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FCRキャブとは?3つのセッティング方法と季節との関係

バイクのキャブレターについて調べていると、FCRキャブの評判を目にする方も多いのではないでしょうか?
「FCRキャブは良い」「FCRキャブは最高」など、良い声がある反面「セッティングが難しそう」といった不安の声も見受けられます。

そこで今回は、「FCRキャブとは何か」といった基本的な情報を踏まえ、「FCRキャブのセッティング方法」についてご紹介します。季節ごとのセッティング変化も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

FCRキャブとは?

FCRキャブとは、キャブレターメーカー「ケーヒン(KEIHIN)」が販売しているフラット構造のキャブレターです。FCRはフラットシーアールの略であり、F=フラット・CR=筒状を意味しています。

キャブレターがフラット構造になることで、従来よりもダイレクト感のある操作性が期待できます。
また

  • 加速ポンプ
  • ピストンバルブの強制開閉
  • ベアリング付ピストンバルブ
  • フラット型ピストンバルブ
  • マウントアダプター

など、FCRキャブは走りを重視した機構が多数備えられている点もポイントです。

FCRキャブはもともとレース用のキャブレターとして有名ですが、通常キャブレターよりも細かいセッティングがおこなえるため、物足りなさを感じている街乗りライダーからも注目を集めています。

FCRキャブのセッティング方法

FCRキャブのセッティング方法

上記でお伝えしている通り、FCRキャブは細かいセッティングをおこなえるのが魅力の一つです。ただ、経験と知識が浅いと、希望通りの仕上がりに持っていくまで時間が掛かります。とはいえ、基本のセッティング方法を身につければ、FCRキャブの素晴らしさと面白みを感じられるでしょう。

では、実際にどうやってFCRキャブをセッティングすれば良いのか、具体的なセッティング方法について解説します。

セッティング前の準備

セッティング前の準備には、大きく3段階あります。

  • 工具の準備
  • パーツの交換方法の確認
  • 暖機運転

です。

【その1】セッティング前に、セッティングパーツを交換するのに必要な工具を用意しましょう。

  • プラスドライバー
  • 5.5mmボックスドライバー
  • スパナ(14mm)
  • マイナスドライバー
  • 六角レンチセット(1.5~10mm)
  • ラジオペンチ
  • マグネット付受け皿

これくらい準備しておくと、作業をスムーズに始められます。

【その2】セッティングパーツの調整・交換方法を把握しましょう。

「スロージェット」

フロートチャンバーボディを取り外し、加速ポンプ用のホースを取り外します。すると奥にスロージェットが見えるので、マイナスドライバーで取り外し交換します。

「パイロット・エアースクリュー」

濃度調整をおこなう際、スクリューの方式によって多少の違いがあります。アイドル付近のみに影響するパイロットスクリュー式は「右回し=薄くなる」「左回し=濃くなる」に対し、スロー系全体に影響するエアースクリュー式は逆になり「右回し=濃くなる」「左回し=薄くなる」のがポイントです。

「メインジェット」

フロートチャンバーボディ下の大きなボルトを14mmスパナで取り外すと、奥にメインジェットが見えるので、5.5mmのボックスドライバーで取り外し交換します。

「ジェットニードル」

キャブのトップ(蓋)を取り外し、4mmの六角レンチもしくはマイナスドライバーでニードルセットスクリューを取り外します。するとジェットニードルを取り外せるようになるので、ペンチなどで抜き取り交換・調整します。

「エアージェット」

メインエアージェットとスローエアージェットの調整場所は、大きさで判別ができます。大きい方がメイン、小さい方がスローです。間違えやすいので、しっかりと覚えておきましょう。また、「パイロット・エアースクリュー」と混同されがちですが、別物なので注意してください。

【その3】暖機運転した後、アイドリング回転数を調整しましょう。
基本セッティングの状態で、エンジンを掛けて温めます。程よく温まったところで、安定する場所を見つけてアイドリング回転数をスロットルストップスクリューで調整してください。

スロー系のセッティング方法

【Step1】まず、スロー調整の手間を減らすために、低開度の仮セッティングをおこないます。まずは「パイロット・エアースクリューをどちらも1回転戻し」の状態にしてスタートしましょう。

エアースクリューを開度1/4~1/2程度で様子を見ながら、エンジン回転数が高くなる場所を1気筒ごとに探します。1つの気筒調整が確定すると回転数が変わるため、スロットルストップスクリューで1,300rpm位に再調整するのがポイントです。

すべての気筒で調整を終えたら、エアースクリューを1/4ずつ閉め、スロットルをあおりながらエンジン回転のピックアップを確認します。もっともピックアップが良いところにエアースクリューを微調整して仮セッティングは完了です。

調整したエアースクリュー開度が1/2以下になるなら、スロージェットの番数を大きいものに変えて再調整しましょう。反対に、2回転1/2以上になるのであれば番数を下げて再調整します。

【Step2】少し上り坂になっている直線道で負荷を掛けながらセッティングしましょう。初段階では2速2,500rpmの低速で走行し、一気に1/4開度までスロットルを開けていきます。燃調は濃い目から試していくのがおすすめです。

中間域(ニードル)のセッティング方法

【Step1】スロー系のセッティングを終えたら、1/4~1/2の範囲でスロットルをあおり、回転がスムーズにつながるかチェックしましょう。もし、引っかかりを感じるようであれば、ジェットニードルを変えて濃い目から様子を見ていきます。初回と比べて良くなっているかどうかを判断するのがポイントです。

【Step2】中間域では、各セッティングパーツの影響を確認しながら、1/8、1/4、3/4、1/2の各ポイントを調整します。複数同時に触ると混乱してしまうので、1ヵ所ずつ実行していくのがコツです。

【Step3】ギアを3~4速にし、立ち上がりや全体的なパワーを確認しましょう。1/4~4/4の開度でニードルピンの段数を調整し、一番良いと感じる段数を使用します。

全開域(メインジェット)のセッティング方法

【Step1】ギアを5速または6速にし、6,500rpmからスタートします。「高速走行の伸び」「回転の上がり具合」「プラグの焼け具合」を確認しましょう。記録を取りながら、メインジェットのみを「大→小」に変え、体感でチョイスします。

【Step2】エンジン回転数に対し、パワー不足を感じるなら濃くしていきましょう(回ってばかりでパワー感がない)。街乗りがメインなら濃い目の調整がおすすめです。

季節ごとにセッティングを変更すべき?

そもそもキャブレターは、空気と燃料を絶妙なバランスで混ぜ合わせ、最適な混合気を作り出すのが主な役割です。

そのため「気温」「気圧」「湿度」の変化があるのなら、セッティングも適正の状態へと変えるのがベストと言えるでしょう。四季の中でも特に「夏」と「冬」では、混合気の差が生じやすいので、環境に合わせてセッティングをおこなうのがおすすめです。

【気温】×【高い】…空気密度が低く、混合気が濃くなるのでセッティングを「薄く」する
【気温】×【低い】…空気密度が高く、混合気が薄くなるのでセッティングを「濃く」する
【湿度】×【高い】…空気密度が低く、混合気が濃くなるのでセッティングを「薄く」する
【湿度】×【低い】…空気密度が高く、混合気が薄くなるのでセッティングを「濃く」する
【標高】×【高い】…空気密度が低く、混合気が濃くなるのでセッティングを「薄く」する
【標高】×【低い】…空気密度が高く、混合気が薄くなるのでセッティングを「濃く」する

つまり、「気温が低い」・「湿度が低い」・「標高が低い」のいずれかに当てはまるのであれば、セッティングは濃くするのが理想的です。反対に「気温が高い」「湿度が高い」「標高が高い」なら、セッティングは薄くするのがベストと言えるでしょう。

まとめ

FCRキャブは、もともとレース用として提供されているフラット型のキャブレターですが、街乗りでも活用できることから注目を集めています。

細かいセッティングがおこなえ、走りに特化した優れた性能がFCRキャブの魅力の一つです。素人では難しいセッティングも、基礎とコツを学んでしまえばFCRキャブの魅力を最大限に堪能できます。ぜひこの機会にFCRキャブのセッティングに挑戦してはいかがでしょうか?

本記事は、2020年4月21日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。

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