必死の思いで話し始めた。

      幼少の頃より、アイドルになる事を夢見ただるま。
      アルバイトでお金を稼ぎ、オーディションに応募したのが17歳。
      ダンスの技術や創作力を買われて合格したものの、両親からは、「お前には無理だ」と大反対された。
      しかし、その反対は押し切った。
      「そこまで言うなら承諾書書いてやる。ビッグになるまで帰ってくるな!」
      だるまは、テーブルに叩きつけられた書類を手に家を飛び出し、東京の合宿所に住まう事になったという。

      こうして全てを捨てて夢を手にしかけた彼女。いつも周りを気遣い、同期生達とガッシリ腕を組み、仲間として絆を深めようと頑張った。
      しかし、そんな同期生や後輩はどんどん自己アピールを強め、ステージの前へと進出して行く。
      だるまは…
      持ち前の人の良さが仇となり、いつまで経っても後列から前に出れず、ついには周囲から置いてきぼりとなってしまった。

      ただ、だるまにはもうひとつの憧れがあった。
      “バイク女子”
      既に、他の事務所に所属するアイドルの中には、バイク関連のTV番組やイベントなどで活動する人もいるのだ。
      「自分もあんな風に…」
      そう思い始めると、自らを高めるが如くオフ日に教習所へ通い、二輪免許を取得した。

      ところが…
      あろう事か、それすら裏目に出てしまう。
      だるまの所属事務所では、普通自動車免許は認められるが、リスクが高いとして二輪は禁止。
      その規約を見落としていたのだ。
      免許証は事務所に預けた上で、謹慎処分。
      そうなると、合宿所内では他のメンバーの使いっ走り。
      同期生からは、ダンスだけは上手な“面倒くさい存在”として見られ、煙たがられる。
      酷い日には、いじめにも似た陰湿な行為を受けたという。
      「いい人もいたのよ。一番前にいる人達なんて、ストイックだけど本当に優しかった。だけど…」
      もうそこには居場所などないと知り、だるまは静かに事務所を去った。

      「私、甘かったの。親の言う通り、私にはアイドルなんて無理。仲間を蹴落としてでも自分が前に出るとか、そんなの無理なの。そんなのじゃなくて、みんなと仲良く、楽しくやりたかった。でもそれじゃダメだったの。そんなんじゃ…」
      「………」
      「合宿所を追い出されて…もう家にも帰れないし、住む場所もなくなったの。東京で生活なんて考えられないし」
      迷う事もなかった。
      所持品の殆どをお金に替え、バイクと旅の資金を手にした。
      テントと僅かな衣類を入れたバッグを括り付け、あてもなくただ北へ向かった。
      就職して部屋を借りるなどという選択肢は、もう彼女の中にはなかったのだ。
      この旅は、そんな始まりだったという。

      「両親には話さなかったのか?」
      「事実上クビよ。そんな事言える? 言える訳ないじゃん‼︎」
      「じゃあ、友達は?」
      「私、高崎にいる友達を裏切って東京に出たの。ずっと友達でいようって約束したのに、それを裏切って。当然だけど、東京には友達なんていない。私の周りはみんな鬼よ。もう誰も私の事なんか気にも留めないわ」

      そんな事はない…
      と言ってやりたいが、その辺りの事情なんて、俺にはわかる由もない。
      ありきたりの慰めは、かえって傷口を深く抉るだけだ。
      ただ黙って耳を傾けた。
      「私ね、ジローさんに会った時、『この人を最後にしよう』って思ったの」
      「俺を? それは何で?」

      ん⁉︎
      最後って何だ⁉︎

      「優しくて温かい人を最後にしたかったから。私ね、ジローさんと別れたら…」
      「‼︎」
      待て! 言うな! それ以上は言うんじゃない‼︎
      「ジローさんと別れたら、もう誰にも会わないまま……」

      言わないでくれ…
      俺は強く目を瞑り、俯いた。
      そしてだるまは、泣き崩れた。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #こんなアイドルグループないやろ(汗)
      #さりとて実力と自己アピールの世界
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月14日

      77グー!

      旭川から国道237号線を南下して行く。
      今日もまた、俺の後にはレブル250。
      目覚めた時は少し俯き加減だっただるまだが、バイクに跨ると、またあの笑顔だ。

      道央の長閑な風景の中のクルージングは、心地良い。
      40分程走ると、そこは“丘のまち”と称される美瑛だ。
      その東側に位置するのは十勝岳連峰。
      複数回の大規模噴火と河川の浸食が、この波状丘陵を形成したという。
      最果ての原野や広大な牧場の風景と並び、北海道のイメージとして思い浮かべる人も多い事だろう。

      「うわ〜! 綺麗〜‼︎」
      さすが女子だな。
      いや、誰が見てもこの風景は美しい。
      思わず相棒を停めて見入ってしまう。
      「いいでしょう、この風景」
      地元ライダーだ。
      「僕は、家からは遠くないんだけど、この風景は好きで、よくここに来ます。あ、お急ぎじゃないなら、丘めぐりいかがです? ご案内しますよ」
      「行きたーい‼︎」
      「いいですね! 是非お願いします」
      こうして俺達は、この地元ライダーの駆るZRXの後について、美瑛の丘陵地へ吸い込まれて行った。
      マイルドセブンの丘、ケンとメリーの木…
      もはや同じ日本とは思えない程、広く雄大だ。
      そしてその向こうに見えるのは、十勝岳。
      山の風景が好きな俺にとって、最高のロケーションだ。
      「あと、僕のお気に入りの丘なんですけど…」
      古いハイエースが置かれた、趣を感じるその丘。もちろん十勝岳連峰も見える。
      「動かないのかな?」
      「ナンバーも付いてないしね」
      「僕もはっきりとは知らないけど、休憩所みたいに利用されてるようですよ」

      現役時代、どれほどの物を運んだのだろう?
      日々働き、役目を終えたこの車。
      引退して尚朽ちる事なく、農場で働く人々に癒しを与えているのだろうか?
      そんな風に考えると、とても感慨深い。
      この車に人と同じ心があるとしたら、きっと幸せ以外の何でもないだろう。

      終わり良ければ全て良し…かぁ。
      「え? 何?」
      「ん? あ、独り言だよ」
      夜のキャンプ場。焚き火を眺めながら、ふと考えた。
      必死に働いたり、一生懸命生きたその果てに、胸を張って「幸せ」と言える時が来るのなら…
      地味でいい。輝かなくていい。
      いつも誰かの心の片隅にいられる自分であれたなら…
      そして、だるまがこの旅で求めているものが、もし俺と同じだとしたら…

      「なあ、、、」
      「うん?」
      「俺さあ、元レーサーだって言ったよね?」
      「…うん」
      「実はね、レースやめてから、ちょっとした会社で働いてたんだ」
      「え? そうだったの?」
      「ああ。結構な負債を抱えた会社だったけどね。そこで社内の体質改善に取り組んでたんだ」
      「頭良さそうだもんね!」
      「そんな事はないさ。でも、同僚として働いてた奴は、凄くズル賢かったよ。俺がやった事を自分の手柄にして報告するような奴だった。それで奴は、出世して…」
      だるまは、目を丸くして驚いていた。
      「俺の目の前に書類を山積みして、俺の顔が見えないようにした。明けても暮れても仕事に追われて、家に持ち帰っても処理できない書類。俺は…人ではいられなくなった。働くロボットにされてしまったんだ」
      「ジローさん…」
      「だから俺は、自分を取り戻すために旅に出た。バイクに乗ると、没頭できる。妻はそれを知ってて、だから俺に旅を勧めてくれたんだ。この旅で自分らしさとかそんなものを見つけて、最後には笑っていたい。俺は、そんな思いでこの旅を続けてるんだ」

      話すべきか否か、葛藤の末のカミングアウトだ。
      このままの状態をズルズル引きずる訳にはいかない。
      だるまの旅の理由が知りたい。
      いや、知らなければいけないと思う。
      きっと、目に見えない重い荷物を背負っているはずなのだ。
      俺が先に話した事で、だるまの気持ちが変わるなら…
      「なあ、話してくれないか? だるまが旅に出た理由。何で俺なんかに……」


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #美瑛
      #ジローさん動いた
      #驚愕的妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月10日

      70グー!

      「あ〜! 焦がしちゃった〜‼︎」
      朝のキャンプサイトに、甲高い声が響く。
      「もう、ドンくせぇなあ、ははは。いいよ、そのパン、俺が食うから」
      札幌で買った、まだ使い慣れないシングルバーナーで、バターロールをアニマル氏の分まで焼く…つもりが、やってくれるよ。
      まあ、そんなとこも憎めないのだが。

      アニマル氏にお礼とお別れを言い、俺とだるまは旅立つ。
      居心地が良かったのだが、なぜか「行かねばならない」という思いが先行した。
      「ねぇ、アニマルさんが言ってたトロッコ、乗ってみない?」
      鉄道廃線跡を利用したレジャースポットだ。
      「あ、ああ、ははは…うん、いいよ」
      こういうアトラクションには、慣れていない。だが、だるまにとって初めての、思い切って出かけた一人旅だ。思い出になるなら、頑張ってみよう。

      トロッコ王国美深は、旧国鉄美幸線の仁宇布を起点とする。
      往復10kmを、自らがトロッコ運転して楽しめるアトラクションだ。
      緩やかな速度、どこで停まっても構わない。自然を身近に感じる。
      白樺に囲まれ、木漏れ日を浴び、とても心地良い。
      そして、ライダーたる者、やはり乗り物が好きなのだ。
      「ジローさんの方が楽しんでるよね? 子供みたい〜」
      「うるせ! 負けじと楽しめっ‼︎」
      「子供だ〜! きゃはははは」
      「あはははは」
      俺達の他にも、3人の旅人が相乗りした。
      5人で代わる代わる運転する。
      出会ったばかりの人とも、会話は弾む。
      みんな笑顔が溢れ、笑い声が森にこだまする。
      俺にしてみれば、貴重な体験だ。
      人付き合いは得意ではないが、旅が気持ちを開放的に変えていく。

      再び国道40号線に戻り、南下する。
      徐々に民家が増え、町の様相へと変わった。
      旭川といえば?
      「ラーメン?」
      「旭川ラーメンもいいね」
      「わっ! すごい行列‼︎」
      「名店はみんな、こんな感じなのかな? でも、全国展開してる店もあるしね。いっそのこと、どこかスーパーで買い物してキャンプ場に行っちゃおうか。何する?」
      「じゃあ、トントロ‼︎」
      「お! 知ってるじゃねーの!」
      「スマホで調べたよ、旭川グルメ。ラムも美味しかったし、買っとく?」
      「そうだね」
      そして旭川に来れば、是非手に入れたいもの。大雪山の伏流水から醸した銘酒。
      「ちょっと寄らせてくれ」
      「お酒? ジローさんって日本酒呑むの?」
      「実は俺、日本酒派だよ」
      「私はムリかな。チューハイ買っとこうっと」
      その夜は、遊び倒した1日を振り返り、笑った。
      美味い肉をアテに、酒が進む。
      やがて周囲は静けさに包まれ、だるまも眠りについた。

      出会った日から数えて5日。
      静かになったサイトで、また新たな葛藤が生まれる。
      だるまと居るのは楽しい。
      娘と旅するというのは、こんな感じなのだろう。
      しかし、己を見失い、もがき苦しみながら旅立った俺だ。まだ目的を果たせないままで、いつまでこうしていられるのだろう?

      俺は…
      このひとりの旅人に対し…
      何をしてあげられるのだろうか?


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #トロッコ王国美深
      #超アナログアトラクション
      #自分で運転出来るよ!
      #男山は美酒
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2021年01月05日

      88グー!

      宗谷岬から140km南下した所にある、そのキャンプ場。
      フラットな立地に、整備の行き届いたサイト。温泉も隣接している。
      人気が高いと聞くが、それも頷ける。
      「昨日のキャンプ場から、あんまり進んでないのね」
      「そうだね。ぐるっと回って戻ってきた感じだね」

      テントを張り、町へ買い出しに行こうとしたその時。
      「今晩、ジンギスカンやろうと思うんですけど…ご一緒にいかがです?」
      「あ、は、はいっ」
      「探険隊のお2人ですよね?」
      「探険隊の? あ!」
      宗谷岬で出会った旅のライダーとの再会だ。
      「え? 何? すごーい‼︎」

      旅のライダーは、このキャンプ場に連泊。俺達とは逆回りで宗谷岬へ行ったという。
      こんな再会も、北海道ではよくあるらしい。
      「この先の町中のスーパーでね、タレ付のラム肉があったんですよ。簡易なジンギスカン鍋も売ってたので買ってみたけど…仲間がいたらもっと楽しいだろうなって思って」
      全くそうだ。これぞ、北の旅の醍醐味なのかもしれない。

      「アニマルって呼んでください」
      彼の愛車はジェベル。道内の人気の高い林道を制覇した、自然派ライダーだ。
      「私はだるま…だって。高崎だから。この人はジローさん」
      「あ、あのジローさん? 似てますね」
      …それはもういいんだけど。

      こうして、旅で出会った3人の宴が始まった。
      だるまの焚き火台に火をつける。
      「あ、あれ? 着かないよ?」
      「これ、広葉樹だよね。着火しにくいけど燃え始めると持続するらしいから、料理に向いてるのかな?」
      「ああ、それは“ナラ“ですね。火力調節しやすいんですよ。炊飯とか鍋なんかには使いやすいですね。でも一気に火力上げるなら、針葉樹のスギなんかが向いてますよ。先に針葉樹燃やしましょう」
      「焚き火で火力調節???」
      「ほぉ〜!」
      焚き火台に付属の五徳に、ジンギスカン鍋を乗せる。
      「昨日のは、あれ、針葉樹だよ。早く燃えただろ?」
      「でも、明るくなる頃まで燃えてたよ」
      「え? そんな時間まで起きてたのか?」
      白々しい。それは知っているのだが…

      ラム肉はタレに浸けてあるので、そのまま焼く。
      キャベツやニンジン、もやしといった野菜も投入する。
      タレの味がとても良い。

      「すみません。失礼だけど、最初は親子かな?って思ったんですよ」
      「年齢差で言えば、そうですね。でも、本当に函館に渡るフェリーで知り合ったんですよ」
      お互いの情報交換も、お約束だ。
      それぞれの出身地と周辺お勧めスポットの話も興味深い。
      アニマル氏は岩手県在住。そういえば、この日本縦断の旅では、岩手県も群馬県も通っていない。
      「ええ〜⁉︎」
      2人が声を揃える。そりゃあ申し訳ない。
      「レースやめた後、一回全国走ったんですけどね。何年も前の話だけど、もちろん群馬も岩手も」
      こんな事を一生懸命弁解するのも、滑稽ではあるのだが。

      「バイクはずっと憧れてて、合宿所にいる頃に免許は取ったの。事務所では『危ないからダメだ』って言われたけど」
      だるまのライダー歴についての話になった。
      一昔前は、女性ライダーはまだ少数派だったが、今時の女子は行動力がすごい。
      「そうなんだ」
      「函館からずっと一緒だけど、俺も聞いてなかったなぁ。じゃあ、バイク買って、まだそんなに日にち経ってないんだ」
      「レブルを選んだのは?」
      「転びにくそうだから。きゃはははは」
      「片足でグルグル回る奴が、何言ってんだよ! ははははは」
      だるまが戯けながら踊ってみせる。
      「ホントに即興で踊るんだ! すげーや‼︎」

      旅人同士の宴は、とても新鮮だ。
      驚きと笑いにあふれた夜は更け、やがて静けさに変わっていった。

      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #2021年1回目
      #キャンツーのひとコマ
      #焚き火豆知識
      #美深の『スーパーみ◯ま』のタレ付ラム肉は、今もあるのか?
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月28日

      86グー!

      北海道の6月、日の出は驚く程早い。
      午前3時には東から白み始め、見る見る内に辺りは明るくなる。
      が、そんな時間にはまだ夢の中だ。
      …いや、それはあくまでも一般論らしい。

      焚き火を眺め、椅子に座ったまま夢心地となった俺の体に、ふわっと柔らかい何かがかけられた。
      そのまま目覚めていないふりをして、そっと触れてみる。
      たぶん、だるまのフリースジャケットだろう。
      薄目を開けてみる。
      彼女もまた椅子に座ったままで、消えそうで消えない焚き火をじっと眺めていた。

      昨日走った道を、再び海岸へ向かって走る。
      浜勇知からオロロンラインで、日本海を見ながら北上する。
      昨日見た夕日とは全く異なる、青空と青い海。利尻富士さえ青く、夕刻とは違った美しさを魅せてくれる。
      山の風景は、本当に面白い。

      「ここが?」
      「違うよ。ノシャップ岬さ。宗谷岬まではここからまだ走らなきゃ」
      「ほんっとに遠いんだね」
      稚内市を抜けると、あと40分程だ。進路は徐々に北へ向いていく。
      そして…

      「来た〜‼︎」
      バイクを停めると、だるまは飛び跳ねるように記念碑に向かって駆けて行った。
      日本最北端の地。
      記念碑のその形は、北極星の一稜をモチーフにしているという。
      「平和と協調」を意味する円形の台座、北を示す“N”の文字。
      「あれは?」
      「サハリンらしいよ」
      「ホントに最北端なんだ…」
      「ああ。来たね」
      「自分のバイクに乗って、自分で来たのね」
      「そうさ」
      「こんな私でも…」
      記念碑の奥、水際に立ち、佇む。
      目に見えるもののみならず、空気の変化をも自らの肌で感じながら、長い長い距離を走って来た。
      「私、バイクに乗って良かった」
      「良かったね」

      「写真撮りましょうか?」
      底抜けに明るく笑うだるまを見たのか、1人のライダーが近づいて来た。旅のライダー同士の細やかな交流が始まる。
      「じゃあ、ポーズ」
      「ジローさんっ! 何? そのポーズぅ」
      「探険隊だよ」
      「探険隊って、そんなポーズするのぉ?」
      「いや、霞ヶ浦で会ったトリッカーに乗ってる人が、『探険隊のポーズだ』って。ははは」
      「じゃあ私も‼︎」
      旅のライダーは、楽しそうに笑ってくれた。
      俺達も笑った。

      宗谷岬を後にすると、ここからオホーツク海に沿う。
      町を抜けると、左手に海、右手に原野が続く。その風景は、“最果て”と形容するのが最も適切だろう。街の風景を見慣れた俺にとって、さながら異国の地に居るようだ。
      「せっかくだから、前を走りなよ」
      だるまのレブル250と入れ替わる。
      「すごーーーい‼︎」
      目の前を遮るものがなくなり、だるまの目の前には美しい原風景。
      絶叫する声が聞こえる。
      わかる気がする。
      いや本当に、叫んでみたい気分だ。

      浜頓別からは再び前後交代し、内陸部に分け入る。音威子府から国道40号線に入り、少し南下して、道の駅に併設したキャンプ場にチェックインした。

      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #宗谷岬
      #日本最北端
      #最果て
      #オホーツク海
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月25日

      75グー!

      その夜の星空は、見事だった。
      月明かりもなく、暗く落ちた空に、満天の星。
      6月を迎え、夏の星座が彩り、天の川が頭上を横切る。美しいというよりは、むしろ神秘的だ。

      「じゃあ、点灯式〜!」
      札幌で買ったハリケーンランタン。燃料を入れ、芯に充分染み込ませると、ライターの炎を近付ける。
      「点いたね! 初点灯だぁ」

      柔らかな光が時折揺れ、静かな夜を飾る。
      「ちょっと暗いのかな?」
      「これがいいんだよ」
      読書灯程の微かな光が、だるまの顔を照らす。さっきの涙はどこへやら。目を細め、白い歯を見せて笑っている。

      北海道といえば、ジャガイモ。一口大に切ったジャガイモを、同じぐらいの大きさに切ったタコと一緒にオリーブオイルで炒める。
      ガーリックハーブソルトとクミン、一味唐辛子で味付けをし、ドライパセリを振って仕上げる。
      アヒージョの完成だ。
      北海道限定醸造のビールで乾杯。
      「うめぇ〜」
      「アヒージョも美味いぞ。ほら」
      「ジローさん、料理上手ね!」

      夜は更けゆく。北の夜は、放射冷却で冷え込む。俺たちは、焚き火の火で暖をとる。
      「ねぇ、ジローさん」
      「ん?」
      「ジローさんは、もうレースには出ないの?」
      「レースはもう、15年ぐらい前にやめたよ」
      「何でやめたの? レーサーってカッコイイじゃん」
      「ああ…」
      言葉に詰まる。
      かっこ悪いやめ方をした俺だ。
      少しだけ星空を仰いだ。

      「全日本GPに出るまでは頑張ったけどね。でも、最高に調子良かったレースでライバルと競り合ってた時、その相手と接触したんだ」
      「どうなったの?」
      「相手は…弾き飛ばされるようにコースアウトして転倒したよ」
      「ジローさんは大丈夫だったの?」
      「俺は大丈夫だった。でも、相手は大怪我をしたよ。俺はその人が気になって、その後は走れなくなったんだ」
      「優しいんだよ、ジローさんは」
      「だけど…」

      レースなんて実力主義の世界だ。相手を気遣うのはいいが、走りに支障が出るようでは闘えない。
      カッコイイからとか、そんな理由だけでは通用しない、厳しい世界だ。
      「俺は…レーサーには向いてなかったんだよ」
      「ふぅん、そうなんだ」
      だるまは、焚き火の炎を覗き込むように、俺から目を逸らした。
      数分間、沈黙が続いた。

      「私には聞かないの?」
      「何?」
      「アイドルやめた理由」
      「話してくれるのか?」
      だるまは悪戯っぽく笑い、俺の顔を見て言った。

      「話さな〜い」
      「何だよ、このヤロッ!」
      「きゃははははは」


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #星空
      #天の川
      #クリスマスとは無関係ネタ
      #最近バイク乗れてない
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月20日

      87グー!

      「今日はどこへ行くの?」
      ニッコリ笑う。
      「特に決めてないけど。やっぱり今日もついて来るんだね?」
      「だって、せっかく呼び名も付けてくれたしぃ。え? お邪魔?」
      「いや、観光もしねえし、楽しめてんのかなぁってさ。それだけ」
      「楽しいよ! じゃ、リクエストしてもいい? 宗谷岬だっけ、最北端」
      「OK! でも遠いよ。大丈夫? いつまで旅するの?」
      「決めてないから、いつまででも! きゃはっ」

      俺は今日も、だるまを連れて走り出した。
      キャンプ道具を買いたいと言うので、札幌のアウトドアショップに立ち寄る。
      「このランタン、可愛い!」
      「良いよね。パラフィンオイルってのを燃料に使うんだよ」
      「難しい?」
      「いや。教えてやるよ。簡単さ」
      「あ! 焚き火する? ほらこれ、こんなに小さくなるの!」
      そう言ってだるまは、ランタンとシングルバーナー、ソロクッカー、焚き火台と、防寒ウェア1着を買った。
      元々バッグに入っている荷物が少ないので、それらは容易に収まった。
      「結構お金使っちゃった」
      「大丈夫かよ?」
      「ウン! お金なくなったら、その辺の牧場とかで働くから」
      はぁ〜、何とも…

      幹線国道の12号線を走り、美唄から滝川へ至る、国道では日本一長いという直線道路へ。
      「すごかったね!」
      「北海道ならではだな」

      滝川を抜け、国道275号線〜233号線で留萌へ。さらに239号線で、日本海に沿って北上する。
      「熊の看板、怖かったぁ〜」
      「羆だね。三毛別羆事件だ。小説にもなったよ」
      「襲われたの?」
      「開拓民たちが、次から次とね………」
      「え? え? ジローさん???」
      「グワォーーー‼︎」
      「きゃはははは! 何それ〜〜〜、熊だぁ〜」

      苫前からは、国道232号線でさらに北上する。天塩川の河口を見て、内陸へと分け入る。
      「この川にはチョウザメが遡上してたんだってよ」
      「キャビア!」
      「捕っちゃダメだろ? てか、今はいないんじゃないかな」
      「なぁ〜んだぁ」

      国道40号線を外れ、日が西に傾き始める頃、宿泊を決めたキャンプ場に着いた。
      「テント張るぞ。急げ」
      「え? 何よ」
      「テント張ったら、ちょっと走るぞ」
      「え? 何何? 意味分かんない」
      「いいから、言う通りにして」

      荷物を全てテントに突っ込むと、再び相棒に跨り、走り出す。
      だるまも俺に続く。
      日本海へ。
      西の空が、徐々に色づき始める。あと少し、あと少しだ。
      「わあ〜〜〜‼︎」

      空がオレンジ色に染まる。
      潮風が、そっと頬を撫でる。
      目の前に広がる、波も穏やかな日本海。
      シルエットに浮かぶ、美しい利尻富士。
      そして、沈みゆく夕日。

      「綺麗だね〜」
      「だね〜」
      「………」
      ふと、だるまの横顔に目を向ける。
      頬には、ひとすじの涙。
      「なんか、、、綺麗すぎて涙が出ちゃった…」

      感動の夕景だ。
      だけど…
      違うよな? その涙の意味は。
      何かを思うように黙って夕日を見つめる、その横顔。
      俺は少し離れて、そっと彼女を見守った。
      だるまと俺以外、誰もいない。
      誰も見てねえよ。
      泣けばいいさ。
      泣きたいだけ…


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #直線道路
      #羆嵐(吉村昭)
      #オロロンライン
      #利尻富士
      #最高に美しい夕日
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月15日

      95グー!

      今夜の宿泊は、小樽のキャンプ場だ。
      市場は営業時間外となったが、スーパーで新鮮な魚介類が手に入った。
      シャコやスルメイカ、カレイもまだ水揚げされているそうだ。
      これらを炭火で焼き、海鮮BBQにしよう。

      「すっごー! こんなの持ってるんだ」
      「いいだろ? 牛タンとか、比内地鶏も焼いたぜ」
      「炭火で焼くと、また違って美味しいね」
      笑顔が溢れた。
      余市で買ったウイスキーで、ハイボールを作る。今夜はこれで乾杯だ。

      ところで…
      「何て呼べばいい?」
      「え? 私?」
      「いつまでかはわかんねぇけど、一緒にいるんなら…名前は?」
      「ジローさんの名前も聞いてないよ」
      「またジローかぁ。まぁいいよ、ジローでも。君は?」
      「好きに呼んで」
      「う〜ん、そうだな、出身地にちなんで。え〜っと、どこだっけ?」
      「高崎」
      高崎と言えば…
      「じゃあ、ん? だ…るま?」
      「ひど〜い! まるでおデブちゃんじゃん!」
      「悪い悪い、はは。でも、願いが叶うんだぜ」
      「そうか。縁起いいじゃん!」
      きゃははははは…
      またあの笑いだ。本当によく笑う。
      「それならいいよ、“だるま”で」

      そんなこんなで、俺と彼女…だるまとの距離はさらに縮まった。タメ口でOKだ。俺にしてみれば、娘が出来たような気分だ。
      「学生?」
      「ううん」
      「社会人か」
      「元アイドルよ。ジローさんは?」
      「元レーサーさ」
      「レーサー⁉︎ ウケる〜」
      「何で?」
      「だってぇ、どう見てもミュージシャンじゃん」
      またそう来たか。
      ミュージシャン、カッコいいけどな。
      「でも俺、ベースは弾けないぜ」

      北の夜は冷え込む。
      だるまは、親元を離れ、東京で一人暮らし。
      どこなのかもよく覚えていないが、東北で一泊した後、青森から俺と同じフェリーに乗り込んだという。
      そんな事を、函館で買ったシュラフに包まって話した。
      「ねぇジローさん、歌って。あの曲」
      「俺が? 何でだよ…」
      「寒いから、体動かしたくなっちゃった」
      「ベーシストは歌わないだろ? テルさんだよ、それは。それに20年も前の曲、よく知ってるな」
      「知ってるよ、いい曲だもん。昔のって言ったら、昭和歌謡だって知ってるんだから。そっか、私、アイドルだから自分で歌わなきゃ」

      だるまは、かの名曲を呟くように歌い、踊った。
      「即興ダンス出来るんだ! さすがだな。キレッキレだ」
      「うふふ、元アイドルをナメんなよぉ!」

      夜は更け、だるまは自分のテントに潜り込む。眠りについたようだ。
      俺はランタンの灯りを絞り、かすかな光を見つめて考えた。
      彼女は、何故旅をし、俺なんぞについて来るのだろう?
      俺の後を走る時、ヘルメットの中では、どんな顔をしているのだろう?
      知らなくてもいい事かもしれない。
      だが、知っておかねばならない事なのかもしれない。
      出会いから友達となり、一緒に旅をするというのは、北海道ではよくある事と聞く。
      これは、そういうものなのだろうか?
      それで片付く事なのだろうか?
      底抜けに明るいようで、時折見せるどこか哀しげな表情を、俺は…

      見逃さなかったのだ。


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #謎の女子は元アイドル
      #高崎のだるま
      #小樽
      #ニッカウヰスキー
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月13日

      76グー!

      北に上陸して最初の夜が明け、道内を日本海側へと北上する。
      俺の後には、何故かレブル250。フェリーで出会った彼女が、ちゃっかり付いてきたのだ。

      「その娘、私、何か気になるわ」
      電話の向こうの妻は、何かを察したようだ。
      確かに、テント泊とは言うが装備のずさんさは気になる。
      本当に訳ありで旅に出た俺でさえ、キャンプをするにあたっては充分な装備だ。
      「あなたも訳あり人なんだから、その娘の気の済むまで相手してあげたら?」
      「その方がいいか」
      ついでに…
      「くれぐれも、変な気起こしちゃダメよ!」
      「ええ〜? 俺ってそんな奴か?」
      「違うよね。そんな甲斐性ないよね! あははは」
      「うるせぇよ! ははは」
      兎に角俺は、しばらくこの娘を引き連れて走る事になったようだ。

      「雷電温泉って…」
      「ここ?」
      「…のようだな」
      かつて9軒の温泉宿があったというが、どうやらそれらは相次いで廃業となり、最後に残った1軒も、最近になって閉館したようだ。
      知らなかった。
      「廃墟⁉︎」
      「ゴメン。期待させるだけさせて…あれ?」
      きゃははははは!
      かくも、腹を抱えて大笑いだ。
      「ジローさんって天然⁉︎」
      「情報収集不足だったな、ははは。けどな、ここから海岸線走るだけでも絶景楽しめるぜ」
      「いいから、いいから。お詫びにうに丼奢って」
      「積丹か。行こうか!」

      国道229号線は、道南の日本海側を走る海岸線。その地形は極めて険しく、「山が海へ落ちる」と表現される程の断崖が続く。そのため、計76箇所ものトンネルが掘られ、国道ではその数は日本最多である。
      過去、2箇所のトンネルにおいて岩盤崩落事故があり、その後復旧・対策が行われた。今は整備が行き届いているものの、若干の恐怖心も否めない。
      だが…
      「モグラになったみたいね」
      事故を知らない彼女は、奇岩が作り出す絶景のみならず、トンネルさえも楽しんでいるようだ。

      余別の町を経て、海岸のとある店に着いた。
      「ここのうに丼が最高らしいよ」
      殻から取り出したウニをふんだんに盛り付けたうに丼は「これぞ本物」と称され、全国から旅のライダーが訪れるという。
      メニューはうに丼のみだが、ムラサキウニとバフンウニが選べる。
      「こんなに高いの⁉︎」
      「いいよ。せっかくだから、バフンウニ食っとけ」
      さすがに恐縮したのだろうか? 彼女はムラサキウニを選んだ。
      「甘〜い」
      「甘いね」
      いやしかし、ここに来たならやはり、バフンウニは味わっておくべきだ。
      「ほら、ちょっと食べてみな」
      「あ、うわっ! 美味しい〜」

      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #謎の女性ライダー現る
      #積丹
      #超絶妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月10日

      87グー!

      船は平舘海峡を抜け、津軽海峡へ。およそ3時間40分の航行中、少し仮眠を取りたかったのだが…
      なかなか思うようにいかないものである。

      「えっ? あ…」
      俺の顔を見て何か言いたげに、言葉にもならない声を発する若い女性。
      「どうかしました?」
      「い、いえ、あの…違いますよね? まさかそんな…」
      「だから、何でしょう?」
      「やっぱり違うなぁ」
      とりあえず、何の事か言えよ。失礼な…
      少し間をおいて、またこの女性が声をかける。
      「バイク…ですよね?」
      「そうですけど?」
      「すみません。似てるのでビックリしちゃって。あの方、バイクでフェリー乗って移動なんて、ないと思うし」
      「誰? 知り合いの方?」
      「いえ、もうすぐ函館ですもん。函館って言えば、お兄さん、言われたことありません? 函館出身の超人気バンドの…」
      「まさか。ええっ? 似てるかぁ???」
      「だってぇ、髪型まで似せてるしぃ。きゃははは」
      そういう事か。 あの埼玉で髪を切った時の、美容師の言葉。
      髪型もお任せしたが、なるほど。
      「ね、函館に着いたら、そこからはどうするんですか?」
      「時間も時間だし、キャンプ場まで走るよ」
      「わっ! キャンプですかっ‼︎」
      人懐っこい女性だ。この勢いなら、どうやらキャンプ場までついて来るようだ。それは構わないが、仮眠の時間は完全に奪われてしまった。

      船は函館港に着岸。
      下船準備をするのだが…
      車両甲板で、彼女のバイクに積まれた荷物を見て驚いた。
      キャンプというのに、かなりの軽装備じゃないか!
      「テントしか持ってねえの⁉︎ そりゃダメだよ。とりあえず、シュラフ買いな。夜は寒いから」
      函館に上陸すると、そのままアウトドアショップを探して走る。
      キャンプ場に着いたのは、19:00を回った頃だ。
      米を研いだら、水を吸わせる間にテントを張る。
      「自分で出来るかい?」
      「大丈夫! 骨組み組んで、吊すだけ。お店で『一番簡単なの下さい』って言ったら、これ薦められたの」
      良いものを持っているな。さっき買ったシュラフと同じブランドだ。

      テントは張った。
      「灯りは?」
      「これ(マグライト)でいい?」
      「ああ、照らせれば何でもいいよ」
      俺のランタンも点灯する。
      「わっ! すご〜い」
      「気分、盛り上がるだろ」

      しかし、到着が遅かったために食材もろくに調達出来ていない。
      「飯炊くから、ラーメンライスでもいいかい?」
      「何でも! 食べれるなら。って、え? これでご飯炊けるの?」
      「簡単さ」
      クッカーで炊飯など、全てが新鮮なようだ。目を丸くして見ている。
      一番大きな鍋に、袋麺を2玉投入する。
      「酒は飲むのかい?」
      「あそこ(管理棟)に売ってますよね? ビール。ジローさんの分も買ってきます」
      「お、おい。やめてくれよ、ジローって」
      「だってぇ、お兄さんの名前知らないもん。似てるからジローさんでいいでしょ?」
      「………」

      俺にしては珍しく、ビールを飲む。
      「お近づきのしるしに」
      彼女はそう言って、管理棟にある売店で買ってきた。こんな時は、ありがたくご馳走になろう。

      「ね、明日はどうするの?」
      「特に考えてないけど…雷電温泉って名前が気になるな」
      「温泉? いいな〜」
      「行けば? 別にアテもないんならさぁ」
      「どこ?」
      「岩内」
      「言ってよ〜、意地悪!」
      「ちげーよ。岩内って町だよ」
      「何? オヤジギャグ? きゃはははは」
      はぁ〜……


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #津軽海峡フェリー
      #青森〜函館
      #新キャラ登場
      #GLAY
      #JIROさんに似てる
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年12月03日

      67グー!

      「生き方を仕事と重ねるのは、どうなのかな? 確かに仕事を生きがいにする人もいるけど、多くの場合、一番大切なものを守るために働くんじゃないだろうか?」

      一夜明け、大間崎から北の大地を望む。
      沖縄〜鹿児島は梅雨入りしたと、天気予報で流れた。我が町も、あと数日といったところか。
      九州・福岡で話し込んだあの男性。
      俺の似顔絵を描いたあの人が言った言葉を、あらためて思い返す。
      どうやら俺は、いつしか探すべき道標を間違えていたのかもしれない。だから、まだこの旅を終える事は出来ない。
      「北へ行くか」

      大間〜函館には、1日2便のフェリーが運航されている。
      今、7:20だ。
      ん? 7:20だと?
      「あ〜〜」
      「次は14:10ですよ」
      7時間近くも、何するよ? いっそ青森まで走るか。14:20なら、途中で昼飯を食っても間に合うはずだ。
      「じゃ、青森からの乗船券発行しておきましょうか?」
      「ありがとう」

      国道279号線で、陸奥湾に沿って南下する。野辺地からは4号線となる。
      この辺りでそろそろ昼飯としたい。

      「浅虫温泉の手前に、海鮮丼専門のお店があるそうですよ。いかがです?」
      なかなか良さげだ。行ってみよう。
      野辺地手前の海岸線で追い付いた赤いカブは、60周年アニバーサリーモデルのようだ。県内をツーリングしていると言う。
      これから向かう先の人ではないが、県内の情報は県内の人に訊くのがいい。
      期待通りの返答だ。

      「綺麗な赤ですね」
      「でも、郵便と間違われたりするんです。あははは」
      110ccか。こんなのでトコトコ走ると、また見える世界が違うのだろう。
      かつてGPZ1100に乗っていた友が、今はスーパードリーム110に乗って楽しんでいるのも、そんな感覚なのだろうか?
      「今日は、きっと300km近く走る事になると思います」
      「おお! 走りますね」

      カブ氏と別れ、浅虫温泉方面へ。
      例の食堂らしき店を見つけた。
      「大間のマグロ丼か! コレは食べないとな」
      その名を知らない人はいないかもしれない、大間のマグロ。青森に来て食べないという選択肢はない。
      それにしても、何というボリュームだ⁉︎
      どれだけのマグロを食べたら米にたどり着くのだ?
      コスパは相当なものだと言えよう。
      身も艶々な赤。じっくりと、その味を噛みしめた。

      浅虫温泉から40分程走ると、港町の趣となる。青森港だ。
      かつては青森駅〜函館駅を結ぶ連絡船が運航されていたが、今は鉄道は青函トンネルを通るため、船で北海道へ渡るには、津軽海峡フェリーが主となる。
      24時間で8便、航行時間は3時間40分。しばし体を休めながらの移動になるが、函館に着くと18:00。寝る場所は早めに確保する必要がある。
      焦っても仕方ない。疲れた体には幸いかもしれない。
      この船に体を預けよう。


      #道標
      #バイク小説
      #フィクション
      #大間マグロ丼
      #地元人に訊け
      #青森港
      #津軽海峡フェリー
      #北の大地へ
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年11月30日

      76グー!

      人が生きる意味とは?

      数ある生き物の中でも、人は知恵を持ち、言葉を持ち、働く事で生計を立て、生きがいを見出す生き物。
      あくまでも俺が思う事ではあるが、そうじゃないとすれば人の特徴って何だ?

      そんな“人”は、仕事や生き方を自分で選ぶ事が出来る生き物だ。
      また、自分が働く事で、見ず知らずの他人でさえ、どこかで幸せを感じる事が出来る。
      人が…俺たちが生きる意味って、そういうものじゃないだろうか?

      俺は今、働く事をやめている。
      そんな俺は、誰を幸せにしている?
      こんなのじゃダメだな。

      恐山は、下北半島の中央に位置する活火山だ。その名は日本三大霊場のひとつとして知られるが、正式名称は“恐山菩提寺”であり、山全体が霊場となっている。
      だが故人を想うために来たのではない。
      “あの世”に近い場所と言われるここで、「生きること」について考えてみるのもいいかもしれない。
      そう思ったのだ。

      それにしても、こんな俺をここまで引っ張って来たのは…

      「何で俺はこのオヤジの後を走ってんだ?」
      そう、“マウントオヤジ”である。
      よりによってだ。
      バイクの話をさせてもクソつまらないし、余計な事を口走っては人を苛立たせるが、年の功なのか? 妙な説得力ある人生論を展開し、俺をここまで走らせたのだ。

      そんなオヤジは、浦安でステーキハウスを経営し、毎月とんでもない額を売り上げているという。
      「金はあるんだ」
      こんな言葉を繰り返す面倒くさいオヤジだが、これも成功者のみが発する事の出来る言葉だと受け止めざるを得ない。
      「働く事が全てじゃないけど、働く事で人を幸せに出来るんだよ」
      この不思議なオヤジは、そんな言葉を発した。
      そしてその言葉は、俺の心の奥にグイグイと入り込んできたのだ。

      ここ恐山でマウントオヤジとは別れた。
      俺に名刺を渡し、「浦安に来たら食べにおいで」と言った。
      「そんなに簡単に行けるかよ…」

      俺は、この“マウントオヤジ”に、この世に存在する物にはそれぞれに意味がある事を伝えた。
      あんなに面倒くさいオヤジが、俺如きの言葉に耳を傾けた。

      一方で、あの“マウントオヤジ”は俺に、人が生きる意味について伝えようとした。
      俺も、オヤジの言葉に耳を傾けてみた。
      そいつが意外にも面白かったのだ。
      不覚と言えば不覚なのだが、これがこのオヤジの持ち味なのだろう。

      「誰かのために生きる」とは、よく歌われる歌の歌詞として聴いたことがある。
      俺はこの言葉に違和感を感じていた。
      そんな綺麗事を実践してる奴などいないはずだ。働く事も、誰かを愛する事も、自身の喜びに繋がる。
      結局のところ、人は自分が可愛く、自分のために生きているのだと思っていた。

      …でもそれは、違うのかもしれない。
      マウントオヤジの言葉、そして、故人を想い訪れる人々、死して尚愛され続ける人。
      人は、知らず知らずのうちに誰かのために生きているのかもしれない。

      一人旅に戻った俺は、その場で空を見上げてみた。


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #マウントオヤジ
      #人生論
      #大切なもの
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年11月25日

      83グー!

      十和田から北へ進路を取る。
      実はこの先の七戸に、気になるスポットがある。
      コンクリート製の、大きな建物だ。

      「これがローカル鉄道の駅だったのか?」
      それは、たった一両の小さなディーゼルカーが発着する駅だったとは思えない程、立派な駅舎だ。
      廃線になったものの、その愛くるしい表情の車両は今も保存されていて、土日には一般公開もされているのだ。
      実際に見ると、何とも小ぶりで可愛らしい車両だ。現役の頃に乗ってみたかった。

      「遠くから来たねー」
      車両を眺めていると、背後から声をかけられた。
      ライディングウェアを身に纏うが、何か嫌な予感をさせるオヤジだ。
      「実はワシもね〜」
      やっぱり始まった。
      格好を見ればわかるんだよ。
      適当に相槌を打っていたが、このオヤジの放った一言が癇に障った。

      「これ、何cc」
      「250ccですけど…」
      「ふぅん…」
      「何か?」
      「何でもっとデカイのに乗らないの?」
      はぁ…排気量マウントかよ。
      「俺、コイツが好きで乗ってるんすけどねぇ」
      「何でよ? 1000ccとか、速いだろうに」

      何のつもりだよ、このオヤジ。面倒くせえけど、ちょっと応戦してやるか。
      「あのね、デカイのが速いのはわかってますよ。じゃあ、俺が遅いバイクに乗ってたら、何か悪いことでもあるんですか?」
      「いや、そんな事言ってるんじゃないけどね、こんな遠くまで走って来るんなら、デカくて速い方が楽なんじゃないの?」
      「だから、俺はコイツが好きで乗ってるんですよ。俺がコイツに乗ってたら、貴方に何か不都合あります?」
      「あ、あ、あ…」
      「ね! おっちゃん、バイクっていろんな排気量とかタイプとかあるけど、それぞれに弱点もあれば、利点もあるんですよ。それを判断したり、受け入れたりするのは乗り手。乗り手が『良い』と思ったら、その人にとって良いバイクなんですよ。そりゃ1200cc乗ってる貴方は、それがお気に入りでしょう。でも、125ccや50ccだって、気に入って乗ってれば、乗り手にとって最高の相棒じゃないですか。バイクってのは、人にどうこう言われて選ぶモノじゃない。どう乗ってどう楽しむかで選ぶモノじゃないですか。貴方がそうやって推し着せてきても何の意味もないし、小排気量だからって否定するような言い方されても気分悪くなるだけなんですよ。やめてください、そういうの」

      少々言い方がキツかったか?
      ちょっとフォローもしておこう。
      「貴方も俺も、バイクが好きでバイクに乗ってるんですよ。スタイルは違うけど、バイクが好きなら仲間でしょ? お互いを尊重し合えれば、素敵ですよね」

      「確かになぁ」
      わかってくれたようだ。
      バイクは排気量がデカければ良いって訳ではない。
      それぞれのバイクが、意味を持って生まれているのだ。
      それぞれ意味を持って。
      そしてそれは…
      人とて同じなのだ。


      #道標
      #フィクション
      #バイク小説
      #南部縦貫鉄道
      #排気量マウントやめよう
      #それぞれに意味がある
      #それぞれに価値がある
      #超ド級妄想
      #不定期連載

    • Nowa nowa(のあ)さんが投稿したバイクライフ

      2020年11月19日

      83グー!

      夜は明けた。

      十和田湖は、青森県と秋田県の県境を跨ぐ、面積では日本で12番目の広さを持つカルデラ湖だ。
      面積で語ればインパクトは弱いが、水深は日本第3位を誇る。
      北には八甲田山、東に奥入瀬渓流があり、景色を楽しむには申し分ない。

      なのに…
      よりによって雨かよ。
      十和田湖や八甲田山を観るには、雨では条件が悪い。これは仕方ない。
      だが、近景なら…
      奥入瀬渓流なら濡れた木々は瑞々しく、自然の息吹を感じられるだろう。
      天気予報は明日も雨だ。太平洋側へ行けば、しのげそうだ。

      昨夜の電話…
      「こんな会社だが、俺たちの働く場所だ。頑張っていこうぜ!」
      そう言って友と腕を組んだ。
      それなのに俺は、彼の言葉をどこかに捨て去り、会社を辞めた。
      それは、彼に対する裏切り…だったのだろうか?
      「裏切りではなく、相手の本質が見えたという事」
      鳥海山で会った兄弟ライダーは、そう言った。
      ならば、俺は友に「逃げに走る」という“本質“を見せてしまったという事になる。
      彼はこれを、どう捉えているのだろう?
      “裏切り”
      “本質”
      どちらにせよ、俺の恥ずべき部分である事は間違いない。
      ようやく聞くことが出来た、彼の声。
      あの時と変わらない口調で話し、笑う。
      顔は見えずとも、少し安堵した。

      友…か。
      友だからこそ聞きたい事がある。
      確かめたい事がある。
      しかし、聞く事は出来なかった。
      いや、彼の方から話題を変えてきたのだ。
      勘のいい彼の事だ。まだその答は出したくないと思ったのかもしれない。
      「いつか…聞かなきゃな」

      十和田湖の展望を諦め、奥入瀬渓流へと向かう。
      雨に煙り、雫に濡れてしっとりした、約14.5km続く新緑のトンネル。
      初夏へと移りゆく季節の中で、少しずつ変化する自分自身に…
      ようやく気づき始めた。
      そんな気がした。


      #道標
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      #フィクション
      #十和田湖
      #奥入瀬渓流
      #何で雨やねん⁉︎
      #超絶妄想
      #不定期連載