
カウルのないバイク=ネイキッドモデル。単にカウルを持たないというだけでなく、エンジン外観やフレームなど、ほとんどの部分がライダーの目に触れる。また余計なものがない分、車格も適度で取り回しもよく出来る。じつはこの分野は、'90年代に入ろうとする時にカワサキ・ゼファーで確立されたものだ。今に至るまでのネイキッドの流れを見ていこう。Text/Masaki Kohara Photo/ROADRIDER 編集部
脱レプリカを模索した末に現れた新カテゴリーモデル
ホンダCB-1やスズキ・バンディット400/250という新世代カウルなしモデルの後に登場したゼファーは、当時の400cc自主規制値59psに達しない52ps、当然の装備とされた水冷4バルブでもない空冷2バルブに、リンクでない2本リヤサス。この力の入り過ぎなさが、新しい価値観となり、新しいジャンルとしてのネイキッドを生み出した。
カウルなしがバイクのいちジャンルへ変わる
ネイキッドは、ゼファーから始まった。それ以前にもネイキッド=カウルなしバイクはあったじゃない?と言われそうだが、少し違う。それまで、少なくとも'80年代のカウルなしバイクは、カウル付きバイクからカウルを外しただけで成立させた感が強かった。さらにそれ以前、国内ならカウル付き車両の市販が解禁される'82年夏以前には、後付け以外ではカウル付きバイクなんてなかった。
道路が整備されて高速道路が増え、舗装も良くなる。直前にあったバイクブームと相まって技術が進化し、空力やライダーの快適性に目が行く。そこでレーサーレプリカやカウル付きモデルが大人気となる。カウルなしから、カウルありが当たり前に。そうしたレプリカ人気が落ち着いてきて、メーカーをはじめとしたバイク界は次の何かを模索しはじめる。
'89年に送り出されたゼファー(400)は、そのひとつだった。カウルを外すのでなく、元からカウルがなくとも成立する形。剥き出しのエンジン=国産勢の中軸だった直列4気筒やフレームにもデザインを施す。過度な部分のないシンプルな装備に、誰とも競わない適度なパワー。
誰かに勝つナンバー1でなく、オンリー1という価値観が受け入れられ、ゼファーはビッグヒットとなる。これが今のネイキッドのルーツとなった。
国内初のカウル付きバイク
1982 HONDA CBX400F INTEGRA
'82年7月の国内カウル解禁で送り出された最初のカウル付き市販車(ほかにCBX550Fインテグラ、CB750Fインテグラ)のひとつ。当時大人気だった直4モデル、CBX400Fにハーフカウルを装備していた。
中古相場価格●125.5万円~215.7万円
国内750ccオーバー解禁をきっかけに
シリーズ化も成功させたゼファー

1990 KAWASAKI ZEPHYR750
ゼファーの成功から1年少しした'90年夏にデビューしたゼファー750。かつてのZ2のようなラウンドボディに400同様の空冷DOHC2バルブ直4エンジンを組み合わせて、兄貴分としての存在感も示した。
中古相場価格●42.3万円~260万円