バイクとロック
その共通点は「自由」

バイク&革ジャン&ロック……この三つの組み合わせは、いつの時代にも不滅のマスト・アイテムだ。世界的に、若者がロックを聴きだすのがバイクに乗りはじめる歳頃だというのはもちろんだが、昔からパンクスはライダーでもないのにライダースを着ているのが当然だったし、高校生の時に観たジューダス・プリーストは日本でもちゃんとハーレーに乗ってステージに出てきた。ユース・カルチャーの歴史をさかのぼれば、その最初のイメージはデニス・ホッパーの『イージーライダー』であり、日本では矢沢永吉のキャロルなのだが、高校を出てやっと免許を手にいれた自分には、革ジャンを羽織って単車にまたがった時のなんともいえない感触は、マシンガンのようなパンクのビートと同じ危うさと興奮だったし、アクセルを吹かせば轟くエグゾーストノイズはディストーションで歪んだでギターの音みたいにバリバリしていた。そして何よりも、いつでも好きな時にどこへでも行ける……東京で独り暮らしをはじめたばかりの十八歳の若者にとって、その魔力は絶大だった。渋谷で友達と遊んでいるうちに、暇だからどっか行くか? と京都や新潟まで飛ばしたことが何度もある。寒くなって革ジャンの内側に新聞紙を詰め込み、真夜中の道でアクセルを吹かしながら、すべてから解き放たれた自由を感じていた。自由……それはロックやパンクやダンス・ミュージックがずっと追い求めてきたものにほかならない。 |