バイクのマフラーの種類や交換方法とは?業者に依頼した際の工賃も解説

バイクカスタムの入門でよく行われるのが、マフラーの交換です。見た目の印象をガラッと変えてくれる上に乗り心地も変わり、一粒で二度美味しいカスタムといえるでしょう。

しかし、バイクのマフラーは様々なメーカーから販売されており、その上サイレンサーのみを変えるのか、エキゾーストごと交換するのかといった選択肢まであります。どれを選んでいいか、迷ってしまう方も多いでしょう。

そこで今回は、「バイクのマフラーの種類や交換方法、業者に依頼した際の工賃」までを徹底解説します。マフラー選びの参考にしてください。

バイクのマフラーにはどんな種類がある?

いざ交換しようとマフラーを調べても、「スリップオン」や「フルエキゾースト」といった単語が並び、何が何やら分からなくなってしまうかと思います。
そこでまずは、マフラーの種類について確認していきましょう。

スリップオンマフラー

スリップオンとは「脱着が可能」という意味です。余談ですが、靴のスリッポンも同じ語源です。マフラーにおけるスリップオンとは、マフラーの先端(サイレンサー)のみを交換することを指します。

スリップオンマフラーはサイレンサーのみの交換になるため、基本的に大幅なパワーアップは望めません。しかし、フルエキゾーストに比べて低コストでドレスアップ効果を得られるとして、人気のカスタムとなっています。

また、ドレスアップ効果以外にも軽量化や音質を変える効果もあります。ただしサイレンサーのみの交換なので、軽量化の効果はおまけ程度に考えたほうがいいでしょう。
まとめると、「見た目と音が変わればOK」という人はスリップオンマフラーが最適といえます。

その他、「ノーマルのフィーリングが気に入っていて、フィーリングを変えずに音と見た目だけを変えたい」という人にも適しています。

注意点として、エキゾーストパイプとサイレンサーが分離できない構造のバイクはスリップオンマフラーを装着できません。サイレンサーが分離できるのか、事前に調べておきましょう。

フルエキゾーストマフラー

フルエキゾーストマフラーとは、エキゾーストパイプからサイレンサーまでをまるごと交換するタイプのマフラーです。エキゾーストパイプはエンジンからサイレンサーまでを繋いでいるパイプのことで、略して「エキパイ」とも言います。

エキパイごとの交換になるのでスリップオンマフラーに比べるとコストはかかりますが、その代わり大幅な軽量化とパワーアップを望めます。また、エキパイも変更するのでドレスアップ効果もより高いです。

ただし大幅なパワーアップを望めるのは、しっかりとセッティングをした場合の話です。排気系統がまるごと変わるので、エンジンの燃調や排気効率を合わせないとパワーアップは望めません。
それどころか、そのまま装着すると純正マフラーよりもパワーダウンしてしまう可能性すらあります。
フルエキゾーストマフラーへ交換する際は、セッティングが必須だと覚えておきましょう。

一般的に純正のマフラーは、排気の抜けを適度に抑えて低速トルクを生み出しています。フルエキゾーストマフラーに交換すると排気の抜けが良くなり、トルクカーブが高回転寄りになります。
裏を返せば、あまりに排気の抜けが良すぎるマフラーは低速トルクがスカスカになってしまう可能性があるということです。
そのため、フルエキゾースト交換の際はプロに相談し、愛車に見合った排気効率のマフラーを選ぶことをおすすめします。

サイレンサー

サイレンサーとはマフラーの消音器のことです。一般的に「マフラー」といってイメージされるのはこのサイレンサーのことでしょう。
スリップオンマフラーではサイレンサーを交換しますが、サイレンサーにも種類がありそれぞれ特性が違います。

ストレートタイプ:

その名の通りエキパイとの接合部から排気口までがストレート構造になっているサイレンサーです。

排気の流れがスムーズで、構造がシンプルなので軽量であることがメリットです。その反面、排気効率と引き換えに消音効果が低く、排気音が大きくなってしまうデメリットがあります。
高回転域でのパワーを追求する、レーサーレプリカ系のバイクに多く採用されるサイレンサーです。

隔壁タイプ:

隔壁タイプのサイレンサーは、サイレンサーの中に隔壁と呼ばれる部屋を複数設けることで消音する構造になっています。

隔壁を通るので排気抵抗は大きいですが、その代わりストレートタイプに比べて消音効果は大きいです。ただ、構造が複雑なので重量は重たくなります。
純正で多く採用されるのが、この隔壁タイプのサイレンサーです。

素材にも違いがある

マフラーの種類は交換箇所やサイレンサーの種類だけではありません。素材によっても見た目や重さ、音などが変わってきます。素材ごとにどんな特徴があるのか、以下で見ていきましょう。

スチール(鉄):

マフラーの素材として最も一般的なのがスチールです。加工が簡単でありとにかくコストがかからない点がメリットで、純正マフラーに多く採用されています。

弱点は錆に弱いことで、錆を防止するために耐熱塗装やメッキが施されています。しかし、排気熱によって塗料やメッキが劣化し、そこから錆びてしまうことも多いです。

また、重量が重たいことも大きなデメリットといえます。鉄は、意外に他の素材に比べて弱く、強度を得るために板厚が増えて重くなってしまうのです。

ステンレス:

ステンレスもスチールと並ぶポピュラーな素材です。純正品から社外品まで多くのマフラーで採用されています。

ステンレスは鉄にニッケルやクロムを加えた合金で、スチールよりも錆びにくく強度が高いことが特徴です。また、強度が高いため板厚を薄くでき、重量も軽いです。

特別大きなデメリットはありませんが、カーボンやチタンに比べれば重量は重いです。また、排気熱で焼けたときにチタンのような美しい焼け色にはなりません。
コスト・耐久性・見た目のバランスが非常に良いので、万人におすすめできるマフラーの素材といえます。

カーボン:

マフラーの素材として唯一非金属なのがカーボンです。炭素繊維が織りなす独特な模様が美しく、バイク好きや車好きにはたまらない素材といえます。

カーボンはF1マシンや航空産業にも使われる高性能な素材で、非常に軽量で強度が高いことが特徴です。また、非金属なので当然錆びることもありません。
ただし熱に弱いため、バイクではサイレンサーにのみ使用されます。エキパイとの接合部はチタンで作られることが多いです。

高性能でほとんど欠点がないように思われるカーボンマフラーですが、加工が難しいため製造コストが高くなる点がデメリットです。
コストを抑えるためにサイレンサーの外側のみカーボンを巻いた商品もあるので、ドレスアップ目的の方はそういったマフラーを探してみてもいいでしょう。

チタン:

チタンはスチールやステンレスなど、他の金属に比べて非常に硬くて軽量です。素材自体が軽い上に板厚を薄くできるので、非常に軽量で強度のあるサイレンサーを作れます。しかも錆にも非常に強いです。
こういった特徴から、Moto GPなどのレーシングマシンはチタン製マフラーを採用しています。

また、チタン製のマフラーは排気熱で焼けたとき、虹色のような美しい焼け色になる特徴があります。この独特な焼け色を求めてチタンマフラーに交換する人も多いでしょう。

性能的には文句なしの素材ですが、デメリットはやはりコスト面です。加工が難しいため、全素材の中で最も高価な値段設定になります。

バイクのマフラーの人気メーカー

バイクのマフラーの人気メーカー

マフラーの種類については理解できても、実際にマフラーを購入しようと思うとメーカーで悩んでしまうかもしれません。そこで、人気のマフラーメーカーについてご紹介します。

ヨシムラ

いわずと知れたマフラーメーカー。バイク好きにとって、「マフラーといえばヨシムラ」といっても過言ではないでしょう。ヨシムラ製のマフラーは総称して「サイクロン」と呼ばれます。

鈴鹿8耐など、レースシーンからフィードバックを得た確かな技術で作られるマフラーは、その品質の高さで知られています。品質の高さゆえに値段は高価ですが、性能は間違いないマフラーメーカーです。

モリワキエンジニアリング

ヨシムラと双璧を成す、老舗マフラーメーカーであるモリワキエンジニアリング。レースが好きな人なら、黄色と青色の「モリワキカラー」のマシンを思い浮かべるでしょう。

黄色から青へのグラデーションが美しい「ZEROモデル」というマフラーが有名です。ヨシムラと同様、品質が高く信頼性があります。

アクラポビッチ

国内はヨシムラとモリワキの2強ですが、世界最高峰といわれるのがこのアクラポビッチです。バイク好きの間では略して「アクラ」と呼ばれることもあります。

ヨシムラやモリワキと同様、レースへ積極的に参加しており、非常に高い実績を持つメーカーです。その信頼性からBMWの純正マフラーにも採用されています。

性能的には文句なしですが、国外のメーカーなので装着車種によって、車検に通らない可能性がある点に注意が必要です。購入前に車検対応なのか事前に調べておきましょう。

ビート

ビートは国産のマフラーメーカーで、KAWASAKIとタッグを組んでレースに出ていることで有名なメーカーです。KAWASAKIのバイクに乗っているのであれば、候補に入れておくといいでしょう。

品質面もレースからフィードバックを受けており、信頼性が高く高性能です。ルックス面では、美しいブルーのグラデーションカラーが特徴です。

アールズギア

元プロライダーの樋渡治さんが設立したマフラーメーカーのアールズギア。元プロライダーとしての経験を活かし、徹底的に品質と音を追求したマフラー作りで有名です。

性能に見合った価格設定なので安くはないですが、軽さと音質を追求するのであればぜひ候補に入れるべきマフラーメーカーの1つといえます。

バイクのマフラー交換を業者に依頼すると工賃はいくら?

お気に入りのマフラーが見つかりいざ交換となった場合、交換工賃はいくらぐらいかかるのでしょうか?

マフラー交換の工賃は5,000~24,000円が相場

マフラーの交換工賃は、スリップオンかフルエキゾーストかによって変わってきます。
スリップオンの方が簡単に交換できるので工賃は安く、フルエキゾーストは交換に手間がかかるので工賃が高くなります。
それぞれの交換工賃の目安は以下の通りです。

  • スリップオン=5,000~12,000円程度
  • フルエキゾースト=8,000~24,000円程度

工賃に幅がありますが、これは取り付け車種によって工数が違うためです。スクーターやネイキッドのバイクなどは工数が少ないので工賃が安く、フルカウルのバイクなどはカウルやラジエーターを外す必要があるので工数が増えて工賃が高くなる傾向にあります。
気になる方は、作業を依頼する前に工賃を確認しておきましょう。

バイクのマフラーを自分で交換する方法を解説!

業者に依頼した場合は上記の工賃がかかりますが、自分で交換すればマフラーの本体価格のみで済みます。
「コストを抑えてマフラー交換をしたい!」という方に向けて、セルフでのマフラー交換の方法を解説していきます。

ステップ1.交換前の準備・必要工具

まずは必要な工具を準備しましょう。マフラー交換に必要な工具はそれほど多くなく、以下の基本的な工具を用意すれば、問題なく作業できるでしょう。

  • 車種に合わせたサイズのソケットやメガネレンチ(一般的には8~14mmで事足ります)
  • ニッパー(もしくはペンチ)
  • マイナスドライバー

ステップ2.マフラーを取り外す

必要な工具が用意できたら、マフラーを取り外していきましょう。まずはエキゾーストフランジ(エキパイのエンジン接合部)と排気ポートを留めているボルトを緩めます。その後、マフラーを固定しているボルトを全て緩め、ゆっくりと取り外してください。

マフラーを取り外したら、エキゾーストフランジ、もしくは排気ポートにくっついているガスケットを剥がしてください。固着している場合はマイナスドライバーなどを使いましょう。
ガスケットが綺麗に剥がれた場合は再利用できそうに見えますが、排気漏れの原因になるので必ず新品に交換しておきましょう。

ステップ3.新しいマフラーを取り付け

マフラーとガスケットを取り外したら、新しいマフラーを取り付けていきましょう。新品のガスケットをセットし、エキゾーストフランジと排気ポートをボルトで仮止めします。最終的な位置決めは後で行うので、この時点では手で締める程度の仮止めでOKです。

エキゾーストフランジが仮止めできたら、エキパイやマフラーを止めているボルトを順に締めていきましょう。全てのボルトを固定したら、最後にエキゾーストフランジのボルトを本締めしてください。

ステップ4.排気漏れチェック

マフラーを完全に固定できたら、最後に排気漏れがないかエンジンをかけてチェックしてみましょう。エキゾーストフランジやサイレンサーなど、接合部を重点的にチェックしてください。

排気漏れは目で見ても分かりにくいので、ティッシュなどを近づけアクセルを吹かしてチェックするといいでしょう。アクセルを吹かしてもティッシュがなびかなければ、排気漏れはないと判断できます。

ちなみに、上記の交換手順はフルエキゾーストタイプの交換手順です。スリップオンマフラーの場合はサイレンサーのみを交換すればいいので、作業の工程が少なくなります。

バイクのマフラーを交換したら気を付けたい車検について

バイクのマフラーは、排気ガスを浄化し排気音を抑えるために装着されるパーツです。そのため、音量や排気ガスが基準を満たさないと、車検に通らなくなってしまいます。
マフラーと車検の基準の関係について、確認しておきましょう。

音量規制値に注意

バイクのマフラーを交換する目的として、「好みの音質に変える」という目的がありますが、マフラーには音量規制値が定められています。大きくて迫力のある音が好みだったとしても、基準値を超えるマフラーは装着できません。

音量規制値に適合しているマフラーかを見極めるには、「JMCA認証」が役に立ちます。JMCA認証は、国の認証制度に適合しています。マフラー選びの際は「JMCA認証」の有無を確認するといいでしょう。

平成28年に基準が変更

平成28年度4月20日から施行された新法により、バイクの保安基準が変更されました。その内容を以下にご紹介します。

  • 新基準は、平成28年10月1日以降に生産されるバイクとマフラー関係のパーツ全てに適用される
  • 社外マフラーにも適合認証が義務化
  • 社外マフラーの音量は取り付ける車両の音量に準じたものでなければならない
  • 新車時の騒音測定に加えて、社外マフラーも認定時の騒音以上になっていないかを車検時に計測する

簡単にいえば、社外品マフラーに対しての規制が厳しくなったと解釈できます。しかし、社外品マフラーであってもJMCA認証品など車検適合のものであれば、問題なく車検に合格できます。

まとめ

いかがでしたか?バイクのマフラー交換は、見た目と乗り味の両方を一気に変えられる一石二鳥のカスタムです。自分の好みのサウンドやルックスのマフラーに交換すれば、よりバイクライフが楽しくなるでしょう。
そしてマフラー選びの際は、車検適合品であるJMCA認証のマフラーを選ぶと安心です。認証マフラーの中で探し、自分好みの1本を見つけてください!

本記事は、2020年2月6日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。