80年代の中頃から90年代の前半まで、ホンダ4サイクルスポーツの中心はV型エンジンを搭載したモデルだった(CBの名前は単気筒と並列エンジンにのみ使われていた)。CBシリーズは、ラインアップを減らしはしたが、その血は確実に受け次がれていた。そして90年代に入り、ネイキッドブームとともにCBは、再びホンダスポーツバイクの中心的存在となった。
その第一弾が。1992年に登場し、大ヒットとなったCB400SFである。その高性能と信頼性、日本の道路事情にマッチした大きさやパワーによって多くの人から支持を受けた。その後、燃料供給がインジェクション化され、ヘッドに可変バルブシステムのVTECを採用する等、数々の先進技術を取り入れながら現在も人気のロングセラーとなったのである。
もう一台はCB1000SF。プロジェクトビッグワンと名付けられたこのマシンの開発コンセプトは、大きなマシンを操る感動性能を有すること。その後、排気量を1300ccとして変更を加えられた3代目の現行モデルは、日本の道路事情のなかで乗りやすく、楽しく走ることの出来るビッグバイクとして生まれ変わり、ビッグバイクのスタンダードとなった。
60年代に世界の頂点を極めたCB750フォアと最新のCB1300SFは、同じ4気筒エンジンを搭載したネイキッドスタイルのマシンだが、その位置づけは異なる。世界最速のスーパースポーツであり、フラッグシップだったCB750フォアに対し、CB1300SFは、誰にでも乗りやすい、オールラウンドなモデル。しかし、ひとたび走り出せば、ライダーを同じように興奮させる。
感動を与えてくれる走り、それこそが50年間、一度も耐えることなく受け継がれてきたCBの伝統なのである。