これまでとは明らかに違う新しいバイク時代を迎えようとしている
スリムだったエキゾーストに触媒、キャブからインジェクション・・・・・・と
排ガス規制に対応し、より環境に優しい乗り物となった
しかしいまだはっきりとしない騒音規制。開発を進められない現状
そのあおりは名車達がカタログから消えていくと言う形となっている
未だ決まらぬ騒音規制の全容メーカーは? 主要モデルは?

9月のとある日、久々に各メーカーのホームページを見ると……。生産終了モデルのマークがあちこちのマシンに付けられていた。
40代後半のユーザーにとっては、バイク=ナナハンだ。昭和40年代に登場した、あのCB750。30年以上の時代の流れがあるのだから、簡単に比較はできない。でも、カタログからCB750と言う車名が、一時的であったとしても消えることは寂しい。
なぜ、こんなことになってしまったのか??たしかに不況もあると思う。人気がなく、思ったほど売れなければ消えていく。それでもメーカーは、ファンがいる以上、残してくれている。オフ系などはいい例かもしれない。
一昔前は走る場所がいっぱいあった。それが今は圧倒的に少なくなった。親鳥か卵か……。走る場所が少なくなり、立ち入り禁止区域に入って、走りまわるからなのか、その逆なのかはわからない。でも、走る場所が少なくなったの は間違いない。それが原因なのか定かではないが、オフ系のバリエーションが減ったのは事実だ。それでも完全に消え去るわけではなく、ヤマハはWRのようなすごいバイクを送り出している。
少し話はそれてしまったが、すべては数年前から始まった規制だ。大きく分けると、この規制は排気ガスに対するものと騒音だ。排ガスと呼ばれる規制に関しては、国内メーカーの持つ技術からすれば、クリアすることはそんなに難しいことではない。
実際、触媒にインジェクション、水冷化などでクリアしている。それよりもメーカーが苦労しているのは、そのモデルらしさを持たすことだ。排ガスはクリアしても、ライバルとの差がはっきりしない。いわゆる個性がなくては、ボク達も買う気にならないからだ。
それ以上にメーカーが頭を悩まさせているのが、騒音規制だ。最初にお国が出してきた案は、それはそれは厳しいものだった。そもそもは、幹線道路の沿線住民の「うるさい。なんとかしてくれ」から始まったと言われている。規制の線をどこに引くか??新車から規制してしまえば……。

4輪のときはこのやり方でなんとかなった。しかし、バイクはそうはいかない。多くの人は「マフラーの消音器をデカくして、規制数値まで落とせばいい」と簡単に言ってくれる。
ところが現実は違うのだ。4輪はエンジンの大半がボディで覆われている。ボンネットの裏側などには、防音材が使われていたりして、しっかりと遮音されている。
4輪に対し、2輪は……と言うと、エンジンは基本的にむき出しだ。スーパースポーツが比較的早く対応することができたのは、カウルで覆われている部分が多いからだ。
とはいえ、スーパースポーツならではの問題がないわけではなかった。スーパーバイクへの参戦。ライバルに勝つ。速さの追求が必要だ。その目的に向けて、無駄な贅肉は削ぎ落としている。
クランクケースのカバーひとつとっても、スーパースポーツは薄い。軽量化のためだ。ところがメカニカルノイズは、どうしても大きくなってしまう。
ヨーロッパを始めとする海外では、ここまで厳しい騒音規制をしいてないから、本来の目的に向かって進化している。ちなみに現時点でスーパースポーツの国内仕様を出しているホンダは、この騒音規制をクリアするために、国内仕様には防音カバーを装着して対応している。
いずれにしても、お国が出してきた数値が厳しいことは間違いない。この数値で決定してしまうと、輸入モデルは、ほぼ全滅。アフターのマフラーメーカーも消滅。

そんな事情から、この数値の見直しが検討されることになった。正確には棚上げ状態。緩和される可能性もあるが、そのままで決まる可能性もある。
お国が決めた数値をクリアすべく、メーカーは対策を施してくる。しかし、棚上げ状態のままだと……。厳しい数値を想定してマシンを作ればいいように思うが、実際に発表された数値が緩和されていたら……。
億単位の開発費をかけたというのに、後発組のライバルのマシンより遅く、フィーリングも悪いではシャレにもならない。フルモデルチェンジの時期を迎えているマシンは、このタイミングで規制をしっかりとクリアしておきたい。でも、その規制が揺れ動いている。現時点でメーカーは、はっきりとしたことは教えてくれない。でも、どんな数値になろうとも、すぐに対応できる準備は整っている……はずだ。カタログ落ちした主要モデルが復活する日、そんなに遠くはない気がする。