バイクのポイント点火とは?不具合の特徴とメンテナンス項目を解説
古いバイクでのトラブルは、ポイント点火装置が発生元となっているケースが多いといわれています。しかし、いざ何らかのトラブルが起こった場合に、本当にポイント点火装置が原因となっているのか、自分で判断することは難しいでしょう。
この記事では、バイクのポイント点火の特徴や不具合などについて解説します。
旧型のバイクに乗っている方は、ぜひ当記事をチェックしてみてください。
バイクのポイント点火とは
バイクのポイント点火とは、点火プラグに火花をスパークさせるとても簡単な点火方式のことで、ポイントマグネット方式と呼ばれることもあります。ポイント点火装置は古いバイクによく見られるもので、新車にはあまり使用されていません。旧型車のトラブルはこのポイント点火装置が原因となっていることも多く、きちんと点火回路を理解していなければ現場での復旧がすぐにできないこともあります。
バイクのポイント点火の仕組み
中学生くらいの頃、理科の時間やった豆電球を点灯させる実験を思い出すと、ポイント点火の仕組みがイメージしやすいかもしれません。
「ポイント」と呼ばれる部分で電気の回路が分かれており、ここが接触することによって、スパークプラグが点火するための電流が流れる仕組みです。
この装置は、エンジンが回転することによってポイントが開閉し、電流をON・OFFで制御しています。フライホイールに連結している「カム」がエンジンの回転に合わせて回り、カムのでっぱりの部分(カム山)が、コンタクトブレーカーの「ヒール」という部分を押し上げることによって開き、過ぎると閉じるようになっています。
このように、ポイント点火装置はエンジンが動いている間はずっと、カチカチと音を立てて開閉し続けるため、非常に多くの負担がかかります。そのため、トラブルも起こりやすく、定期的な点検や調整が不可欠なのです。
バイクのポイント点火における不具合の特徴

原始的な仕組みであるポイント点火は、接点の汚れなどでも壊れやすい機構です。
ポイント点火装置が右側のクランクエンドに装着されているタイプのバイクでは、中央の部品がクランクと一緒に回ってプラグに火を飛ばしたときに、ポイントとヒールとの接点の間が減りやすい特徴があります。また、エンジンの回転数が上がったときに点火のタイミングを早める「ガバナー」は、ポイント点火では非常に重要ですが、錆付きによって正確なタイミングでの火が飛ばなくなることもあります。
ポイント点火の不具合で起こる症状
ポイント点火装置に生じた汚れや錆、パーツの損傷などは、バイクに以下のような不具合をもたらします。
他には、点火のタイミングがずれて不完全燃焼を起こした結果、カーボンが堆積してしまうこともあります。また、2ストロークのバイクの場合は、ミスファイアーになったまま乗ることで、プラグかぶりなどのトラブルが出ることもあるようです。
この機構などの点火不良に興味がある方は、ぜひ以下のページをチェックしてみてください。
バイクのポイント点火におけるメンテナンス項目
ポイント点火方式のバイクを安全に乗り続けるには、以下のような点検やメンテナンスを定期的におこなう必要があります。ここでは、比較的チェックしやすい一部の項目を紹介していきましょう。
ディスキャップ
取り外したディスキャップは、まずひび割れなどの外観チェックをします。プラグコード差し込み部分に白や青の腐食を見つけたときには、クリーナーによる洗浄後、接点復活剤を塗布するのが理想です。
内部のチェックではセンターピースを指で押し、スプリングによるスムーズな出入りや、ローターから電気を受け取るセグメントに破損がないかどうかを見ていきます。
ポイントの接点
ポイント接点は、マイナスドライバーを使って開き、両方の接点に異常焼損がないかどうかをチェックしていきます。
この作業では、接点のチェックと同時にカムが当たるポイントヒールの摩耗点検をし、カムへのグリース塗布といったメンテナンスもおこなってください。グリースの塗りすぎはポイントを汚す原因となるため、注意が必要です。
ポイントに焼損を見つけたときには、二つ折りにした400番の耐水ペーパーを使って磨いていきます。10回ほど往復して磨き、さらに位置を変えてもう一度おこないましょう。最後は、ブレーキクリーナーを染み込ませた布でポイントを拭い、油分や磨きカスを除去していきます。
ポイントのギャップ量
ポイントのギャップ量は非常に重要です。シュクネスゲージを使い、0.3~0.4mm程度の規定値になっているかチェックします。
シュクネスゲージを使うときには、ブレーカープレートとクランクシャフトを動かし、ポイントを最大に開く状態にしてから、カムとヒールの低い部分の差異を測定しましょう。ギャップ量が狭すぎるとポイントが開くときに切れが悪くなり、広すぎるとスパークエネルギーの低下やミスファイアーが起こりやすくなってしまします。
ポイント本体の交換
接点の掃除やポイント調整をしても点火時期が適正にならず、点火時期が既定値外になる場合は、過度な焼けや汚れによるポイントが不良となっている可能性を疑ったほうが良いかもしれません。
この場合はまず、ブレーカープレートとクランクシャフトを動かし、ポイントの接点が一番開くところに位置を合わせます。その後、シュクネスゲージを使い、0.3~0.4mm程度の既定値になっているか隙間の測定をしてください。
ブレーカープレートの取り付けビスを緩め、ポイントを交換してください。
まとめ
旧車に多いポイント点火は、シンプルながらも壊れやすい機構です。そのため、ポイント点火のバイクに乗るときには、定期的なメンテナンスをおこなう必要があります。
ポイント点火におけるメンテナンスでは、ここまで紹介した項目の他に、以下のようなパーツもチェックする必要があります。
これだけ多くの調整が難しい場合は、旧車のメンテナンスを得意とする専門店に相談をしてみてください。
本記事は、2020年5月28日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。