１日から２日でバッテリーが上がってしまう症状でマグザムが入庫。当初充電系統を原因と考えて故障探求を行いました。

まずはバッテリー電圧を測定。アイドリングで１４Vで、その後エンジン回転を上げても異常に発電したり、消費したりといった症状はありません。 念の為ステーターコイル・レギュレーターをテスターを使用し測定。ステーターコイルとは発電機の役割を担っており、断線や短絡、抵抗値の不良で発電不良を起こします。レギュレーター（レギュレートレクチファイア）はステーターコイルで発電された電気を直流に整流し、規定の電圧に調整する役割を担っており、こちらも断線などで発電不良を起こします。

まずはステーターコイルを測定。コイルから上がってきた電圧は交流なので交流に切り替えて測定。結果は異常なし。 ボディとの導通があると短絡している印なので格端子とボディ間の導通も測定。こちらも異常無し。 次にレギュレータを測定。ここでは上がってくる電圧が正常に保たれているかを測定します。 まずエンジン始動。そこからエンジンが温まるまで時間を置いて測定します。 一般に電装パーツは熱による影響を受けやすい傾向にあり、特にレギュレーターは余分な電気を熱に発散させて電圧を調整します。走行中もエンジン回転が高く、更に他からの熱の影響を受けます。その状態になった時に発電不良になっているのではないかとの考えから、このテストを行いました。 結果は異常無し。エンジン・レギュレーター・コイルが温まってもバッテリーに送られる電圧に異常は認められませんでした。

次に考えられるのはリークです。どこからか電気が漏れているのではないかと考えました。お客様からのヒアリングで１日から２日放置しているとバッテリーが上がっていると聞いていたので、放置中に放電している可能性もあります。

リーク電流・暗電流の測定に入ります。 バッテリーのマイナス端子を外し、テスターを割り込みます。モードを電流（A）にして測定。

すると少し電気が流れています。

次に電気がどこで消費されているかを確認します。 方法はヒューズを外していく手法を取りました。テスターを当てたまま、ヒューズボックスのヒューズを一つずつ外して行きます。一つずつ外して、又元どおりに戻して次のヒューズを外す。この最中にテスターの針が０になれば、その系統の電装部品に電気が流れて消費されていると考えられます。

このテストを行うとバックアップヒューズを外した時にテスターの針が０を指しました。当初バックアップなので必要な箇所に電気が流れているのではと考えたのですが、電気配線図を見て確認するとラゲッジボックスライトが同じバックアップ回路に含まれていることを確認。

マグザムにはシート下にラゲッジボックスがあります。ラゲッジボックスライトはこのボックス内を照らす為のライト。シートは閉まっていますがこのライトが消費しているように考えられます。

ボックスを確認しますが、開けた状態だと確かにライトは点灯。閉めている状態を確認したいので、スマートフォンを動画モードにして撮影しながらシートを閉めます。取り出して動画を確認するとライトは点きっぱなしになっていました。

テスターで確認します。マグザムの場合、ライトのON/OFFスイッチがあるので、テスターを確認しながらスイッチを切り替えるとテスターが０になりました。原因はライト部分、シートを閉めた時にライトをOFFにするスイッチだと考えられます。

閉めた時にOFFになるように調整を行い、修理を完了致しました。 突然スイッチが効かなくなる可能性があるので使わない時は手動スイッチをOFFにしておく事を推奨します。