このところ、輸入車にその選択肢を頼っているビッグオフ市場。でも、80年代を中心にじつは活況を呈していたんです。
ああ、高速二人乗り時代の今、カムバック、ビッグオフ! |
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YAMAHA XT500 |
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ご存じ、SR400/500の原型モデルがこれ |
プレイバイク、TT500ベースにデュアルパーパス仕立てにしたのがこのXT500。エンジン、フレームはSRのベースとなるが、パンチのある加速はSRをしのぐ。ヨーロッパでもロングセラーに。 |
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HONDA XL500S |
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この乗り味なら今の
ストリートで大歓迎 |
フロント23インチという大径ホイール装備のビッグトレール。空冷OHC4バルブヘッドのエンジンはトルクフルなばかりか、レスポンスも鋭い。当時のモンスターオフである。 |
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YAMAHA XT500 |
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パリ・ダカ参加モデル
パリ・ダカ初の勝者はこのビッグシングル |
フランス・パリからセネガルの首都ダカールへと続く3週間の冒険ラリーを最初に征したのがこのバイクだった。大型タンク、肉厚のシートに冒険ラリーのエッセンスがにじみ出る。 |
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HONDA XR500R |
後にXL250R PARIS -DAKARの原型に |
欧州ではビッグオフ系モデルのプロモーションに、当時のパリ〜ダカールラリーは格好のアピールの場だった。ラリー仕様のXRはツインリンクもてぎコレクションホールで再会できる。 |
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HONDA XLV750R |
ホンダのVツイン技術を満載した
ビッグオフ |
アメリカのダートラをRS 750Dで戦っていたホンダから出た究極のビッグオフ。空冷45度V型2気筒は位相クランク採用とドライサンプ方式でコンパクト。「55ps、ナナハンのオフ」は驚愕だった。 |
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YAMAHA XT600TENERE |
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西サハラ、テネレ砂漠の名を冠したXT |
単気筒にツインキャブ・YDISを備えツインエクゾーストから効率的にパワーを稼ぐ4バルブエンジンを搭載したラリーレプリカ。30L入りタンク、1人乗り。硬派のビッグオフだ。 |
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KAWASAKI KL600R |
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水冷DOHCツイン
キャブエンジン! |
転倒してもラジエターを壊さない空冷。長い間オフロードバイクにはそんな不文律があった。新時代の幕開けはカワサキから。パワフルな水冷ユニットとエンデューロモデルばりのスリムボディーで魅了。 |
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HONDA XL600R PHARAOH |
デュアルライトと
チューブレスリヤタイヤ |
空冷OHC4バルブエンジンはホンダ独自のRFVCヘッドを採用。赤に塗られたエンジンはマイルドながら高回転までよどみなくパワーを発揮。28L入りタンクの迫力と2人乗りも特徴的。 |
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HONDA TRANSALP600V |
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欧州で大ブレーク
ロードも得意なビッグオフ |
水冷V型2気筒。54度のシリンダー挟み角をもち、位相クランクで一次振動をキャンセルするコンパクトながらアイディアに富むエンジンだ。トランザルプの語源はアルプス越えの旅。 |
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HONDA XRV650 AFRICA TWIN |
HRCステッカーは
伊達じゃない |
パリ・ダカレーサー、NXR 750コンセプトの明瞭な継承者として登場したアフリカツイン。初期型モデルは89年のパリ・ダカのノーマルクラスを征する実力を持つ。今もオフ好きマニアにはビッグネームだ。 |
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YAMAHA
XTZ750 SUPER TENERE |
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並列ツイン搭載の
ハイパワーツアラー |
TRX、TDMの原型となる水冷DOHC5バルブ並列二気筒を搭載。前傾したシリンダーはヤマハ最新のコンセプトを具現化したもの。360度クランクが生み出す加速はマルチ的だ。 |
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SUZUKI DR800S |
750から始まった
巨大単気筒伝説 |
DR650Sが人気を博していたスズキはその上級モデルたるDR-BIGことDR750Sをリリース。その後このDR 800Sが登場した。2本のバランスシャフトで並列ツイン風な加速が魅力。 |
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KAWASAKI KLE400 |
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気持ちいい加速と
充実の装備 |
輸出用の500と兄弟にあたるKLE。水冷DOHC4バルブ並列2気筒エンジンは180度クランク採用で低速よりも中高速で気持ちよい加速を示した。カウル、リヤキャリアなども備えた。 |
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HONDA XRV750 AFRICA TWIN |
ひとつの傑作の集大成がこのモデル |
88年の登場から排気量を750に、93年のフルモデルチェンジ、95年のビッグマイナーを経て連綿と続いたアフリカツインの集大成がこのモデル。進化した新型を待つ声はいまだ絶えない。 |
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バラエティ豊かな
ビッグオフ王国、日本 |
ここに紹介した多くのモデルが、海外での人気ほど盛り上がらなかったけれど、バイク屋さんの店先に並んだことがあるのだ。こんなにキャラクターは豊かだったが、時代も時代だったので、パワーに対してシャーシが役不足だった時期があったことも否めない。
また、70年代から始まった特異な免許制度によって、400クラス以上の市場が縮小していった。時代の風をもろに受けてマイナーの烙印を押されてしまったのがビッグオフなのかもしれない。ただ、ビッグバイクはプレミアムクラスとして成り立っていたから、オフ車を選ぶならやっぱりナナハンを、という心理が当時のビッグバイクライダーに働いていたとしても不思議はないのだけれど。
かたやヨーロッパでは、ロードバイクより安くて燃費もいい、排気量があるから高速道路も楽、遠出にも使える、アップライトなポジションで気負わずに乗れる、何より石畳の道もストロークの長いサスで走破性バッチリ、といいことづくめで人気が高かった。極めつけに、ヨーロッパで多い馬力に対する保険料の設定が比較的安い、というのも秘訣だったようだ。
もちろん、乗って楽しいが基本だから、いくら価格や維持費が安くても、便利さだけならスクーターという手もある。そこを選ばれた理由は、オン8割オフ2割、また舗装路10割という使い方でも、ロードバイク並に峠道を走ってしまう基礎性能にある。昔話になるけれど、トランザルプ600Vのプレス向け試乗会は、CBR1000Fと同時に鈴鹿サーキットで行われた。ストレートではパワーで上まわるCBRが勝ったが、S字からダンロップ下まではトランザルプのほうが切り返しも鋭くCBRに追従したのを覚えている。
高速二人乗りが可能になり、免許制度も適正になった今、もしかすると、こうしたビッグオフモデルたちの登場が待たれているとも思うのだ。もちろん、逆輸入でトランザルプの最新版などが手に入るのは事実だが、オフ性能も楽しみたい、と思うと輸入ブランドの一部に頼らざるを得ない。
普段全然使わないけど、その気になるとオフも行けちゃう。そんな高機能なスポーツツアラーとしてのビッグオフ。軽快なトレールバイクとしてのビッグオフ。オフ好きの目を覚ますようなバイクたちの登場を心待ちにしたい。 |
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