バイクのスプロケットの役割とは?メンテナンス方法や交換工賃・費用の相場を解説
バイクにとって超重要部品ともいえるスプロケットですが、その役割やメンテナンス方法についてご存知でしょうか?スプロケットを摩耗したまま使っているとチェーンを痛める原因になるので、適切なメンテナンスや新品への交換が必要です。
そこで今回は、「バイクのスプロケットの役割」から「メンテナンス方法や交換工賃・費用の相場」までを解説します。
そもそもスプロケットの役割とは?
そもそもスプロケットの役割とは何でしょうか?メンテナンス・交換作業を行う前に、まずはその仕組みについて見ていきましょう。
エンジンとタイヤを繋ぐのがスプロケット
スプロケットの役割は、エンジンから伝わる動力をリアホイールまで伝達することです。エンジン側の「ドライブスプロケット」から、チェーンを伝ってリアホイールの「ドリブンスプロケット」まで動力が伝達されます。
ちなみに少数ですがチェーンではなく、ベルトやシャフトを使って動力を伝達する車種も存在します。
パーツの中でも特に過酷な動き
スプロケットは常に高い回転数でチェーンと接触を続けています。金属同士が高速で摩擦するため、他の数に比べても特に過酷な動きをしているといえるでしょう。
そのようなパーツだからこそ、気にかけてメンテナンスをする必要があります。
スプロケットのメンテナンス方法
上記の通り、スプロケットは動力を伝達するバイクの生命線ともいえるパーツです。チェーンと噛み合っている上に、油汚れがまとわりついてメンテナンスが面倒に感じるかもしれませんが、スムーズな走行のために定期的にメンテナンスしていきましょう。
洗浄で日々のメンテナンス
日々のメンテナンスであれば、分解せずにそのまま洗浄するだけで十分です。チェーンクリーナーとウエスを用意し、以下の手順で洗浄しましょう。
チェーンクリーナーは洗浄力が強いため、シールチェーンに直接噴射するとグリスを溶かしてしまう可能性があります。チェーンにかからないよう、ウエスに染み込ませて洗浄しましょう。
定期的な分解洗浄でトラブル回避
日々のメンテナンスは上記の作業でOKですが、定期的に分解洗浄をするとなお良いでしょう。分解することでひび割れや摩耗などの発見にも繋がるので、トラブルの防止にもなります。
チェーンがジョイントリンク式で簡単に外れるタイプでない場合は、そのままスプロケットを取り外してもOKです。※チェーンが外れるのであれば、外したほうが作業しやすいです。
スプロケットはチェーンのようにグリスの心配をしなくていいので、灯油やパーツクリーナーで洗浄することもできます。
バイクのスプロケットを交換すると何が変わる?
バイクのスプロケットは、ただ動力を伝達するだけが役割ではありません。交換して歯数を変えることによって、バイクの加速特性を変えることができます。
スプロケット歯数(丁数)によって性能が変わる
スプロケットは歯数を変えることで、加速を良くしたり高速の伸びを良くしたりすることができます。
例えば、ドライブ(エンジン)側の歯数が14T(Tは歯数の単位。Teeth「歯」の頭文字)、ドリブン(ホイール)側の歯数が43Tだったとします。この場合、バイクを加速寄りにセッティングしたいのであれば、
の2つの選択肢があります。ここで気付くのが、ドライブとドリブンで歯数の変更が逆転していることです。実は、ドライブとドリブンでは歯数と加速特性の変化が逆になります。歯数と加速特性の関係をまとめたものが以下です。
ドライブスプロケット | ドリブンスプロケット | |
---|---|---|
歯数を増やす | ||
歯数を減らす |
ドライブとドリブンのどちらを変更しても構いませんが、ドライブ側の1Tはドリブン側の3Tに相当することを覚えておきましょう。大まかな調整はドライブ側で、細かな調整はドリブン側でセッティングするといいです。
加速or最高速度
スプロケットの歯数を変更するときに注意したいのが、加速と最高速度の関係です。加速と最高速度はトレードオフの関係であり両立することはできません。
加速寄りにセッティングすれば最高速度は犠牲になり、最高速度寄りにセッティングすれば加速が犠牲になります。
これは自転車の変速をイメージすると分かりやすいと思います。軽いギアを選択すると加速は良いが速度が伸びない。重いギアを選択すると加速は悪いが速度は伸びます。
これと同じで極端なセッティングにすると、反ってバイクに乗りづらくなってしまう可能性があります。基本的には、ドライブ側を1T変える程度の変更に留めておくことをおすすめします。
セルフで交換する場合の難易度や費用は?
セルフでスプロケット交換する場合、交換の難易度はどのくらいなのでしょうか?また、費用はいくらかかるのでしょうか?以下で確認していきましょう。
スプロケット交換の作業難易度
スプロケット交換は、ドライブスプロケットとドリブンスプロケットでは作業工程が異なるため、その難易度も異なります。
また、スプロケットを交換する際にシフトポジションセンサーやシフトチェンジペダルが干渉する場合もあるため、車種によっては作業工程が多くなります。
その他、スプロケット本体にも取り付け方向があり、細かな確認作業が必要となるため、バイクの整備に慣れていない方は作業を控えておくほうが安心です。
スプロケット交換にかかる費用
セルフでスプロケット交換をする際の費用は、スプロケット本体の値段のみです。センタースタンドが装備されていない車種ではメンテナンススタンドが必要になるので、所持していない方はスタンド購入にかかる費用も考慮しましょう。
メンテナンススタンドを購入する場合はトータルコストが上がります。ただ、スタンドは一度購入すれば何回でも使えますし、メンテナンスの際に何かと役立ちます。初期投資と考えれば高い買い物ではありません。
ドライブとドリブンを同時に交換する場合は時間もかかりやすいため、専門ショップに依頼することも検討してみましょう。
ショップに依頼した場合の工賃・料金の目安
スプロケットの交換を専門ショップに依頼した場合、スプロケット本体の値段にプラスして工賃がかかります。料金の目安は以下の通りです。
※マフラー等、他のパーツが干渉している場合は、別途脱着のための追加料金がかかります。
スプロケット交換では、持ち込みすると工賃が変動しやすいため、事前にショップへ確認しましょう。できれば作業を依頼するショップでスプロケットを購入するのがおすすめです。
また、リアタイヤ交換と同時に実施すると、ドリブンスプロケット交換の工賃割り引きサービスを行っているショップもあります。
スプロケット交換時の所要時間はショップの混雑状況によって異なりますが、ドライブ・ドリブンともに40分ほどが目安です。安全なバイクライフを送るためにも、作業に自信がない方はバイクショップへ依頼することをおすすめします。
バイクのスプロケットの寿命はどれくらい?
バイクのスプロケットは的確にメンテナンスをしていても、いつかは交換が必要になります。ここからはスプロケットの寿命・交換時期の目安についてご紹介します。
乗り方やチェーンのメンテナンス等で大きく変わる
まずは一般的なスプロケットの交換時期目安をご紹介します。
スプロケットの交換時期目安はドリブンとドライブで異なり、歯数が少ない分ドライブスプロケットのほうが先に摩耗します。
ドライブ:10,000km
ドリブン:15,000km
これは一般的な交換時期の目安ですが、乗り方やチェーンのメンテナンスの状況次第ではさらに短い距離での交換が必要になる場合もあります。
特に、雨の日に乗った後そのまま放置したり、油が切れたままロングツーリングを行ったりするとあっという間に寿命に達してしまいます。こまめな給油と清掃がスプロケットの寿命を延ばす秘訣です。
チェーンの交換と同時に交換がおすすめ
チェーンはスプロケットと常に噛み合っているので、どちらも同時に摩耗していきます。どちらか片方だけを交換すると噛み合わせが悪くなるので、同時に交換するのがおすすめです。
駆動系パーツはトラブルを起こすと走行が困難になるので、同時交換を行ったほうが安心して乗車できるでしょう。
まとめ
いかがでしたか?バイクのスプロケットは駆動を伝達する重要な役割を担っているだけでなく、歯数を変えることで加速特性をセッティングすることができます。
金属同士が摩耗する過酷な状況で作動するパーツなので、日頃から注油や洗浄といったメンテナンスをして気遣うようにしましょう。
また、歯数を変更するときは、ドライブとドリブンでは歯数と加速特性の変化が逆になる点に注意しながらセッティングを行ってください!
本記事は、2020年2月6日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。