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それまでの梅雨の長雨が嘘のように、今年の鈴鹿8耐はレースウィークに入った途端澄みきった青空が広がり、厳しい猛暑となった。
木曜に行われた公式練習でウイダーホンダ学園DDボーイズはトップ10に入る上々のタイムを記録。公式予選でトップ10内に入れれば、今年から導入されたトップ10トライアル(決勝前日に上位10台までに入ったチームが1台ずつタイムアタックをし、ポジションアップをねらう)に出場できるとあって、どのチームも必死だ。
金曜の公式予選では2分11秒277という好タイムを記録し、Bグループの6番手を獲得。しかし、A、B両グループの総合では13番手となり、トップ10トライアルへの出場はかなわなかった。この日深夜1時まで作業をしていた生徒たちは、土曜の午後に行われるフリー走行に備えて着々と準備を整える。そして、出場できなかったトップ10トライアル後の夜には、決勝本番に向けてのピット作業を何度も繰り返し行っていた。「44番入りま〜す!」、「リヤスタンドOK!」、「フロントOK」と威勢のいいかけ声をあげながら、タイヤ交換までが何秒、給油を終えるまでが何秒と、正確かつスピーディさを補うための反復練習だ。太陽はとっぷり暮れているというのにまだまだ暑い。汗はしたたり落ち、着ている作業着は汗でびっしょり。それでも生徒たちの手は休むことはなく、ピット作業やマシンのメインテナンスなどは明け方の4時過ぎまで続けられた。
迎えた決勝当日、生徒たちの表情にやや疲れは感じられるものの、直前に迫ったレースに緊張感が漂っている。そして、レースがスタート。オープニングラップを9位で通過。その後も順調に走行を続けた。3回目のピット作業では給油ができていないというハプニングがあったものの、それ以外に大きなミスはない。だが、そんなチームに予期せぬアクシデントが襲った。
スタートから6時間が経過しようとしたとき、周回遅れをパスした際に接触され、予期せぬ転倒を喫してしまったのだ。マシンはピットに戻ってこられたが大破。この後約1時間半に渡る修復作業を行い、再スタート。順位は大きく下がり、義務周回数が足らず完走扱いにはならなかったが、チェッカーフラッグを受けることはでき、生徒たちの鈴鹿8耐は幕を下ろした。
レースを終えた生徒たちは初めて会ったときより大人びたように見え、表情も自信に満ちあふれている。こうして培われた貴重な経験が今後の彼らの糧となり、また来年挑戦するであろう後輩たちへ受け継がれることは間違いない。 |
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初めての8耐にやや緊張気味の生徒たちだったが、自分たちに与えられた役割を黙々とこなし、無事に公式予選を終えることができた。トップ10トライアルには届かなかったが、予選13番手と上々のポジションを獲得。 |
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この日はフリー走行1回のみの走行となったが、生徒たちの仕事に休みはない。マシンのメインテナンスはもちろん決勝本番に向けてのピット作業を幾度となく繰り返し、明け方4時ごろまでピットでの作業は続けられた。 |
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学校のある大阪から生徒たちが応援に駆けつけた決勝。つねにトップ10圏内で走行していたが、レース後半にまさかのアクシデントが発生。大破したマシンを修復し、チーム全員でチェッカーフラッグの喜びを噛みしめた。 |
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オープニングラップを9位で通過し、その後もトップ10圏内を走行するなど、順調なレース展開を見せたウイダーホンダ学園DDボーイズ。上位フィニッシュが見えてきた矢先に鈴鹿の魔物に微笑まれてしまった。 |
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悲願のチェッカーフラッグを受け、走行を終えたライダーたちが戻ってくると、自然と歓喜の輪ができた。残念ながら完走扱いにはならなかったものの、この経験は今後必ず生かされる。 |
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レース後の松隈くんは……
「無事に完走できましたが後悔が」 |
事前の練習で腰を痛めてしまい、本来の担当から外れてしまったのですが、みんなで喜びを分かち合えたことはよかったです。だけど、後悔していないと言われれば嘘
になります。ケガもそのひとつですが、シミュレーションしていたことができなかったことが悔しいです。初めて挑戦した鈴鹿8耐は、途中で何度も諦めかけたけど、なんとかみんなと力を合わせて乗りきれました。「自分たちはやればできるんだ」という、大きな自信になりました。 |
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