バイクのクラッチのエア抜きが必要!その原因となるエア噛みや対処方法を解説
クラッチが戻りにくくなったり、シフトチェンジがしづらいときなどは、バイクにエア噛みが起こっていると考えられます。
バイクがエア噛みを起こしてしまった場合、解決策としてエア抜きを行なう必要がありますが、そもそも不調の原因は本当にエア噛みが原因なのか、また、いざエア抜きを行なおうにもどのようにすればいいのかと、判断が難しい場面が多く出てくるでしょう。
この記事では、バイクのクラッチのエア抜きの方法と、代表的な原因であるエア噛みについて詳しく解説しています。エア抜きには、感覚的なポイントがたくさんありますので、これから作業をする方はぜひ本記事をチェックしてみてください。
クラッチのエア抜きが必要となる「エア噛み」とは?
エア噛みとは、クラッチやブレーキにエアが混入し、シフト操作やクラッチに違和感が生じる現象です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの症状は、エア噛み以外の原因で起こることもあります。ですが、ほとんどのケースはエアの混入が原因です。そしてなかには、エアが抜けにくい設計のバイクもあります。クラッチがうまく戻らなければ、当然のことながら運転にも支障が出ます。そのため、エア噛みと思われる症状に気付いたら、すぐに整備や修理をしてください。
クラッチのエア噛みの原因とは?

クラッチのエア噛みには、以下のように非常に多くの原因があります。
オイルの劣化
沸点が非常に高いオイルには、摩擦によって高温になりやすく、一度沸騰すると気泡でエア噛みが生じやすくなる特徴があります。また、オイルの劣化によって水分が蒸発すると、クラッチの圧力を阻害するペーパーロック現象が起こり、その結果としてエア噛みが起こる場合もあるのです。
そのため、2年に1回の車検のときには、劣化したオイルを新品に必ず交換するようにしてください。
ゴムパッキンからのオイル漏れ
ゴムパッキンからオイルが漏れると、クラッチフルードの粘度が高くなってしまいます。そしてピストンの戻りが悪くなった結果として、半クラッチ状態になることもあるのです。
オイル漏れが原因でクラッチに不調が生じた場合、クラッチプレートの劣化もしやすくなります。また、オイルの入れすぎでもクラッチの切れに影響がありますので、注意をしてください。
クラッチフルードの劣化
クラッチフルードは、ブレーキのように高温にさらされることはありません。しかし、長きに渡って放置をすると、真っ黒に変色することでスレイブ側のゴム部品やクラッチマスターに悪影響をおよぼす場合もあります。そうすると、フルードの漏れやクラッチが切れないといった症状を起こす可能性も出てきます。
その他の原因
クラッチのエア噛みには、他にもたくさんの原因があります。例えば、クラッチやブレーキ周辺の作業中にエアが混入した場合も、当然同じ症状が起こります。マスターシリンダーやレリーズシリンダー内でバネが正しい位置に戻らないまま縮んでしまった場合も、エア噛みによく似た症状が起こります。
また、レリーズシリンダーのバネを縮めたままにすると、クラッチの遊びが大きくなることによる切れの悪さや、ペダル自体が戻らなくなるのもよくある現象です。
バイクのクラッチのエア抜きの方法とは?
バイクのクラッチのエア抜きは、基本的にブレーキと同じ要領で進めていきます。この作業をするときには、最初に以下のものを用意してください。(車種によって異なる場合もあります)
マスターシリンダーにウェスを巻く
この作業をするときには、ブレーキフルードでバイクの車体を汚さないように、必ずマスターシリンダーの周囲にウェスを巻きます。そのため、ウェスはなるべく、薄手でシリンダーに巻きつけやすい長さのものを用意してください。
マスターシリンダーの蓋を外す
ウェスをしっかり巻きつけたら、マスターシリンダーの蓋を取り外します。カウルが邪魔でうまく作業できないときには、ビス部分がなめてしまうことを防止するためにシリコンスプレーをかけたあと、短いドライバーを使ってみてください。
ビスが外れたら、液垂れに注意しながらゆっくり蓋を外します。このときに、ダイヤフラムがくっついてくることがありますので、注意をしてください。
キャリパのブリーダーボルトにホースつなぐ
次は、キャリパのフリーダーボルトのキャップを外します。その後、回しやすいところにメガネレンチをセットしてください。キャップがあった部分にボルト径に合ったホースを装着し、ホースの先を廃棄処理用の空き瓶にセットします。この作業ではエアの確認を行ないますので、ホースやチューブはなるべく透明なものがいいでしょう。
エア抜きをする
ここからエア抜きを始めます。まず、クラッチを握った状態でゆっくりメガネレンチを動かし、ボルトを緩めていきます。そうすると、チューブのなかにブレーキフルードが流れてきます。そこで一度ボルトを締めると、チューブ内にエアが入っていることがわかると思います。この確認ができたら、以下の作業を何度も繰り返します。これが、エア抜きの一連の流れです。
フルードが減ってきたら足す
この作業をしていると、チューブを通して古いブレーキフルードが瓶に流れます。そのため、ときどきマスターシリンダーを確認して、水位が減ってきたら、最初に用意したフルードを注いでください。ここでの注意点は、エアが入らないように静かに入れることです。
エア抜き完了
エア抜きが終わったら、マスターシリンダーの蓋を閉じます。そしてビスを締めたら、パーツクリーナーを使ってキャップまわりをきれいに拭いてください。最後に、以下のチェックをして作業完了となります。
クラッチのエア抜きやブレーキフルードに関する作業をより詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてみてください。
まとめ
バイクの走行にも大きな支障をもたらすエア噛みが生じたら、穴をあけた空き瓶や耐油チューブなどを使って、フルード内の空気を逃すエア抜きを行なってみてください。簡単な工具で行なえるこの作業は、クラッチを握る感覚さえつかめば、初めてバイクのメンテナンスをする方でも容易に実践できるでしょう。
本記事は、2020年6月29日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。