バイクのクラッチの遊びを調整すれば乗りやすくなる?クラッチ調整手順のまとめ

スクーターなどのAT式でない場合、バイクを運転するにはクラッチの操作が必要です。走行中に頻繁に使用するクラッチレバーの遊びを自分に合うように調整すれば、乗りやすさがアップして快適になります。しかし、どのようにクラッチを調整すればいいのか分からない方もいるでしょう。
そこで今回は、「クラッチの遊びの調整手順」について解説します。なお、大型バイクでは油圧クラッチが使われていることがあるので、油圧クラッチのメンテナンス方法についても一緒にご紹介します。

クラッチが切れる仕組み

クラッチを調整するのであれば、まずはクラッチが切れる仕組みについて知っておきましょう。ワイヤー式のクラッチと油圧式のクラッチの仕組みについて、それぞれご紹介します。

ワイヤー式

ワイヤー式のクラッチは比較的単純な仕組みをしており、クラッチの圧着力がそれほど強くない小~中排気量のバイクによく採用されています。動作の仕組みは以下の通りです。

  1. クラッチレバーを握るとワイヤーが引っ張られ、クラッチアームが作動。
  2. クラッチアームに繋がるリフターロッドによりクラッチスプリングが動作。クラッチプレートとフリクションディスクが分離されエンジンからの動力が遮断される。

クラッチプレートとフリクションディスクとはクラッチそのものを構成する部品で、この2枚のディスクは普段スプリングの力で圧着されています。ワイヤーによってリフターロッドが作動すると、2枚のディスクが開放されるため、いわゆる「クラッチを切った」状態になります。

油圧式

油圧クラッチは、クラッチの圧着力が強い大排気量のバイクによく採用されています。大きな力が必要であるクラッチ操作を、油圧の倍力によって軽い力で操作できるようにするためです。仕組みは以下の通りです。

  1. クラッチを握るとクラッチマスターシリンダー内で油圧が発生、油圧をクラッチレリーズシリンダーに伝達する。
  2. レリーズフォークが動作し、クラッチカバー内のクラッチプレートとフリクションディスクが分離される。

簡単に説明すれば、ワイヤー式のリフターロッドに相当する部品(レリーズフォーク)を油圧で動かしているようなイメージと言えるでしょう。

クラッチレバーの遊びを調整する手順

クラッチレバーの遊びを調整する手順

クラッチレバーの遊び調整は、バイクの操作性に関わる重要なポイントです。自分の握りやすい位置に調整すれば、気持ち良くバイクに乗れるでしょう。
前述のようにクラッチにはワイヤー式と油圧式のものがありますので、それぞれの調整方法をご紹介します。

ワイヤー式の調整方法

ワイヤー式は基本的にクラッチレバーにあるアジャスターで簡単に調整可能です。ただし、あまり遊びを大きくし過ぎるとクラッチが切れなくなるので注意してください。

  1. クラッチレバーにあるアジャスターの固定ナットを手で緩めましょう。固着して回らない場合はプライヤーなどで緩めてください。
  2. ナットを緩めてフリーになったアジャスターを回し、クラッチレバーの遊びを調整します。アジャスターを緩め方向に回すと遊びが小さくなり、締める方向に回すと遊びが大きくなります。なお、クラッチの遊びとは「ほとんど力を入れずに握れるところまでの幅」を指します。
    遊びの目安ですが、1~2cm程度が適度です。人差し指の第一関節がレバーにかかるぐらいがいいでしょう。
  3. クラッチレバーの調整が済んだら、アジャスターを固定ナットで締め込んでください。このとき、プライヤーなどで力強く締める必要はありません。手で強く締め込む程度でOKです。
  4. 上記の手順で遊びを調整する際、レバーの距離が遠い・近い場合はレバーの付け根にある丸いダイヤル(車種によっては小さなレバー式もあり)を回して調整してください。もしダイヤルがない場合は、社外品のアジャスター付きクラッチレバーに交換すると調整が可能になります。

油圧式の調整方法

油圧クラッチは遊び調整を自動で行ってくれるため、遊びの調整は必要ありません。ワイヤー式ではワイヤーの伸びやクラッチの減りで遊びが変わってしまいますが、油圧クラッチは遊びの変化を油で調整できるからです。
油圧クラッチでレバーの距離を調整したい場合、ワイヤー式でも使用したアジャスター付きクラッチレバーを使います。
調整方法も同じで、アジャスター付きクラッチレバーのアジャスター(丸いダイヤル)を調整することでレバーの距離が変更可能です。自分の握りやすい距離に調整することで、操作性の向上に繋がるでしょう。

クラッチ調整のQ&A

クラッチ調整のQ&Aをまとめましたので、作業の参考にしてください。

Q:クラッチレバーの遊びを大きくしたらニュートラルに入りづらくなったけどなぜですか?

A:クラッチレバーの遊びが大きすぎてクラッチが切れていないと思われます。遊びを減らして改善されるか試してください。

Q:クラッチレバーの遊びは1cm以下が好みなのですが、それではダメでしょうか?

A:1cm以下でも大丈夫ですが、遊びが少なすぎるとクラッチが少し切れたままになり滑る原因になるので、様子を見て調整してください。また、ハンドルが切れるとワイヤーが少し張るので、ハンドルを切りながら確かめることを忘れないでください。

油圧クラッチは定期的なフルード交換が必要

油圧クラッチに使われる油(フルード)は、使っているうちに劣化して茶色く変色していきます。劣化するとタッチが悪くなるばかりか、エアを噛んでクラッチが切れなくなる恐れもあります。そのため、定期的な交換が必要です。

フルード交換の手順

  1. 車体のエンジン付近にあるクラッチレリーズシリンダーにあるニップルのカバーを外す
  2. ニップルにメガネレンチとホースを取り付ける。この時点ではまだニップルは緩めなくてOK
  3. ハンドルにあるクラッチマスターシリンダーの蓋を外し、中のフルードをスポイトなどで吸う
  4. 新しいフルードをアッパーレベルまで注ぐ
  5. オイルフルードを新しいものに入れ替える
  6. クラッチレバーを握り油圧をかけた状態でニップルを緩め、古いフルードをホースから排出する。出てくるフルードが綺麗(新品)になるまで繰り返す。このとき、マスターのフルードが空になるとエアを噛むのでチェックしてつぎ足しながら慎重に作業する
  7. 最後にエアが出てこないか確認する。ホース内に気泡が出てくる場合は、「ニップルを締める→レバーを何度か握り、握った状態を維持→ニップルをゆっくり緩める」を気泡がなくなるまで繰り返す。このときもマスター内のフルードがなくならないよう注意
  8. エアが完全に抜けきったらニップルを締め、マスター内にフルードをアッパーまで注ぎ蓋を締めて完了

オイルの交換目安は、油の色が茶色になったときです。交換期間は2年に1度が目安となります。なお、クラッチに使うフルードは専用のクラッチフルードがあるわけではなく、基本的にブレーキフルードを使います。ただし、BMWなど一部の車種では専用のクラッチフルードを使用する場合がありますので事前に確認しておきましょう。
クラッチフルードを交換してもクラッチの調子が変だと感じられる場合は、バイクショップで点検してもらいましょう。

フルード漏れに注意!

クラッチに使うブレーキフルードには、塗装を傷める効果があります。ホイールやフレームなどにブレーキフルードがかかると塗装が溶けたり剥がれたりする原因になるので、必ず漏れたフルードは除去しておきましょう。
なお、ブレーキフルードは水をかければ無効化できるので、作業中は水に濡らしたタオルなどで拭き取るといいでしょう。作業後も全体的に水をかけておくとより安心です。

まとめ

いかがでしたか?バイクのクラッチは頻繁に操作するものなので、自分に合うように調整する効果は大きいです。調整は覚えてしまえば非常に簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。
ただし、遊びは大きすぎても小さすぎても問題が発生する可能性があるので、1~2cmを目安に調整するといいでしょう。愛車をベストな状態にセッティングし、ライディングを楽しんでください!

本記事は、2019年11月29日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。