バイクのポート研磨で得られる効果とは？意外なデメリットや注意点も解説｜グーバイクマガジン -公式サイト-

バイクのメンテナンスをしていて、ポート研磨を検討しているという方もいるのではないでしょうか。しかし、ポート研磨には、良い効果だけでなく注意点やデメリットもあります。

この記事では、バイクのポート研磨について解説します。これからポート研磨を貫耐えている方は、ぜひ本記事をチェックしてみてください。

バイクのポート研磨とは

バイクのポート研磨とは、シリンダーヘッドにある孔（ポート）を削る作業のことです。ポート加工とも呼ばれています。
バイクのシリンダーヘッドには、吸気ポートと排気ポートという2つのポートがあります。キャブレターで生成された混合気を送り込む孔が吸気ポート、爆発で発生した燃焼ガスを、マフラー側に排気する孔が排気ポートです。
必要のない箇所を削ることによって吸気と排気の流速を上げ、パワーを上げるためにおこないます。

バイクのポート研磨で期待できる効果

エンジンポートの形状は、シリンダーヘッドの形やバルブの配置などによって、制約を受けたデザインになっています。現在では、吸気ポートはストレート、排気ポートはL字に曲がった形をしているのが一般的です。このようにポートにカーブがあると、ストレートなものと比べると空気抵抗がかかり、吸気・排気の効率が下がってしまうのです。

「それなら、吸気ポートも排気ポートもストレートのデザインにすれば良いのでは？」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ポートをストレートにしてシリンダーヘッドの高さなどが変わると、エンジンの総重量が増えてしまうなど問題が生じてしまいます。
そのため、ポート研磨は、バルブの開閉に影響のない範囲内でより空気抵抗の少ない状態に加工することになります。

ポート研磨にはさまざまな方法がある

バイクのポート研磨には、さまざまな方法があります。
吸気ポート手前のスロットル径とポート入り口付近の段差を削ったり、内部をテーパー状にしたりなどが一般的です。かつては、リューターなどで削って鏡面仕上げをする加工方法もありました。しかしある研究によって、吸気ポートの内面にはある程度の凹凸があったほうがエンジンにとって良いということが判明したため、鏡面仕上げによるポート研磨は近年あまりおこなわれなくなっているようです。

バイクのポート研磨によって期待できる効果

一般的に、ポート研磨は、エンジンのパワーを上げ、加速や最高速アップの効果を期待しておこないます。ただし残念ながら、ポート研磨だけをおこなっても、劇的なパワーアップができるわけではありません。

自然吸気エンジンや4ストのエンジンでは、ポート研磨だけではほとんど効果は得られません。これに対して、2ストのエンジンでは比較的効果は体感しやすいと言われています。

バイクのポート研磨におけるデメリットと注意点

メンテナンス経験豊富なバイクドライバーなどは、ポート研磨の効果に対して「フィーリングが多少良くなる程度」ととらえる人も多いです。

先ほども触れた自然吸気エンジンは、パワーを上げたい場合、ポート研磨だけでなくカムの交換やヘッドの面研も一緒におこなう必要があります。また、鏡面仕上げポート加工では、つるつるになりすぎることによって吸気流速が落ちたり、低回転のトルクでスカスカしやすくなったりするなどのデメリットがあります。

他にも、バイクのポート研磨によって以下のようなデメリットが生じることもあります。

• 燃費が悪くなる
• プラグ寿命が短くなる
• 排気が増えて臭いがきつくなる
• 耐久性が低くなる

ポート研磨だけに大きな期待をせずに、他の加工も一緒に組み合わせるのが良いでしょう。

バイクのポート研磨を「しない選択」もある

もともとポート研磨とは、シビアなレース走行を想定しておこなわれる調整です。また、一般的な車種では、工場出荷時に最適なエンジン状態調整がおこなわれています。そのため、日常生活のなかで乗るだけのバイクには、わざわざおこなう必要のない作業であると考えられています。

ポート研磨が最善の選択というわけでもない

ポート研磨は、非常に手間とコストのかかる作業であるにも関わらず、劇的にエンジンのパワーが上げられるメンテナンスではありません。エンジンのパワーを確実に上げたい場合は、ポート研磨をするよりも、チェーンやチェーンを掛ける歯車、マフラーの交換をしたほうが手軽で効果が期待できます。非常にシビアなメンテナンスとなりますので、経験の少ない初心者の方は、専門店に相談をすることをおすすめします。

バイクのポート研磨で一体どのような作業をするのが気になる方は、ぜひ以下のページもチェックしてみてください。

ポート研磨に関する作業実績一覧

まとめ

バイクのポート研磨とは、部品のカーブによって生じる空気抵抗を下げ、吸気・排気の効率を高める目的でおこなわれる加工の総称です。加速力や最高速が上がるなどの効果で注目されるポート研磨ですが、バイクの種類や加工方法によっては、劇的な効果が得られないこともあります。

そのため、エンジンのパワーを上げたいからといって安易にポート研磨をするのではなく、まずはチューニングなどの実績が豊富な専門店に相談してみましょう。

本記事は、2020年5月28日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。