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セローは、けもの道や岩場などを“二輪二足”で進む、マウンテントレールとしての使い勝手を高めたモデルだ。
二輪二足とは文字通り、バイクの前後輪とライダーの両足という意味。ときには両足をバタバタして、あるときはバイクから降りて押し引きしつつ走る、ということ。つまり、速く走ることを前提としたモトクロス系などとは違うジャンルだ。
そして先代セローは、そういったマウンテントレールという遊びを、日本のライダーに広めた立役者でもあるのだ。
今回紹介する250のセローも、そんな初代からの血をちゃんとに受け継いでいる。
トリッカーをベースとした250の車体は、先代と同じくらいコンパクトで、ダートでも岩場でも泥の中でも、ときには“二足”を使いつつ、簡単にコントロールできる。エンジンは、先代の扱いやすさはそのままに、26ccの排気量増でさらにトルクフルになった。見た目は先代よりだいぶ都会よりになったが、中身は変わらずオフロードを向いている、といったイメージだ。
“高性能”なパーツはほとんど持たないのに、荒れた道の走破性はとっても高い。本当にセローは、スゴいヤツだ。
そうそう、スゴいと言えばもうひとつ、セローには初代から一貫して、特筆すべきセールスポイントがあった。
それは、「壊れない」こと。セローは、けっこう派手に転がしても、レバーが曲がったりとかはあるけど、家に帰れなくなるほど破損することが少ない。だからムチャしていい、というわけではないが、とっても心強いのだ。ちなみにこの250型も、相当タフだ。
なんたって、撮影中にド派手に転倒させた僕が言うんだから、間違いない。ヤマハさん、本当にごめんなさい。セローの魅力にヤラれ、つい楽しみすぎました……。 |
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エンジン |
空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ |
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排気量 |
249cc |
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最高出力 |
16kw(21PS)/7500rpm |
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最大トルク |
21Nm(2.1kgm)/6500rpm |
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全長×全幅×全高 |
2100×805×1160mm |
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シート高 |
810mm |
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乾燥重量 |
115kg |
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燃料タンク |
9.8L |
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タイヤサイズ |
F:2.75-21 R:120/80-18 |
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シート高は低く、さらに車体が細身のため、足着き性はかなりよい。体重にもよるが、身長160cmくらいであれば、まったく問題はないだろう。ライポジは、足着き性を優先させた結果、オフ車としてはタンクがかなり盛り上がっている印象だ。 |
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走る・曲がる・止まるという走行性能だけで言えば、セローは舗装路ではさほどスゴくない。
まあ、そりゃそうだ。軽量化を突き進めた車体に空冷エンジンを搭載し、オフロード走行を大きく視野に入れた小径のブレーキを装備して、おまけにタイヤはブロックパターン。これじゃあたぶんV・ロッシだって、最新のロードバイクと同じようには走れまい。
ただ、速くは走れない代わりに、セローは街でも郊外の田舎道でも、とにかく扱いやすい。軽い車体に低めのシート高、そして大きなハンドル切れ角のおかげで、すり抜けや狭い道でのUターンもナンノソノ。最高出力は車名のとおり、馬というよりはカモシカな感じだけど、トルクフルかつ軽快にまわるエンジンだから、あんまりストレスはない。それよりなにより、全体のまとまりがいいせいか、速くないのにとても心地よい。
高速道路はあまり得意じゃないけど、休日の散策用や日常の足としては、かなり使えるはずですよ。 |
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トレールモデルの定番となる、前21/後18インチのスポークホイールを装備。ただしリヤタイヤは、スポークホイールでありながら、整備性に優れるチューブレスタイプだ。 |
セローは05年に、トリッカー譲りのスチール製フレームと空冷単気筒エンジンを採用したモデルへと刷新。アルミメッキシリンダーや鍛造ピストンなども譲り受けている。 |
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リヤサイドの2カ所に加え、ヘッドライトの下側にも、ハンドルスタンディングと呼ばれるパイプを装備。これは、悪路などでマシンを支えたり、引き上げたりする時などに使う。 |
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くるぶしが隠れるブーツを履こう!
足を障害物などから守ってくれるブーツは、オフロード走行の必需品だ。もちろん、オフロード用のゴツいブーツを履くのがベストだけど、ちょっとダートを走るくらいなら、写真のようなタイプのでも大丈夫! |
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前乗り&足出しを覚えよう!
オフロードのコーナリングでは、前に座るのが基本。これなら、リヤタイヤが滑ったときに、ライダーが振られる量が少なくなる。またイン側の足は、横ではなく前に出すようにしないと、股裂きの刑になるぞ! |
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タンクの傷や凹みだけは……
オフ車の外装パーツは、比較的安価なことも多いし、購入後にオフを走れば少なからずバイクは傷つくから、僕はあまり傷を気にしない。ただし燃料タンクは高価だから、傷や凹みがないかチェックするけどね。 |
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ブレーキローターの減り具合は?
セローオーナーには、日常の移動からツーリングまで活用しちゃうような、“使い倒し派”がかなり多い。それだけに、多走行車もけっこう目立つ。ブレーキローターが減っていないかも、チェックしたい。 |
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セローは、223cc空冷単気筒を搭載して85年にデビュー。その後、セルスターターの追加やリヤブレーキのディスク化などの、熟成が続けられた。97〜05年にかけて販売された225WEが、223cc仕様の最終型となっている。 |
02年型 新車価格 38万9000円 |
中古車平均価格 26万3000円 |
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97年に、セローの対抗馬としてデビュー。空冷4スト単気筒の排気量は、当時のセローと同じ223ccだ。98年と99年に2年連続でマイチェン。03年末発売の最終型は、最高出力20馬力、乾燥重量106kg、シート高805mm。 |
03年型 新車価格 38万9000円 |
中古車平均価格 23万円 |
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