ハッシュタグ (ヽ´ω`)のカスタム・ツーリング情報1件

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    • マリン後輩さんが投稿したバイクライフ

      2020年03月28日

      52グー!

      人生の大きな岐路を前に、あの人に会おうと思った。
      「…じゃあ。行ってくるね」
      玄関で見送る母に短く告げる。
      「行ってらっしゃい」
      母がそう言って私のヘルメットを差し出してくる。
      ーーうん。
      ヘルメットを受け取り、愛車のVTRに火を入れる。
      朝日に照らされながら、Vツインのミットを打つようなパルスが刻まれる。
      黒いカウルに朝露が滴る。
      「あの人によろしくね」
      母が目を細め、アンニュイな笑みを浮かべる。
      無言で頷いた。
      ーー行くよ。
      私はタンクを軽く撫で、昇る朝日を目指し出発した。

      私と母は2人で生きてきた。
      父のことが気にならなかった訳では無かったが、女手一つで育ててくれた母を思うと、聞こうとは思わなかった。
      そんな人生の中、高校の悪い先輩のバイクにタンデムした時に転機が訪れた。
      「どや!ホマレ恐いか!? オモロいやろ!」
      先輩の言葉に答えることが出来ない。
      私の中で燃えるようなナニかが、のたうち回っていた。
      「……面白かったです」
      先輩に短く感謝を述べ、満足そうに去っていく先輩を見送る。
      その後、すぐ車校に入った。
      そして免許とバリオスを手に入れて走り回った。

      そんなある日。
      夜走りを終えて、家に帰ると母に呼び止められた。
      「あんたバイク乗ってるの?」
      母の言葉が私に刺さる。
      別にバイクを禁止されてるわけでは無かったが、なぜかとても心が傷んだ。
      「怪我だけはしないでね」
      母の泣きそうな顔と言葉。
      「うん。気を付けます」
      私は頷くことしか出来なかった。

      そして歳を重ね、二十歳を過ぎて人生の大きな岐路に差し掛かり。
      「あなたに話が有るの」
      母が改まって。
      「お父さんについて。どうか聞いてね」
      話をしてくれた。
      初めて自分の父のことを聞いた。
      どんな人だったのか。そして母がどう思っていたのか、今どう思ってるのか。
      「ごめんね……本当にごめんね」
      涙ぐむ母を前にして、私は決心した。
      「…ねえ」
      母の手を握る。
      「お父さんに会いに行ってもいい?」

      私は桜の下、なんとなく頭上の空と桜を眺める。
      父と会った。もっと言えば、父の経営するカフェに行った。
      「あの…えっと。VTR1000Fカッコいいね」
      引きつった笑みを浮かべた父。
      「ありがとうございます。そちらのSPもカッコいいですね」
      私は心臓が飛び出しそうになる緊張と、上擦る声を隠す為に憮然と答える
      「…ありがとう」
      モソモソとコーヒーを煎れる、カウンターの中の父を見つめる。
      ーーよし。
      覚悟を決める。
      「……待ってます。ご馳走さまでした」
      私は父を呼び出した。

      そして。
      「じゃ話を聞こうか」
      桜の下、父が苦笑を浮かべて私を見つめる。
      「来てもらってありがとうございます。」
      私は頭を下げる。
      「初めまして、私は魚谷ホマレと言います。……そして」
      「坂本ショウマさん。私はあなたの娘です」
      私は説明をすっ飛ばし本題を述べる。
      「ーーやっぱりか」
      父…ショウマさんが遠くを見つめる。
      私は一通の手紙をショウマさんに差し出す。
      「私、結婚するんです」
      「……は?」
      「結婚式に来てください」
      「ーーッえ!?」
      ショウマさんが目に見えて取り乱す。
      無理もない。
      いきなり娘が現れて、突然父となり、あまつさえ結婚式に来いと言うのだ。
      招待状を前にモニョモニョと口ごもる。
      「私はあなたを許しません」
      私は正直な言葉を吐露する。
      「………」
      ショウマさんが私の言葉にハッと顔を上げ、そして唇を噛む。
      「でも、もし貴方が私の父親として」
      ーー母の愛した男性として
      「来てくれるのなら」
      ーー頑張ったお母さんに会ってくれるのなら
      「あなたを許そうと思います」

      「……」
      ショウマさんが目を伏せる。
      俺が? 今さら? どの面をさげて?
      そんな葛藤が見てとれた。
      「だめ…ですか?」
      「う~ん、、、」
      ショウマさんが口を手で覆い、深く深く思案する。
      そんな様子を見てーー
      ダメなの? 来てくれないの? 私は? お母さんは?
      と、思わず目頭が熱くなって。
      「ーーねえ」
      思わずうつむく。
      「一緒に行こうよ お父さん」
      視界がゆがむ。
      「家族……なんだよ?」
      私はショウマさん……お父さんに震えながら招待状をーー

      「ーー分かった」
      お父さんが招待状を受け取った。
      「ほら。涙を拭きなさい」
      そしてハンカチで私の目尻を優しく撫でる。
      「ホント。そういうところはホノカそっくりだなぁ~。そうやって彼氏君も落としたのかい?」
      「……ヒミツ」
      ふと私とお父さんの間に風が吹き、散っていた花びらが舞い上がる。
      「なぁ、、、その、ホマレ?」
      お父さんが おっかなびっくりに私の名を呼ぶ。
      「ちょっと走らないかい? お前も分かるかもしれないが、バイクに乗ると言葉を交わさなくても気持ちが伝わると思うんだ」
      「俺の走りで気持ちをお前に伝えたい。ーーだから」
      お前の気持ちを俺にぶつけてくれないか?
      「分かった」
      私はぐちゃぐちゃになったメイクをジャケットの袖で拭う。
      「私の気持ちを伝えるね」
      「おう! どんと来い」
      「私速いよ~♪」
      お父さんと今までの時間を取り戻すように語り合う。

      ~~~~
      「ちなみに、お前のお婿さん。俺の義理の息子はバイクに乗ってるのかい?」
      「うん。私よりも速いよ♪」
      「なにぃ! それは聞き捨てならんな~!」
      「相棒は何だ! 1000トリか? まさかR1か?」
      「H2~」

      桜の名所に親子のエキゾーストノートが響き渡る。
      父が前に、娘が前に。
      舞うは花びら、バージンロード。
      2台のVTRがラインをクロスさせ走る。
      今やっと。その手に然りと勝利を掴んで……


      #VTR1000F #海刊オートバイ #俺RIDE #私RIDE #東○海平 #(ヽ´ω`)

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