バイクのピックアップコイルとは?仕組みや交換方法、故障時の症状を解説!
この記事では、ピックアップコイルの特徴や仕組み、故障時の症状などを解説しています。ピックアップコイルの機構に興味のある方やメンテナンスで交換を検討中の方は、ぜひ本記事をチェックしてみてください。
ピックアップコイルとは
簡単に説明すると、ピックアップコイルとは、エンジンへ点火のタイミングを伝える装置の総称です。
バイクのエンジンは、ピストン圧によって、
の順で混合気が流れています。
この混合気の流れによって、ピストンからコンロッド、クランク軸と力が伝わっていく仕組みです。クランク軸に力が伝わり回転すると、ピックアップコイルが回転信号を読み取り、イグナイザーに伝えて点火のタイミングをコントロールしているのです。
文章にすると非常にややこしい印象になりますが、「エンジンの回転数をひろうセンサー」だととらえるとイメージしやすくなるのではないでしょうか。
1985年~1989年頃のバイクはアナログ点火であるため、ピックアップコイルが4つの車種が多くありました。そして、1990年代以降の車両は、デジタル点火が主流になったことから、ピックアップコイルが1個という車種がほとんどとなっています。
ピックアップコイルの個数と壊れ方
ピックアップコイルが4つついていた1985年~1989年式のバイクでは、4つすべてが同時に壊れることはなく、信号が出なくなった気筒だけ失火していました。
一方、1990年式以降のバイクは、ピックアップコイルが1つしかついていないため、1個が壊れれば4気筒すべての点火ができなくなるのです。そのため、1990年式以降バイクは、従来と比べてピックアップコイルの整備や点検が非常に重要となっています。
ピックアップコイルが故障した際の症状
ピックアップコイルの故障で起こりやすい症状は、以下の2つです。
エンジンがかからない/点火不良
この機構に問題が起こると、点火不良によってエンジンがかかりにくくなります。ただしここで注意したいのは、点火不良の原因はピックアップコイルだけに限らないということです。以下に挙げるような電気系の故障が点火不良を起こしていることがあります。
このほか、以下のトラブルでもエンジンが不安定になると言われています。
エンジンストール
いわゆるエンストも、ピックアップコイルの焼き付きによって起こるトラブルです。ただし、こちらも以下のようなさまざまな原因が考えられます。
ピックアップコイルの交換方法
ピックアップコイルの交換に必要な物:
ピックアップコイルの交換に必要な道具:
旧型車では、すでにピックアップコイルがメーカー販売終了になっており、新品が手に入らないこともあります。この場合は、オークションサイトなどで中古品を探すか、他社パーツを流用するのが一般的です。ただし、安く入手できるコイルは、正常に動作するかどうかエンジンを始動させるまでわからないという難点があります。
ピックアップコイル交換の流れとポイント
ピックアップコイルの交換は、以下の流れでおこないます。スムーズ作業を進めるには、最初にシートとサイドカバー、チェーンカバー、タンクを外しておくのがおすすめです。
エンジン左側にあるクランクケースカバーを開けるときには、外したボルトに長短があります。トレーに並べておくなど、組立ての際に間違わないように注意してください。ガスケットをカッターで取り除いたあとのカスは、用意した砥石を使うときれいになります。
ピックアップコイルの交換方法に関心がある方は、以下のページも参考にしてみてください。
まとめ
エンジンへの点火のタイミングを司るピックアップコイルは、故障するとエンストやエンジンの点火不良を引き起こしてしまします。
年式の古いアナログ点火のバイクにはピックアップコイルが4つあり、一気にすべてが故障することはほとんどありません。しかし、比較的年式の新しいバイクはピックアップコイルが1つしかないものもあり、故障するとエンジン不良に直結してしまいます。
ピックアップコイルの交換には必要な工具も少なく取り組みやすいですが、エンストの不良はピックアップコイル以外にも原因がある場合もあります。
エンストや点火不良の症状が出ているけれど原因がよくわからないという場合は、すぐにピックアップコイル交換するのではなく、メンテナンス実績が豊富な専門店に相談をしたほうが良いかもしれません。特にバイクの整備について詳しくない方は、早めに問い合わせをしてみることをおすすめします。
本記事は、2020年5月28日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。