一般的な原付スクーターよりさらに小さく、それでいてギア操作も楽しめるモデルとして、多くのファンに支えられていたホンダ・モンキーがついに生産を終了するという。稀代の人気モデルをあらためて振り返りたい。
もともとはキャンプなどの「レジャー」で、広大な敷地内を走り回ったり、買い物などの現地の足として使うことを目的としたジャンル。当時は車のトランクに入れたダックスやモトコンポのカタログが、なんともアメリカンな雰囲気で人気だった。現行モンキーがハンドルを折りたためるのは、まさにその名残りと言えよう。
新車価格:29万8080円〜 中古相場価格:8.5〜199万円
コレが初期型!
初期型が発売されたのが1967年。モデルチェンジを繰り返しながらも、基本的なコンセプトを変えずに今日まで発売され続けている。
原付モデルといえば、現在の主流はスクーターである。ギアチェンジの必要がなく、左右レバーで前後ブレーキをかけることができ、さらにたくさんの荷物を積むこともできる。日常の足としてとても便利ということは、今さら言うまでもないだろう。
対してモンキーは?燃料タンクやシート、ハンドルなど、しっかりとバイクデザインの要素を満たしているが、車体自体はとてもコンパクトで、まるでデフォルメされたかのようなスタイリング。それでいてクラッチやギアチェンジによる操る楽しさを有している。決してパワーは大きくないが、小さな車体と相まって、気負うことなくすぐに走り出せる気軽さは、モンキーならではの魅力と言えるだろう。そう、モンキーは他のバイクにはない魅力に溢れたモデルなのである。
ちなみに、かつてはモンキーのような個性的で気軽に走り出せるレジャーバイクが数多くリリースされていた。しかし、いまでは原付モデルに限って言えば、モンキーのみという寂しいラインナップとなっている。そしてそれも生産終了が発表され、いまはレジャーバイク絶滅の危機と言える状況なのだ。
もしもレジャーバイクを新車で買いたいなら、いまが本当のラストチャンス!こんなに可愛くて楽しいバイクはきっともう出ないだろう・・・。
去る4月29日(土)、東京都あきる野市にある東京サマーランド特設会場で「第10回モンキーミーティングin多摩」が開催された。当日は晴天も手伝って、100台以上のモンキーをはじめ、ダックスやゴリラなどのカブ系横型エンジン搭載モデルが多数来場し、おおいに盛り上がった。小さいけれど、他にはない魅力が溢れるモンキーならではの光景だといえるだろう。
小さいけれど、どこまでも一緒に行けるんです!
田中茉莉さん(27)グラフィックデザイナーとして活躍する茉莉さんは、忙しい毎日を送っているため、最近はモンキーに乗る機会もめっきり減ってしまったという。だけど、たくさんの思い出が詰まった愛車だから「絶対手放しません!!」とのこと。
近場だけでなく県をまたいだツーリングだってモンキーで行く。写真は4年前に行った栃木県鬼怒川ツーリング。さらにその1年前には1泊2日で房総半島を一周したという。どこへ行くにも一緒なのだ!
ふと「バイクで走りたい」と思った茉莉さんが原付免許を取得したのは7年前。スクーターは周りに溢れているし、ギアチェンジもしてみたいということで選んだのが、現在の愛車モンキーだった。主な使い道はツーリングで、休日は自宅のある東京近辺を日帰りで走ることが多いという。ただ、ロングツーリングも大好きで、これまでに房総半島一周も経験したことがある。さらにマフラーやシート、外装ペイントなど、カスタムも大好きとのこと。「お気に入りの愛車ですが、カスタムすると本当に自分だけのバイクになって、愛着が倍増しますよ!」
純正スタイルを崩さないように気をつけながらも個性を高めるためにカスタムを敢行。シート表皮の貼り替えや外装ペイントのほか、マフラーなども交換し、見た目と性能の向上を図っている。
中古相場価格:10〜16.8万円
大きなシートにクルーザーを思わせるハンドル周りなど、他の何にも属さないスタイリングが特徴。タマ数が少なく、希少なモデルだ。
中古相場価格:2.2〜25.9万円
バルーンタイヤと分厚いシートによって、可愛らしい印象を与えてくれる。兄弟モデルに70、90、125がある。
中古相場価格:12.8〜78万円
モンキーの兄弟モデルとして登場したゴリラは、大容量の9Lタンクを装備。航続距離の長さと無骨なフォルムで人気を集めた。
中古相場価格:7〜49.8万円
独特のフレーム形状が車名のとおり「ダックスフント」を思わせる。原付二種モデルのダックス70もラインナップされていた。
※中古車相場価格はGooBike.com調べ(2017年6月)。
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