SVエンジンとの違いは?バイクのOHVエンジンの仕組みや構造について
エンジンタイプによって、走行性能にも変化があります。ここではレトロバイク等に搭載されていたOHVエンジンについてクローズアップしました。OHVエンジンの前身となったSVエンジンとの比較を交えてまとめています。
OHVエンジンとは
「オーバー・ヘッド・バルブ」の頭文字を略した言葉です。エンジンの吸排気弁(バルブ)を開閉させるための機構をシリンダーヘッドの上に備えたものです。日本では「頭上弁式」と呼ばれます。かつては国産バイクにも搭載されていましたが、現在ではあまり見られなくなりました。しかし、ハーレー・ダビッドソン等の大排気量のクルーザーでは現在も採用されています。
OHVエンジンの構造
エンジンが動くためには、ガソリンと空気の混合気をシリンダーに送って爆発燃焼させ、その際に発生したガスを排気させるという一連の動きが必要になります。この吸排気のためにそれぞれのバルブの開閉が必要になります。OHVエンジンはプッシュロッドと呼ばれる長い棒を通じてロッカーアームを作動させ、バルブの開閉に繋げる構造です。OHVに似た機構で、OHCエンジンがありますが、こちらはカムシャフトをロッカーアーム部に取り付け、チェーンと歯車の噛み合わせによってバルブの開閉に繋げる構造をしています。
OHVエンジンのメリット
米国製のバイクの一部車種では現在でもOHVエンジンが搭載されています。ここで気になるのは「OHVを搭載することのメリット」ではないでしょうか。先に説明した構造でお気づきの通り、たくさんの部品を介してバルブを開閉させる仕組みですので、OHVエンジンは高回転を期待することは出来ません。
その代わり、ロッカーアームに固定されたプッシュロッドが直接クランクを動かす仕組みですので、吸排気バルブの開閉リズムが安定し、低速時のトルクは他のエンジンに負けず劣らずです。比較的低コストでエンジンを製造出来るのもメリットだと言えます。
SVエンジンとの違い
ここでもう一つの「古典的エンジン」と言われるSVエンジンとの違いを説明します。SVエンジンは「サイドバルブ」の略で、OHVエンジンの前身です。側弁式等と表記されることもあります。SVエンジンは、吸排気バルブがピストンの上でなく、シリンダーの横に並び、上向きに配置されていることと、カムシャフトの動力で直接駆動するのがOHVとの大きな違いです。
部品が少なく単純な機構でしたが、構造上熱損失が大きいというデメリットがありました。また、サイドバルブというレイアウトからエンジン回転数やトルクパフォーマンスに大きな影響があり、後にOHVが主流になっていきました。

まとめ
OHVエンジンは低速時に力強く安定した走行が出来るエンジンです。また、現在でも搭載バイクが存在します。この他にも、現在主流であるDOHC、SOHCといったエンジンとの違いや特徴を調べ、バイク選びの参考にしてみましょう。
◎タイプ別エンジンの特徴
DOHC =ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト
シリンダーヘッドの上にカムシャフトがあり吸気、排気のバルブを駆動させるためのカムシャフトが1本ずつあるタイプのエンジンです。高回転高出力型のエンジンで、カムが直接バルブを押す直打式と、カムがロッカーアームを介してバルブを開閉するロッカーアーム式があります。
SOHC/OHC =(シングル)オーバー・ヘッド・カムシャフト
ヘッドの上にカムシャフトがあり吸気・排気のバルブを1本のカムシャフトで駆動しています。カムシャフトが1本しかないため、シリンダーヘッドが小さく、小型で軽量なタイプのエンジンです。エンジンに求められる性能に応じて、1気筒あたりに2バルブ、3バルブ、4バルブと様々なバリエーションがあるのも特徴です。
OHV =オーバー・ヘッド・バルブ
カムシャフトがエンジンブロックの部分にあり、プッシュロッドというシャフトが伸びてバルブを駆動するタイプのエンジンです。古い形式のエンジンで、ハーレー・ダビッドソンに代表されるアメリカのバイクは、この形式のエンジンを採用したものが今でも製造されています。構造が単純でメンテナンスが容易、さらに独特のリズム感があって、味わいある形式のエンジンです。
本記事は、2016年9月16日時点の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。