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憧れの輸入車特集 　「パパサン？　確かにカッコイイけどハーレーでしょ。いかにも王道って感じがしてつまんない」。 　なんて可愛げのないことを口にしていたのはつい最近までのこと。ふと、結婚、出産、子育て……三十路過ぎの私にこれから襲いかかるであろう人生の大行事について指折り考えていたら、「いつかは外車オーナーに」という夢を漠然とさせたままでいるほど時間の余裕はないってことに気がついた。されど大きなお買い物。長く付き合うことを考えたら、安いに越したことはなく、気負わず乗りまわせて、しかもオーナーであることに絶大なステータスを感じられるオートバイがいい。結局、星の数ほどある輸入車のなかから少しの迷いもなくパパサンを選んでしまった。新車で100万円を切るお手ごろ価格と、おチビの私にも安心の足着き、そしてなんと言っても一生に一度は乗っておきたい憧れのブランド。タンクのデカールを人差し指でなぞって早くもぞっこんデレデレである。 　ハーレーが作るオートバイには5つのカテゴリー（＝「ファミリー」）があって、XL883Lはダートトラックレーサーをルーツとするスポーツスターファミリーの出身。ほかのファミリーに比べて軽量、コンパクトで、スポーティな走りを楽しめるのがよいところだ。さらに883Lの「L」は「ロー（低い）」の意味で、ローシートとローダウンサスペンションが採用されて足着き抜群。両足裏がベッタリと地面につくから、シートにまたがったまま取りまわせば260kgの鉄の塊もなんとか従えることができる。立ちゴケの心配から解放されるだけで「今日は一人で走ってみよう」「今度はもっと遠くへツーリング」って具合にひと皮剥けた大胆な女になれてしまうんだから、このロー仕様にもう病みつきだ。 　さて、セルをまわすと大振りなVツインエンジンが「ズドズドズドッ！」と股ぐらで大きく震えて、豪快な排気音が響き渡る。04年モデルからエンジンがラバーマウント化、つまりフレームとエンジンの間に噛ませたゴムが過剰な振動を吸収するようになったおかげで、爆発フィーリングは思いのほか穏やかだ。「え？　これがハーレー？」と物足りない気もちょっとするけど、ロングツーリング派の私にはこれくらいが快適に走れる限度かもしれない。とはいえ、07年からフュエルインジェクションが採用されたことを加味しても、ハーレー独特の鼓動感は健在。跨っているだけで気持ちがいいなんてステキでしょ？ 　だけどいざ走ってみると期待外れもいくつかあった。右ひざの内側にエアクリーナーがゴツゴツと当たって不快だし、左側にはニーグリップできるものが何もない。ここは潔くガニマタ走りをキメて、シートのくぼみにお尻をギュッと押し当て、曲がりたい方のステップを踏み込むと荷重が利く。かたやどうにもならないのはリヤサスペンションの硬さだ。路面の凸凹が脳天を直撃するたびに高速走行が思いやられる。 　意を決してアクアラインに流れ込む。2速、3速、そして4速に入ったころ……ついに私は諸手をあげてパパサンに屈伏した。リヤショックのことではない。機械的なエンジンの振動と右後方から聞こえるエキゾーストノートがこれ以上ない相性で絡み合って、体中に色っぽく響き渡ったのだ。初めて知る快感に胸がジーンと熱くなる。硬いリヤサスなんてなんのその。この官能には換えられないもの！ 「アタシ、王道は好きじゃないけどパパサンは特別なんだ」と過去の発言をさりげなく撤回しようとする私は本当に可愛げがない。最初から屁理屈こねずに好きだって言えばいいのに。でも最終的に感覚で物事決めちゃうところはやっぱり女。「女は子宮で考える生き物」なんてよく言うけれど、パパサンはまさに私の子宮をくすぐる名機!?なのである。 小林夕里子 日本中をバイクで旅するのが趣味のフリーライター。方向音痴はなんとか補えているが、メカ音痴はどうにもごまかせず……。勉強の成果虚しく失笑を買う毎日。それでもめげないぞ。 http://www5b.biglobe.ne.jp/˜kyuri 新車価格 98.1万円 中古参考価格 85.1万円 エンジン 空冷4ストロークOHV　V型2気筒 排気量 883cc 最高出力 --- Kw( --- ps)／--- rpm 最大トルク 67Nm（6.8kgm）／3500rpm 全長×全幅×全高 2260×890×1140mm シート高 639mm 乾燥重量 260kg 燃料タンク 12.5L タイヤサイズ F：100/90-19　R：150/80-16 専用ライザーによりライダー側に引き寄せられたハンドルは、ほかのパパサンに比べても気安いライディングポジション。小柄な私はこれでも腕が伸びきってしまうのだが……。 ハーレーと言えばエアクリーナーケースの存在感。走行中はゴツゴツと膝に当たって痛いけど、まわりの景色が写りこむ様には惚れぼれ。いつもピカピカに磨いておきたい。 外車のクラッチは重かったり握り幅が大きかったりで女性の手に余ることが多いけど、このクラッチなら問題なし。06年モデルから、従来に比べ17%負荷軽減されている。 アメリカンのわりにコーナリングが軽快なのはミドルフットコントロールのおかげ。小柄な私でもステップに載せた足がピーンと伸びきってしまう心配がないのも重要ポイント。 シート高66cmを実現するローシートがうれしい！　身長154cmの私が跨っても両足裏がべったりと着き、しかも膝が曲がるので跨りながらの取りまわしがしやすい。 回転計を省きスッキリとしたメーターまわり。メーター内のデジタル表示はオドメーター、デュアルトリップメーターと3通りに切り替えられる。必要にして十分。 シンプルでいてキャラが立っているのが、このクラス。ハイエンドモデルのような派手さはないが、味わい深く乗るほどに引き込まれていくといった感じだ。肩肘張らずにさらりと輸入車を乗りこなす、そんなライフスタイルにピッタリだ。 TRIUMPH Bonneville 新車価格 108.15万円 中古参考価格 104万円 BMW G650 Xcountry(Active Line) 新車価格 109.5万円 中古参考価格 物件なし APRILIA RXV450 新車価格 115万円 中古参考価格 物件なし KTM 640 Adventure 新車価格 115.5万円 中古参考価格 97.3万円 BMW F800S(Active Line) 新車価格 104.5万円 中古参考価格 105.2万円   <<BACK BMW G650 X challenge DUCATI Monster S2R 800 HARLEY DAVIDSON XL883L APRILIA PEGASO 650 STRADA NEXT>>

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