バイクのフルレストアとは?オーバーホールとの違いや注意点を解説
フルレストアは、バイクのメンテナンスだけでなく、中古バイクの販売サイトなどでもよく見かけるキーワードです。
この記事ではフルレストアの意味や、混同されやすいオーバーホールとの違いなども解説していきます。
バイクのフルレストアとは
レストアとは、「元通りにする」を意味するrestoreという英語です。つまり、フルレストアは「全体丸ごと元通りにする」という意味になります。
バイクや自動車の業界では、エンジンやトランスミッションの交換、板金塗装などによって、旧型車を新車のような状態に仕上げることを指しています。中古車販売サイトなどで「フルレストア済」と書かれた車両が並んでいるのを目にしたことのある方もいるのではないでしょうか。
フルレストアは、バイクのメンテナンスをする人だけでなく、購入する方々にも注目されるキーワードとなっています。
バイクのフルレストアとオーバーホールの違いとは
フルレストアとオーバーホールは、多くの人に混同されやすい言葉です。ここでは、それぞれの意味や違いを明確にしていきます。
オーバーホールとは
オーバーホール(overhaul)とは、「全面的な見直し」や「分解検査する」という意味を持つ英語です。
バイクや自動車の分野では、一定期間使った機械の分解・検査・修理をすることを意味します。具体的にいうと、トランスミッションやエンジンなどのパワートレーン系部品の分解・洗浄・修理によって、新品同様もしくはそれ以上の状態にすることを指します。
部品の摩耗や経年劣化が進むと、パワーダウンやエンジン出力の低下によって大事なバイクにトラブルが生じやすくなります。そのため、ディーラーや整備工場などではこうした消耗品を交換するために、定期的なオーバーホールを推奨しているのです。
フルレストアとオーバーホールは一体何が違うの?
フルレストアもオーバーホールも、新品同様に復元修理をするという意味ではほとんど同じです。ただしオーバーホールの場合は、機械類が中心のメンテナンスとなり、内外装の修理はあまりおこなわれません。一方、フルレストアは、内外装を含めて丸ごと修理するため、オーバーホールよりも修理範囲が広いとされています。
バイクのフルレストアにおける意外な注意点
古いバイクのフルレストアには、以下のような注意点があります。
再塗装によるダメージの可能性
フルレストアされた車両は、外装の板金塗装もおこなわれているため、見た目も非常にきれいです。しかし、再塗装をすることによって、質や耐久性が落ちてしまうことも知っておきましょう。
再塗装するときには、もともとの塗装をいったん剥がす必要があります。一度でも塗装を剥いで鉄板が空気に触れると、どうしても新品と比べて質や耐久性が劣ってしまいます。また、外装の切り貼りをする溶接時にも、鉄板に火が入りすぎると耐久性が低下しやすくなります。
旧型車の味わいが失われる可能性
旧型車に現代の塗料を使って板金塗装をおこなうと、古いバイクとは思えないほど、過度にきれいな仕上がりになってしまうこともあります。
古いバイクでは、ラッカーなど今では手に入らない塗料で塗装されていることもあります。同じ塗料を使うのは難しいため、フルレストアで再塗装することによって旧型車特有の味わいや風合いがなくなってしまう可能性があるのです。
完成までに膨大な時間がかかる可能性
旧型車のフルレストアは、完成までに膨大な時間がかかることが多いです。例えば、中古市場にも流通していないような古い車両の場合、フルレストアに使う部品を集めるだけでも多くの時間を要してしまいます。専門的な知識や技術を持つ業者に依頼しても、半年~1年以上、場合によっては数年程度必要になることもあります。
新車が買えるほどのコストがかかる可能性
旧型車をフルレストアするときには、高級車が買えるほどのコストがかかる可能性もあるといわれています。
エンジンなどの機械系から内外装まで丸ごと元通りに整備するため、作業範囲を考えてもコストがかかることは容易に想像がつきます。
フルレストアは、通常の修理よりも多くの部品が必要で、部品がない場合はオリジナルパーツをつくることもあります。また、フルレストアには、単純な修理以上の特殊な技術が必要であることから、工賃も高くなるのです。
より詳しいフルレストアの作業に興味がある方は、以下のページもチェックしてみてください。
まとめ
フルレストアは、古いバイクを丸ごと新車のような状態に仕上げることです。外装の板金塗装なども含まれるため、エンジンなど機械類の分解・洗浄・修理が中心となるオーバーホールとは異なります。
バイクのフルレストアには、仕上がりや作業期間、費用などの部分で多くの注意点があります。そのため、フルレストアをおこなうときには、旧型車の板金塗装やレストア作業の実績の多い専門店に相談をするようにしましょう。
本記事は、2020年5月28日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。