スタータークラッチとは?故障の原因や交換方法を解説
「スターター始動時にモーター音がする」
「エンジンをかけたときに金属音がした」
そのような症状が起こったときは、スタータークラッチの故障が考えられます。
スタータークラッチとは、セルモーターの動力をコントロールする働きがあり、不具合が生じるとエンジンがかからなくなることもあるほど非常に重要な役割を担っている部品です。そこで、この記事ではスタータークラッチの故障の原因や交換方法について解説していきます。
スタータークラッチとは
セルモーター式のバイクでは、エンジンを始動させる際にモーターの回転力をクランクシャフトへと伝達させる部品として、スタータークラッチが組み込まれています。別名「スターターワンウェイクラッチ」とも呼ばれ、セルモーターを使用するバイクには大事な部品です。
スターターは、「セルモーター」「減速ギア」「ワンウェイクラッチ」の3つで構成されており、エンジンを止めた状態でスタータースイッチを押しセルモーターが回転すると、減速ギアで回転トルクをあげながらクランクシャフトへと回転力を伝達することでエンジンを始動しています。
エンジン始動後は、クランクシャフトがセルモーターの回転速度を超えると、クランクシャフトからセルモーターへの伝達が遮断される仕組みになっています。
スタータークラッチが故障してしまうのはレアなケースですが、経年劣化によりトラブルの発生リスクが高くなります。スタータークラッチが故障してしまうと、エンジンをかけられなくなるため、早めに異変に気付くことが大切です。
スタータークラッチの故障原因&症状

スタータークラッチが故障してしまう原因と、故障時に現れる症状について詳しく見ていきましょう。
スタータークラッチの故障原因
スタータークラッチが故障する主な原因は以下の2点です。
スタータークラッチが故障したときの症状
スタータークラッチが故障したときには、以下のような症状が現れることがあります。
これらの症状が発生した際には、スタータークラッチの故障を疑ってください。
スタータークラッチが故障してしまうと、本来セルモーターからクランクシャフトへ伝達される回転力が伝わらなくなってしまい、スタータースイッチを押してもセルモーターだけが空回りするため異音が発生してしまうのです。
また、一時的にセルモーターの回転力がスタータークラッチからクランクシャフトへ伝わったものの、すぐにその動力が外れて空回りすると金属音が発生します。
エンジンがかからないからといってセルモーターを回し続けてしまうとセルモーターに負担がかかり、故障につながることもあり得ます。そこで、普段と異なる症状が出たときは無理に動かさずに速やかに点検することが大切です。
スタータークラッチの交換方法
ここまで、スタータークラッチの症状について解説してきましたが、必要に応じて部品の交換が必要になります。ここでは、部品交換のやり方と費用について詳しく紹介していきます。
バイクショップに依頼した場合
スタータークラッチの交換にかかる費用は、部品代込みで約5万円が相場です。セルモーターが故障してしまった場合には、セルモーターの交換も必要となりさらに修理費が高くなることもあります。
自分で交換する方もいますが、ケースやフライホイールを外す必要などもありバイクの構造を十分に理解していないとスムーズに作業を進めるのが困難です。また、正しく交換しなければバイクの故障の原因にもなりかねないため、ショップや専門店に依頼するのが安心です。
自分でおこなう場合
スタータークラッチの交換方法は、以下のとおりです。
交換時の注意点がいくつかあります。まず、スタータークラッチを取り外す際にエンジンオイルで出てくるため、必ずエンジンオイルを抜いておいてください。また、カバー類を取り外すときに、固く締まっているボルトの頭をつぶさないためにも大きめの工具で外すようにしましょう。
スムーズに作業をおこなうためにも、専門工具を準備しておきます。フライホイールを留めているボルトを外そうとしたときにと、クランクまで一緒に回ってしまいボルトを外せなくなるため、供回りを防ぐための「プーリーホルダー」という特殊工具を使うと便利です。
また、取りつける際にも、「トルクレンチ」という専門の工具が必須です。
自分でスタータークラッチを交換することは可能ですが、専用工具やある程度の整備技術が必要になるため、無理をせずショップや専門店に依頼して適切に整備するようにしてください。
まとめ
今回はスタータークラッチの故障の原因や症状について解説してきました。スタータークラッチはエンジンを始動させるために必要な部品です。スタータークラッチが故障してしまうと、エンジンがかからずバイクを動かすことさえできなくなります。
スタータークラッチが故障してしまうのはレアなケースですが、エンジン始動時に異音がしていないかを日々確認することで、故障の早期発見につながります。
異音が発生して症状が現れた際は、セルモーターの故障を併発させないためにも、なるべく早くショップや専門店に整備を依頼するのがおすすめです。
本記事は、2020年5月28日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。