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ベアリングにグリスアップは必要?グリスの選び方や手順、おすすめ商品をご紹介!

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ホイールやステアリングステムなど、ベアリングはバイクのあらゆる可動部分に使われています。非常に重要なパーツですが、定期的にメンテナンスしている方は少ないでしょう。

「バイクを押して歩いたときに抵抗を感じる」「回転が引っかかる、ガタつきがある」などの異変があれば、ベアリングのメンテナンスが必要かもしれません。

そこで今回は、ベアリングのグリスアップについて解説します。グリスの選び方やグリスアップの手順についても触れているので、ぜひ参考にしてください。記事の後半では、おすすめのベアリンググリスも紹介します。

ベアリングの役割や構造は?

ベアリングは回転運動を支える役割を持つパーツです。回転する部品の軸を支持しているので、「軸受」とも呼ばれます。

軸を支持すると同時に、本体と軸の間に生じる摩擦抵抗を減らし、滑らかな回転を可能にするのもベアリングの役割です。そのため、ベアリングは以下のような構造になっています。

ベアリングの構造

ベアリングにはさまざまな種類がありますが、バイクでおもに使われているのは「深溝玉軸受(ボールベアリング)」と呼ばれるものです。

深溝玉軸受は以下の部品によって構成されています。

  • アウターレース
  • インナーレース
  • ボール
  • リテーナー
  • シール

基本的な構造としては、外側のアウターレースと内側のインナーレースの間をボールによって支えているイメージです。ボールが転がることによって、摩擦を抑えた回転を可能にしています。

ただし、そのままだとボール同士が接触して、スムーズに動けません。そのため、リテーナーでボールの位置を保持しています。

シールはベアリング側面にある蓋のようなもので、ベアリング内部へのゴミや水の浸入を防ぐ部品です。ただし、種類によってはシールがなく、深溝玉軸受にはノンシール(開放型)タイプとシールタイプの2種類があります。

バイクのベアリングメンテナンスではなじみ深いホイールベアリングには、シールタイプが使われることがほとんどです。

ベアリングはメンテナンスで見過ごされがち

ベアリングはメンテナンスで見過ごされがち

重要な役割を持つベアリングですが、エンジンオイルやブレーキフルードとは異なり、定期的なメンテナンスで見過ごされがちな部品です。

ボールによって摩擦を低減してはいますが、抵抗がゼロにはならないのでグリスでの潤滑は欠かせません。エンジンオイルが不足するとエンジンが焼き付くように、ベアリングも潤滑不良によってトラブルを起こします。

ベアリングがグリス切れを起こしたときの症状

ベアリングがグリス切れを起こすと、焼き付きや破損につながります。走行中に回転部分が破損すると非常に危険なため、早期発見が重要です。

下記のような症状が見られる場合は、焼き付きや破損の前触れと考えたほうがよいでしょう。

  • 異音
  • ハンドルのブレ
  • ホイールのガタつき
  • 燃費の低下、失速感(回転抵抗が増大している) など

負荷をかけない状態で回転させてみてゴロゴロとした感覚があれば、高確率でグリス切れを起こしています。軽症であれば、グリスアップによって再び使える状態になることもありますが、摩耗がひどい場合はグリスアップしてももとに戻りません。そうなるとベアリングの交換が必要です。

ベアリングのグリスアップ頻度は?

ベアリングのグリスアップ頻度はバイクの走行環境によって大きく左右されるため一概にはいえませんが、目安としてはタイヤやスプロケット・チェーンの交換時に同時に行なうとよいでしょう。

他にも目安としては、

ハードなオフロード走行や雨天時の走行を頻繁に行なうバイク

グリスアップは年1回がおすすめ

晴れの日の走行が多いオンロードバイク

2、3年に1度のグリスアップで十分なことが多い

といった見方もできます。グリスアップは頻繁に行なうに越したことはないので、心配になったらその都度ベアリングをチェックするのが理想的です。

ダストシールの劣化にも注意

ベアリング本体ではありませんが、ダストシールの劣化にも注意が必要です。ダストシールはホイールベアリングの外側にあるゴム製のシールで、ゴミや水の浸入を防ぐ役割があります。

ダストシールが劣化するとベアリングに水やゴミが浸入し、サビや磨耗の原因になります。せっかくベアリングをグリスアップしても、ダストシールが劣化しているとすぐにコンディションが悪くなってしまうでしょう。

ダストシールはゴム製のため、硬化していれば劣化の証拠です。また、カラー(ダストシールに装着する金属製の部品)にダストシールのゴムが焼き付いていれば、摩耗による性能低下が疑われます。

ダストシールは本来、カラーに密着してゴミなどの浸入を防ぐものです。カラーが抵抗感なく回るようであれば、ダストシールを新品へ交換しましょう。

ベアリングに使うグリスは何種類?

オイルに種類があるように、グリスにもさまざまな種類があります。場所ごとに適したグリスが異なるため、ホイールベアリング周りを例に見ていきましょう。

シールドベアリング内(金属同士の摩耗部)

まず、メインであるベアリング内に充填するグリスです。金属同士の摩耗部では、ウレアグリスやリチウムグリスなどのいわゆる「マルチパーパスグリス」が適しています。

マルチパーパスは「万能の、多目的の」という意味です。つまり、ベアリング以外にもさまざまな箇所で利用できるグリスであるため、1つ持っておくと便利でしょう。

もちろん、「ベアリング専用」と表記されている高性能グリスもおすすめです。回転抵抗の低減を狙うなら、高性能グリスの使用も検討してみましょう。

ダストシールなどゴムシールのリップ部分(金属対ゴムの摩耗部)

ダストシールなどゴム製の部品では、ゴムを侵さないグリスが求められます。適しているのは、ラバーグリスやシリコングリスなどです。ゴムを侵さないため、プラスチックの潤滑にも適しています。

ダストシールに使う場合は、シール性を高めるためにちょう度(粘度)のあるグリスを選ぶとよいでしょう。

アクスルシャフト(金属同士の摩耗部で特に高負荷な状況)

金属同士の摩耗部という意味ではベアリングと同様ですが、アクスルシャフトなど特に高負荷がかかる場所では、モリブデングリスが適しています。

モリブデングリスに含まれるモリブデンは極圧性が非常に高く、激しい負荷がかかっても潤滑不良を起こしにくいのが特徴です。金属同士のかじりや、焼き付きを防止する効果もあります。

マルチパーパスグリスでも潤滑は可能ですが、高負荷によりメンテサイクルが早まるでしょう。頻繁にメンテナンスしない場合は、モリブデングリスを使うのが無難です。

ホイールベアリングのグリスアップ手順

ここからは、ホイールベアリングを例に、グリスアップの手順を解説します。ホイールを車体から取り外した状態を前提とすると、作業手順は以下のとおりです。

  1. ベアリングの手前にあるダストシールとカラーを取り出す
  2. ベアリング抜け止め用のサークリップを取り外す
  3. ベアリングのシール(蓋)をマイナスドライバーなど、先端が鋭利なものでこじって取り外す(シールを歪めないように注意)
  4. ベアリングのボール部分が露出するので、古いグリスをパーツクリーナーや灯油などで洗い流す
  5. 新しいグリスをベアリングに封入する。指でなじませながら数回行なうことで、ベアリング全体にグリスを行き渡らせる
  6. 取り外しと逆の手順でシール、サークリップ、ダストシール、カラーを取り付ける
    ※ダストシールは基本的に新品への交換を推奨

作業時の注意点として、以下の2つが挙げられます。作業前に確認しておきましょう。

ベアリングシールを外す際は、シール自体の変形に注意する

ホイールベアリングに採用例の多いシールタイプですが、グリスアップの際はシールを取り外す必要があります。このときに注意すべきは、力任せに作業しないことです。

シールの裏側には薄い鉄板が貼り合わせてあり、変形するとシールが歪みます。「こじる」というよりは「優しく持ち上げる」イメージで作業するとよいでしょう。

グリスアップはベアリング洗浄後に行なう

グリスアップは、グリスが充填されれば良いわけではありません。汚れた古いグリスに新しいグリスを上塗りしても、混ざり合って本来の性能を発揮できないため、古いグリスを除去してからグリスアップをしましょう。

ベアリングは、単体であれば灯油に浸して洗浄するのが効果的です。ただし、ホイールベアリングの場合は基本的にホイールにセットしたまま作業するので、パーツクリーナーを吹きかけながら歯ブラシなどを使って除去しましょう。洗浄時は、異物がベアリング内に入らないよう注意してください。

このように、ベアリングのグリスアップは少々難度が高い作業です。また、ベアリングが摩耗して交換が必要になった場合は特殊な工具が必要になるため、さらにハードルが上がるでしょう。

その際は、無理に作業をせず専門業者に依頼することをおすすめします。

お店での施工実績はこちらから確認できます!
ベアリングに関する作業実績一覧

バイクのベアリングにおすすめのグリス10選!

最後に、バイクのベアリングにおすすめのグリスを10種類紹介します。グリスは種類が豊富で迷いやすいので、ぜひ参考にしてください。

DAYTONA 万能グリス

バイクパーツやバイク用品でおなじみのDAYTONA社から発売されている、万能タイプのグリスです。万能というだけあってスイングアームピボット、ステアリングヘッド、ホイールなど幅広い部品に使用できます。

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エーゼット 万能グリス

非常にリーズナブルなリチウム系の万能グリスです。潤滑性・耐水性に優れ、さまざまな部品の潤滑に利用できます。パッケージにも記載されているように、高速ベアリングに適しているため、バイクのベアリングにはうってつけのグリスです。

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MAXIMA ウォーター プルーフ グリス

リチウム系の万能グリスで、名前のとおり耐水性・耐海水性を持っています。その他に、耐摩耗・耐過電・耐熱・耐圧・防薬品・防酸化・防湿・防錆も優れており、非常に高性能なグリスです。

極圧剤も含まれているので、高負荷のかかる部品にも使用できるでしょう。モリブデングリスの代わりにもなる、まさに万能なグリスです。

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SUPER LUBE 多目的グリス

合成ベースオイルに超微粒子PTFE(テフロン)を配合した、高性能な万能グリスです。ほとんどのプラスチックやゴムに適合しているので、シリコングリスやラバーグリスの代わりとしても使えます。

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SUPER LUBE 高温・極圧グリス

上記の多目的グリスと同様の基本性能に加え、高温・極圧への耐性をさらに高めたグリスです。シリコングリスやラバーグリスの代用になる特性はそのままに、モリブデングリスの代わりにも使えます。1つで何役もこなすため、さまざまな種類のグリスをそろえる手間も省けるでしょう。

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WAKO'S ハイマルチグリース HMG-U

ウレア系の万能グリスで、高温・高荷重にも耐えられるよう設計されています。耐熱性・耐水性・潤滑性・酸化安定性に優れており、利用できる範囲も幅広いグリスです。

ちょう度(粘度)が2種類あるので、用途に合わせて選びましょう。「ちょう度:1号(品番 M510)」はやわらかく、「ちょう度:2号(品番 M520)」は少し硬めです。

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※上記はM510

WAKO'S ブルーグリース BLG-U

ハイマルチグリースと同じく、ウレア系の万能グリスです。高温・高荷重に対応している点も同じでよく似ていますが、シンセティックオイル配合ではない(ハイマルチグリースは配合)違いがあります。また、ハイマルチグリースに比べてリーズナブルです。

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ホンダ マルチパーパスグリス

ホンダ純正のリチウム系万能グリスです。ベアリングもちろん、シャーシ各部など多くの可動部分に使用できます。純正グリスなので安心感が高く、大容量で心置きなく使えるのもうれしいポイントでしょう。

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SUPER ZOIL スーパーゾイル グリス

エンジンオイル添加剤でおなじみ、スーパーゾイルの成分を配合したグリスです。金属表面再生剤を配合しており、金属表面を平滑にしてスムーズな回転を実現します。1,000kg超の極圧にも対応しているため、高負荷のかかる部品への使用も安心です。

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BEL-RAY WATERPROOF GREASE

高い耐水性を持つグリスで、塩水にも耐えられます。防錆目的としても非常に優秀で、水に溶け出さないため耐久性にも優れています。ジェット、トレーラー、船舶などにも使用できるスペックなので、バイク用としては十分すぎるほど高性能なグリスです。

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まとめ

定期メンテナンスで見過ごされがちなベアリングですが、潤滑不良を起こすとトラブルにつながります。ベアリングの寿命が延びるだけでなく摩擦抵抗の低減にもなるので、定期的にグリスアップをしましょう。

しかし、シールを歪めないように取り外すなど、少々難度が高い作業であるのも事実です。不安な方は、バイクショップなどの専門業者に依頼することをおすすめします。

自分でメンテナンスする場合は、場所によって適したグリスの使い分けが必要です。「マルチパーパス+モリブデン」など多用途なグリスもあるので、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

本記事は、2021年10月29日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。