原付のエンジンオイル交換は必要?交換の頻度や自分で交換する手順も解説
原付バイクに長く乗り続けるには、大排気量のバイクと同様に、エンジンオイルの定期点検や交換が必要です。原付バイクを安く購入した人の場合、少しでもメンテンナンスコストを抑えるために、セルフでのエンジンオイル交換を検討することもあるでしょう。
今回は、バイクの初心者向けに、原付におけるエンジンオイルの役割とエンジンオイル交換の必要性を確認したうえで、オイルの選び方やセルフと専門店で交換するときのポイントを解説します。記事後半では、原付バイクにおすすめのエンジンオイルも紹介するので、購入時の参考にしてください。
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原付のエンジンオイルの役割
エンジンオイルは、原付などのバイクや普通自動車に搭載されたエンジンを動かすうえで欠かせない潤滑油です。エンジン内部を巡り、以下のようにさまざまな役割を担うことから、人間の血液に例えられることもあります。
潤滑
潤滑作用は、エンジンオイルで最も大事な役割です。エンジンのシリンダー内では、ピストンやクランクシャフト、カムシャフトなどの部品が、1分間に数千回転もの高速運動をしています。
さまざまな部品がこれだけ高速で動くという状況は、金属同士の摩擦によって摩擦や劣化などのトラブルが起こりやすいことを意味します。そのため、原付などのエンジンを効率良く動かし続けるには、内部をエンジンオイルで満たすことで、各パーツを滑らかに動かす必要があるわけです。
オイルに汚れや著しい減少が生じた場合、金属同士の摩擦や摩耗が増えることで、エンジンの不具合が起こりやすくなります。
密封
エンジンの動力は、シリンダー内でピストンが動くことで発生します。ピストンを高速で運動しやすくするには、シリンダーとピストンを密着させるのではなく、各パーツの間にわずかな隙間が必要です。
しかし、隙間があると気密性が低くなり、エンジン内の燃焼から生まれたエネルギーを逃してしまう可能性が高まります。その結果、エンジンのパワーロスやブローバイガス排出といったトラブルが起こりやすくなるでしょう。
原付などのエンジンでは、気密低下による問題を防ぐために、エンジンオイルで隙間を塞いでいます。
冷却
エンジン内部は、燃焼や摩擦によってとても高温です。高い温度のまま走行を続けると、部品が熱で変形したりエンジンの焼き付きが生じたりします。この問題を防ぐために、エンジン内部では、オイルが熱を吸収しながら循環し、オイルパンという機構のなかで油そのものが冷却されるようになっています。サーキット走行などをするバイクの場合、エンジン内部の温度がさらに上がることから、オイルクーラーが取り付けられることもあります。
洗浄
原付のエンジン内部では、燃焼や各パーツの回転運動によってスラッジと呼ばれる媒や鉄粉の汚れが生じます。スラッジが蓄積すると、エンジンのパフォーマンスが発揮されなくなったり、エンジンそのものの寿命が短くなったりするのが一般的です。
エンジン内部を循環するオイルには、特定の場所にたまったスラッジを絡め取り、エンジンをきれいに保つ役割もあります。定期点検したときにオイルが真っ黒に汚れていれば、洗浄作用がきちんと働いていたと考えてよいでしょう。
ただし、エンジンオイルが汚れを吸着できる量には限界があります。エンジン内部をきれいに保つには、定期的なオイル交換が重要です。
防錆
エンジンを燃焼するには、空気の取り込みが必要です。ただし、空気には、水分も含まれています。水分は通常、エンジンの熱で蒸発してしまいます。一方で、温度が上がりきらない場合は、エンジン内部に水分がたまり、鉄製パーツが錆びる原因になってしまうのです。
エンジン内部をオイルが循環していると、油膜によって鉄製のパーツと水分や空気が触れにくくなります。
エンジンオイル交換の必要性
原付バイクを購入したばかりの初心者や乗車頻度が低い場合、エンジンオイルの定期点検や交換の必要性を感じないかもしれません。しかし、原付バイクにおいても、エンジンオイルの点検・交換は必要です。
交換の目安
原付は、排気量が小さくパワーが少ないバイクです。そのため、例えば、交差点での信号待ちからの発進では、周囲の流れに乗るためにアクセルを開き気味で使う機会が多くなります。こうした使い方をすることから、原付は二輪車のなかでもエンジンの負荷がかかりやすい種類です。
原付におけるエンジンオイルの交換頻度は、厳密には、バイクに乗る頻度や乗り方によっても異なります。基本的には、1,000km~2,000kmまたは3~6ヵ月ごとを目安に点検・交換をしていくとよいでしょう。指標となる距離や期間の経過を待たずに、早く交換する分には問題ありません。
エンジン内のオイルは、ただ放置しているだけでも空気に触れて酸化していきます。そのため、例えば、真冬でしばらく乗っていない場合などは、本格的にまた乗り始める前のオイル交換をおすすめします。
点検のやり方
原付バイクにおけるエンジンオイルの点検は、以下の流れで行ないます。
原付バイクの場合、オイル容器のキャップにレベルゲージが付いていることが多いです。レベルゲージを差し込むときには、ねじ込まないようにしましょう。
新しいエンジンオイルの色は、蜂蜜のような黄色です。これが、長期間エンジン内部を循環すると、汚れによって墨汁やコーヒーのような黒色になります。交換の目安になるのは、濃い紅茶色です。また、ゲージのロワーレベルよりも少ない場合も、オイルの補充が必要となります。
オイル交換をしないと・・・
濃い紅茶色のようなオイルを交換しない、あるいはロワーレベルよりも少ない状態で補充をしない場合、先ほど説明した以下の役割を果たせなくなります。
その結果、エンジン性能が下がると、パワーや始動性の低下、異音などの問題が起こりやすくなるでしょう。また、こうした症状が出ている状態でもオイルの補充や交換をしなければ、エンジンの故障につながります。
原付のエンジンオイルの選び方
自分で原付のエンジンオイル交換をするときには、以下のポイントを確認しながら自分のバイクに合ったオイルを選びましょう。
ベースオイル
原付バイクに使えるベースオイルには、以下3種類があります。
鉱物油
原油を蒸留して精製した、最もスタンダードなベースオイル。後述する2種類と比べると性能的に劣るものの、きちんと定期点検や交換をすれば問題なく使える種類です。お財布に優しい価格も、原付ユーザーにうれしい特徴でしょう。
化学合成油
鉱物油と同じような原油を使っているものの、高い技術で不純物を取り除くことで、分子の大きさ・形が均一に仕上げられたベースオイル。全合成油とも呼ばれます。油膜が強いため、潤滑性や耐熱性、寒い環境でも始動性が高い点が魅力です。パフォーマンスが最も高い一方で、価格も高い種類になります。
部分合成油
鉱物油と化学合成油をブレンドすることで、双方の良いところを活かしたオイル。性能・価格ともに、鉱物油と化学合成油の中間ぐらいになります。鉱物油の弱点である寒い環境での始動性の悪さや、揮発性の高さなどをカバーしている商品が多いです。
粘度
原付用のエンジンオイルを買うときには、粘度表示も確認しましょう。
シングルグレード
「SAE30」「SAE40」のように、数字が1種類だけ表記された種類。油温が100度のときのオイルの硬さのみを表します。マルチグレードと比べて古く、対応できる温度も幅も小さいことから、近年では、ハーレーの旧車オーナーを中心に使われる規格です。原付ではあまり使われません。
マルチグレード
「10W‐30」や「5W‐30」のように、2組の数字で表記されたグレード。左側のWはWinterの頭文字で低温時の粘度、右側の数字が高温時の粘度を表します。左右の数字が離れているほど、幅広い環境に対応できるオイルです。
低温時の粘度については、数字が小さいほど寒冷地でもオイルが硬化しにくいことを意味します。高温時粘度については、数字が高いほうが気温の高い環境でオイル粘度が維持できるという意味です。
JASO
日本自動車規格によって定められたJASO規格を選ぶうえでは、まず、自分の原付バイクが2ストローク車と4ストローク車のどちらかを確認します。
4ストローク車用のJASO規格では、摩擦特性と粘度からオイルの特徴を示す以下4種類があります。
小~中排気量ではMA1、大排気量はMA2が選ばれることが多いです。原付バイクの場合は、最も低い摩擦性能を持つMBを選択するとよいでしょう。
2ストローク車の場合は、FA→FB→FC→FDと、Fの右のアルファベットが大きくなるにつれて、グレードが高くなります。
実際の選び方
通勤通学や街乗りなどの用途なら、最も手頃な鉱物油で十分です。ただし、鉱物油の場合は、ほかの2種類と比べて性能的に低いことから、エンジンのパフォーマンスを維持するために、定期点検や交換をきちんと行なう必要があります。
種類やポイントが多すぎてどれを選べばわからない場合は、メーカー推奨のオイルにするとよいでしょう。JASO規格についても、自分のバイクで要求されているスペックにすれば問題ありません。
原付におすすめのエンジンオイル3選
原付バイクにおすすめのオイルを3つ紹介します。
ホンダ ウルトラE1
ホンダのエンジン向けに開発された、4サイクルスクーター向けのベーシックオイル。摩擦低減剤の働きによってフリクションロスを減らすことで、エネルギーを効率良く伝えられるオイルです。JASO規格はMBです。手頃な価格の商品になります。
AZ MEO‐12
老舗メーカーが手がけた、4サイクルエンジン用の化学合成油。流動性の高さからエンジン保護を効率良く行なえることや、寒い時期での始動性が高い特徴があります。コストパフォーマンスに優れたオイルです。
ヤマハ ヤマルーブ Blue ver. スクーター
ヤマハの4サイクルスクーター向けに作られた、低フリクションオイル。ベースオイルは部分合成油を使っているため、エンジンに負荷がかかる渋滞やツーリングが多い原付にもおすすめできます。なかでも、乾式自動遠心クラッチ仕様のヤマハスクーターに最適な商品です。
自分で原付のエンジンオイルを交換する
原付バイクのオイル交換は、セルフで行なうことも可能です。基本的には、説明書で確認した規定量や規格どおりのオイルを購入し、サービスマニュアルなどを見ながら交換作業を進めていきます。
ここでは、セルフで原付バイクのオイル交換をする場合に必要な道具と、具体的な手順を確認しておきましょう。
必要な道具
具体的な手順
一般的な原付バイクでは、以下の流れでオイル交換を行ないます。
オイル交換をプロに任せた場合の料金や時間は?
自分でオイル交換を行なう自信がなかったり、道具をそろえたりするのが面倒な場合は、プロに任せるのがおすすめです。ただし、原付やバイクの場合、ガソリンスタンドやカーショップでは対応していない可能性があります。原付のオイル交換について相談するなら、バイクショップに問い合わせるのが確実でしょう。
バイクショップのオイル交換料金は、1,000円~3,000円ほどの相場です。お店が混雑していなければ、10分~30分程度で作業が完了します。自宅の近所にある店や工賃の安いショップを探す場合は、グーバイクを活用してみましょう。
まとめ
原付のエンジンオイルには、以下5つの役割があります。
オイルに濃い紅茶色以上の汚れが生じた場合、正常な役割を果たせないことで、エンジンのパフォーマンスが下がりやすくなるでしょう。また、オイルが悪化した状態で原付に乗り続けた場合、エンジンが壊れる可能性もあります。
原付のエンジンオイル交換の目安は、1,000km~2,000kmまたは3~6ヵ月ごとです。オイルの定期点検や交換はセルフでも可能ですが、不安な場合やプロに任せたい場合はバイクショップに依頼をしてもよいでしょう。
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本記事は、2024年3月27日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。