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ホントはメーカーがいちばん本腰いれて取り組むべきは「原チャリのスポーツモデルなんじゃないか」と思う。あらためてギヤ付き原付モデルに乗るまではここまで強くは思わなかったが、軽くて小さくて楽しいバイクたちに触れると、そう思わずにはいられなくなった。
かつて、70〜80年代、原チャリ特集の花形は、スクーターではなくスポーツモデルたちだった。ロードスポーツあり、デュアルパーパスあり、モンキー、ゴリラ、ダックスに代表されるレジャーバイクあり、しかもハンドルまわりにかご付きで、お使いに便利なファミリーバイクなるジャンルまであった。
もちろん、いまも昔も原チャリの制限速度は30km/hだ。そのなかで、たとえば、ロードスポーツならCB50S、MB5、RZ50、RG50Γ、カワサキだってAR50なんっていう、いま、見てもドキっとするようなモデルが揃っていた。そしてどれもが性能で魅了してくれた。ロード用と同じエンジンを積むオフロードモデルも多く、MT5、DT50、ハスラー50、AE50など役者揃い。TL50というトライアル向け原チャリもあった。
それに、ホイール径が小さいミニトレ、マメタン、XL50というモデルも、原チャリクラスを賑やかにしていた。
90年代にはTZR50やNSR50というホットモデルもあったが、これからの高性能モデルは、ノスタルジックな思い出の中だけで語られることになるだろうし、中古市場ではいつまでも人気モデルであり続けるだろう。4ストのスポーツに目を転じると、ドリーム50が途絶えてからホットモデルは登場してない。
現在、このクラスで唯一当時からのスポーツマインドの高さを継承しているのがRZ50だ。しかし、このモデルも排ガス規制の前におそらく今年を最後に、引退を余儀なくされるだろう。そうしてしまうには惜しい走りの楽しさが詰まっている。
現在、ギヤ付きスポーツモデルは、ビジネスモデルとクロスオーバーするカタチのモデルだけ。スズキのGS50やホンダのベンリー50Sなどもその一例。
特徴としては、低中速型のエンジンを搭載しているから、高回転でのパワー感こそ感じないが、街乗りレベルだと逆にイージーにクラッチを繋ぎ走り出すことができる。
限られたパワーをギヤシフトによって引き出すのは、バイクの根源的な楽しさがある。速度域こそ低いが、みっちり詰まったミニバイクの世界は、広く深かった。 |
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耳に届く歯切れのよいサウンド
ワケありの高さは、質感の高さで大満足 |
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モデル登場から12年が経過するマグナ50。しかしその質感の高さと原チャリサイズにまとめ上げたカスタムモデル、というファニーさによってその魅力はまったくかげりを見せていない。31万5000円という原チャリにしては高値だが、その理由はエンジンのカバーの仕上げやタンク上のメーターまわり、フロントフォークのトップブリッジに使われたきれいなクロームパーツを見れば納得だ。そしてカブ系のエンジンはセルフスターターを持ち、始動もラクラク。そして走り出すと、ドドドドドと歯切れのいい硬い排気音にも驚くことに。見て、乗って、磨いていても間違いなく楽しめるという「グランドスラム」な原チャリカスタム。それがこのマグナなのだ。前輪のブーメランコムスターには感涙だ |
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ガンファイタースタイルのシート、薄いティアドロップタンク、メーターはタンクキャップとタンデム。ハンドルまわりもドラッグ風テイストだ。 |
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ブーメランコムスターホイールを履く前輪に対し、後輪はディッシュ。かち上げられたメガフォンからは、大げさではなく重低音の効いた音を奏でる。 |
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水冷2ストのラストサムライRZ50
フェアウエルRZ サヨナラするには惜しい逸材 |
いまやセル付きの2サイクル水冷エンジンは、アイドリングからの吹き上がりこそかわいいが、アクセルを煽ると、ムン、ムーンという音とともに、タコメーターのオレンジ色の針が踊る。走り出すと8000〜12000rpmの間では二重人格的伸びの鋭さを披露するRZのユニット。6速ミッションを駆使し、走り始めると、アラッと思うほどあっけなく60km/hのリミッターにつき当たる。そこで熱くなった気持ちに待ったがかかるわけだ。以前、雨のカートコースで乗ったとき、コーナーからの脱出をこのパワーを使って立ち上がるのがこの上なく快感だった。ロングタンクと一文字ハンドルでノスタルジックスポーツバイク風味があるが、RZ250から始まる血には掛け値なし。残念ながら、お求めはお早めに。 |
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ロングタンク、一文字ハンドル、そして2眼式メーター。60年代のレーサーを思わせるようなスタイルにまとめられているのが今のRZの特徴だ。 |
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7.2馬力という原チャリ最高の出力を生み出す水冷2サイクルエンジン。インテークチャンバーの装備などでドライバビリティーはすこぶる上質。 |
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昔、マメタン。いま、GS50。5馬力スポーツは
想像以上、思い込み未満のさわやかな走りが吉 |
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水平シリンダーエンジンと4段リターン式のトランスミッションを組み合わせた原チャリスポーツのGS50。前後14インチがもたらすクルクル曲がれる旋回性と、ビジネスモデル出身のタフなパワーユニットの組み合わせは、街を軽快に走りまわれる。加速は高回転まで一気にまわるタイプではないが、トルクフルで引っ張ってもいきなりノイジーになることもない。同門モデルとして、ホンダにはベンリー50S、ヤマハにはYB-1フォーがある。ライバルたちがノスタルジックさを打ち出しているのとは対照的に、GSは70〜80年代のバイクらしさをタンク、シート、シートカウルで表現している。このバイクはマメタンの21世紀版?とツイ思ってしまうほど、楽しい走りが魅力だ。ワンメイクレースも開催されている。 |
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OHC2バルブヘッドを持つエンジンは、メッキシリンダー採用によりタフで滑らかなまわり方をする。長いキックアームで始動もラクにこなせる。 |
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テールエンドがフィン状に伸び上がるカウル。テールランプ、ウインカーはリヤフェンダーに一体式となってマウントされるシンプルなものだ。 |
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原チャリ乗りはココに気をつけろ! |
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交通法規が違う!? |
4輪で無事故無違反の安全ドライバーでも
原チャリには通用しない交通法規がある |
40代の免許所得者で原チャリに乗ることが少ない人には、2段階右折という交通法規は何がなんだかわからない。右折レーンを含む3車線以上の道路では、一度、直進して……という法規だ。とはいっても、右折禁止の道路でこれをやると右折違反。また、この2段階右折は原チャリのみで、それ以外のバイクでやるとこれまた違反。アンダーパスも通行禁止だったりするから、原チャリに慣れるまでは、相当に注意して走らないと、違反切符でトランプができちゃうぐらい切られることにもなりかねない。 |
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原チャリ乗りはココに気をつけろ! |
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自賠責切れは命取り!? |
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車検がないから忘れがちの自賠責
大丈夫?? その油断が悲劇を生む |
原チャリに限らず、車検のない250cc以下のバイク全般に言えることだが、自賠責の更新は自分で手続きするのが基本。「駅までだから……。大丈夫」と思っているキミは甘すぎる。保険切れはイッパツで免停だし、もし、子供が飛び出してきたら……。もう、致命的だ。この春から保険料はわずかにアップしたが、それでも年間7580円。5年間まとめて払えば、半額に近い1万7510円にまで割り引かれる。4輪で任意保険に加入しているなら、ファミリー特約すれば、もしもの時も安心だ。 |
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