 |
 |
写真=堤晋一、楠堂亜希、松川忍、東広幸、増井貴光、橋本秀法 文=栗栖国安、松井勉 |
才能というハードコアこそ
オフ車ワールドの醍醐味 |
まったく凄い才能の持ち主だ。そもそもオフロードバイクはエクストリームカルチャーの申し子のような乗り物。スティーブ・マックイーン主演の名映画「大脱走」のなかで、有刺鉄線のバリケードを飛び越えるトライアンフの勇姿を思い出して欲しい。時間軸が古かろうが、オフ車は飛び道具であり、自由へと離陸するためのモーターサイクルなのだ。
動いていなければ、まっすぐ立っているのさえ難しいアンバランスな乗り物であるバイクにあって、滑りやすい路面やでこぼこの悪路を走るために造られたオフ車。最初はおっかなびっくりでも、慣れるに従ってもっと速く走ろうという欲求が高まり、さらにチャレンジングな走りに乗り手を傾倒させてゆく。その誘い込みに夢中になれば、楽しさは無尽蔵な広がりを見せ始める。大きなこぶはゆっくり地面をなめて走るより、飛んでしまったほうが速いし気持ちがいい。滑るならそれを逆手にとって、滑らせて曲がってしまえ。
今まで当たり前だった感覚を、オフロードバイクに乗ってスイッチすれば、人間はこれほど大胆にバイクを操ることができるのである。オフ車はそんな才能の持ち主だから、街で乗っても軽快だし、どこかやんちゃな気分が芽生えるのも当然なのだ。
オフロードバイクの才能は様々なレースでも磨かれてきた。アメリカで人気の高い「スーパークロス」は、ジャンプ中心のショーアップされたレースだ。高度と飛距離を稼ぐことが勝利への必須条件となり、それが現在のフリースタイルモトクロスへと続く礎となった。度肝を抜くトリックも、じつはオフロードバイクがレースで身につけた高い身体能力があってこそなのだ。
だから、ストリート用のモデルでも、たっぷりとしたサスストロークとフロントに履く大径タイヤなどの走破性を高めるための構成で、おのずとシート高が高くなる。じつはそのスタイルこそ、オフロードバイクの命。そのあたりを徹底的にアピールして乗りこなしたい。 |
 |
 |
FMX |
|
国内でもビッグレースのサポートイベントとして、あるいは、マルチプレックスなどのイベントで浸透しつつあるフリースタイルモトクロス。略してFMX。ランプと呼ばれるジャンプ台から飛び出し、着地するまでの間にライダーは決め技を披露。時間を追うごとに、難易度と過激さを増す演目に、観客の口は閉まることがない。バックフリップなんて特大トリックを繰り出すライダーもいる。モトクロスを始める動機に、FMXをしたいからという理由で練習をするライダーも少なくないとか。ある意味で、究極のオフ車エンターテイメントだ。 |
|
 |
スーパーモタード |
|
80年代のはじめ、レースシーズンを終えたアメリカで、ロードとモトクロスとダートトラックと、チャンピオンは多いけど、いったい、誰が一番なんだ? と、3種混合のコースで行われたスーパーバイカーズレースが始まり。ヨーロッパで大ブレークし、その波が国内にも届いて久しい。そのアスファルトをメインステージに、オフも交えたコースで走るスタイルは健在で、アスファルトの上をスライドして走るなんとも豪快なライディングスタイルと、前後に履く17インチの小径ホイールのミスマッチが逆にマッシブさを演出して、大ブレーク中だ! |
|
|
|
 |
|