とがったノーズと最小限のフェアリング。そこに潜り込むような姿勢をライダーがとると、まるでスタートラインに並んだ短距離走の選手のようだ。引き締まった足まわりと、圧倒的なコーナリング性能に「ああ、これに乗ってきて良かった」と、思わずニンマリすることになる。
そんなスーパースポーツ群のなかで、この春、とても気になる存在なのがCBR600RRだ。一見すると倒立フォークがついただけ見えるが、じつは、04モデルとはフレーム、スイングアーム、エンジンなどが異なる、スタイルキープのフルモデルチェンジを施されているのだ。
兄貴分の1000RRと比較してみると、さすがにボトムエンドのトルクは1000RRの圧勝。発進もアイドリングでクラッチをつなぐだけでスイスイ走り出す。でも、低中速トルクを出すために、吸気経路の形状を見直した新型エンジンを載せる600RRも負けていない。
まず、頻繁に使う4〜5000回転あたりのトルク感がとてもわかりやすい。とくに高速道路を流していて、シフトダウンせずに加速するとき、従来モデルでは一気に2つシフトダウして回転を上げたくなるような場面でも、6速のままストレスなく加速をする。さらに、一般道で車の流れに合わせて走るときも、低回転でのじれったさとは無縁。良くできたバイクだなと実感できる。
そんな弟分の進化に、兄貴分は、電子制御ステアリングダンパーや、同じ台形ながら、大型サイズのメーターまわりなど、全体にあふれる上質感で対抗する。ツーリングではポジションを含め、1000RRのほうがマイルド感があり、600RRのほうがよりホットな姿勢を強いるところがあったと付け加えておこう。 |
 |
1000RRの電子制御ステアリングダンパーはツーリングで出くわす路面の荒れに有効。メーターの表示サイズは1000RRのほうが大きく視認性がよい。φ41mmカートリッジタイプの倒立フォークを採用し、フロントブレーキキャリパーはラジアルマウントとなる。ラジアルマスターシリンダーは、スペースの都合で採用していない。600RRは新たにマフラーエンドの形状を丸エンドから楕円エンドに変更。1000RRのテールカウルはフロントカウル、フォークピッチなど、サイズに併せて幅広デザインを採用している。600RRはリヤスイングアームの形状も見直されて、フロントエンドからフレーム、そしてリヤアームと、シャシーまわりはすべて新設計となる |
|