白馬の王子様の投稿検索結果合計:1枚
「白馬の王子様」の投稿は1枚あります。
FJR1300、俺RIDE、東○海平、海刊オートバイ、白馬の王子様 などのタグがよくつけられています。投稿されたツーリングスポット情報・カスタム事例など白馬の王子様に関する投稿をチェックして参考にしよう!
白馬の王子様の投稿写真
白馬の王子様の投稿一覧
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2020年04月03日
58グー!
のどかな田園風景。
ブオォォーン!
一台のバイクが飛ばして通過していく。
Uuーッ!Uuーッ!
私は甲高いサイレンを鳴らし通過していったバイクを追う。
「ッ!」
目標のバイクが振り返り、スピードを落とす。
私はジェスチャーで後に続くように指示。
「………」
うなだれたライダーと共に最寄りの安全な側道に入り停車する。
「どうもぉ」
出来るだけ柔和に話しかける。
「ーーども」
ライダーがため息混じりに答える。
「急いでたね~」
「そっすね」
「……スピード確認してもらって良いかな?」
「……」
ライダーが大人しく液晶に表示された速度を確認する。
「時速63キロ。ここは制限速度50キロね」
「はい」
「免許証をお願い出来まーー」
私の言葉を遮り、ライダーが免許証を突き出す。
「ーーはい。ご協力ありがとうございます」
私は必要な書類を用意し、ライダーと手続きを行う。
「いじってるね~。カワサキかな?」
「はい」
「良い音してたね~。でもね~」
「ええ」
「春でシーズンだもんね~」
「そっすね」
「………」
ライダーからの露骨な嫌悪と苛立ち。
一通りのやり取りを終える。
「では、安全にね」
切符を渡し、重い足取りのライダーを見送る。
回転数高めで低音を響かせながらライダーが去っていく。
業務に戻る。
「…ぁ」
ふと振り返る。
視線の果て、ライダーが切符を投げ捨てるのが見えた。
「今日の成果です」
上司に取り締まりのノルマを提出する。
「おう」
上司が犠牲者の名簿に目を通す。
胃がキリキリと痛む。
「ご苦労様、今日はなかなかやのぅ」
「ははは、そうですね。では失礼します」
引きつった笑みを浮かべ、部屋を後にする。
「ーーハァ」
ドッと疲れが押し寄せた。
俺は交通機動隊の白バイ隊員。
子供の頃に白バイに憧れて、辛い勉強と訓練に耐え、この職に就いた。
憧れの白バイ隊員。
しかし現実は蛇蝎の如く嫌われ、怒りと拒絶を日々叩きつけられる。
「………おっとイカンイカン」
仕事の相棒、FJR1300Pを洗い忘れていた。
大急いで車庫に出向き、洗車を始める。
「この世で最速のバイクって知ってっか?」
先輩の言葉を思い出す。
「白バイよ。誰も追い抜けんし逆らえん」
皮肉の効いた言葉だ。
「………」
泡まみれになった相棒の顔をなぞる。
バイクは皆、ライダーに望まれて作られてくる。
かけられる金や愛情に違いはあれど、そのバイクはオーナーに愛されてーー。
「なぁ」
ライダーに忌み嫌われる君よ。
「お前は幸せかい?」
相棒は何も言わない。
「……ハハハ」
思わず乾いた笑いが出た。
そんな矢先。
「え? バイクの買い換えですか?」
機動隊の車検で、俺のFJRが落ちた。
「う~む。ちょっと酷使しすぎたようやのぉ」
上司がアゴを掻きながら、バツが悪そうにFJRのシートを触る。
「参ったのぉ~。まぁ、とりあえず、来週からはCBかVFRで……」
「………」
書類にペケが書かれた相棒を眺める。
「コイツ直すんですか?」
「せやな……。そうしたいのも山々じゃが、ちと予算がなぁ~」
ーー良し。
俺の心にバシッと芯が通った。
「あの!」
覚悟を言葉にする。
「コイツ、俺が買っても良いですか?」
「マジで行くんか?」
私服姿の上司が俺に尋ねる。
「ええ。行かせてもらいます」
俺はグローブをしっかりハメて、払い下げられたFJRに跨がる。
俺は相棒を買い、一般仕様に組み直した。
そして貯まっていた有給を用いて、ちょっとした旅に出ようと思った。
「今回はありがとうございました」
色々と迷惑をかけた上司に、深々と頭を下げる。
「まぁ、楽しんできんちゃいや」
見送りを受けながら、出発する。
「ーーおっと」
追い抜いていく車やバイクを見て、思わずサイレンのスイッチを探す。
「イカンなぁ」
これがお前の本来の姿なんだよな。
法定速度を遵守し走っていく、、、
「お!」
対向車線のライダーが俺にヤエーをしてくる。
「ハハハ!」
満面の笑みを浮かべ、ヤエーを返す。
「行こうぜ相棒」
ギアを落として、ちょこっとだけ加速する。
山を見に行こう
海を見に行こう
キャンプを、ツーリングを、カスタムを。
さあ、新たな世界へ
この町を飛び出して
俺をもっと夢中にさせてくれ
#FJR1300 #海刊オートバイ #俺RIDE #東○海平 #白馬の王子様
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