バイクのスライドピースとは?破損したときのリスクと交換方法
「走行中に異音がする・・・」
「唸ってばかりで全然スピードが出ない(変速しない)」
最近、スクーターの調子がおかしいと感じてはいないでしょうか?
その症状の原因は、スライドピースの破損かもしれません。
そこで今回は、バイクのスライドピースとはどのようなものなのか?をご紹介していきます。また、スライドピースが破損したときのリスクや交換方法も併せて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
バイクのスライドピースとは
スライドピースは、スクーターの変速機構に使われるプーリーの中にある部品です。プーリーはウエイトローラーが遠心力でせり上がってくる力を利用して変速しており、ウエイトローラーの力はランププレートが受け止めています。
ランププレートは、ウエイトローラーの力でせり上がったり引っ込んだりします。このとき、鉄製のランププレートが柔らかいアルミ製のプーリーにダメージを与えないように保護するのが、スライドピースの役目です。
スライドピースは駆動力を受け止めながらも摩耗に耐える必要があるため、耐熱性や耐摩耗性の高さが求められます。そのため、スライドピースにはエンジニアリングプラスチック(エンプラ)という特殊な樹脂が使われています。
バイクのスライドピースが破損するとどうなる?
バイクのスライドピースが破損すると、どうなってしまうのでしょうか?
プーリーは走行中の加速や減速時に大きくスライドするため、スライドピースは次第に摩耗していきます。特に、加速時はエンジンの駆動力が大きく加わるため、スライドピースに大きな負担がかかります。
もしスライドピースが破損してしまうと、ランププレートが、プーリーに動力を伝達するときに直接当たってしまい、ダメージを与えてしまいます。
その場合異音が発生するため、異音を感じたらすぐにスライドピースを点検しましょう。異音が発生している=プーリーが削れている恐れがあります。
スライドピースの破損を放置していると、プーリーのリブが削られて最終的に走行不能になってしまいます。プーリーにダメージがいくと交換が必要になりますが、その場合かなりのコストがかかってしまいます。スライドピース単体は安価なので、プーリーにダメージがいく前に、早めに交換するのが得策です。
バイクのスライドピースの交換方法

バイクのスライドピースが破損してしまったときは、早めに交換しましょう。スライドピースの交換方法を解説すると、以下のような手順になります。
1. クランクケースの樹脂カバーを取り外す
プーリーにアクセスするために、まずはクランクケースの樹脂カバーを取り外しましょう。カバーが外れたら、クランクケースを留めているボルトを外し、クランクケースを開けてください。
2. プーリーホルダーとレンチを使ってセンターナットを緩める
プーリーにアクセスできたら、プーリーが空回りしないようプーリーレンチで抑え、センターナットを緩めてください。ナットを緩めたら、バラバラにならないよう慎重にプーリーを抜き取りましょう。
3. 古いスライドピースを交換する
プーリーにハマっているランププレートを取り外し、古いスライドピースを外してください。その後、新しいスライドピースに交換します。
4. センターナットを締める
新しいスライドピースをセットしてプーリーを組み立てたら、慎重にクランクシャフトに取り付けます。Vベルトが突っ張ってうまくプーリーを装着できない場合は、クラッチ側のトルクカム(後ろのプーリー)を手で押し広げると、ベルトに余裕が生まれます。
プーリーが無事に装着できたら、センターナットを絞めてください。外すときと同様に、空回りしないようプーリーレンチで抑えて作業しましょう。
5. カバーを取り付けて元の状態に戻す
センターナットを締めたら、外すときと逆の手順でクランクケースを固定し、カバーを取り付けます。最後に試走して問題なければ、スライドピース交換は完了です。
基本的には普通の工具で事足りますが、プーリーレンチだけは別途用意しておきましょう。プーリーレンチは特殊工具ですが、バイク用品店にいけば手に入るはずです。ちなみに、インパクトドライバーを持っている方はプーリーレンチがなくても作業可能です。インパクトで緩めるため、抑えなくてもプーリーが空回りすることはありません。
まとめ
今回はスライドピースが破損したときのリスクと交換方法について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
スライドピースが破損すると、プーリーにダメージを与えてしまいます。バイクに乗っていて異音や変速不良を感じたら、すぐにスライドピースを点検してみましょう。また、スライドピースには寿命があるので、「しばらくスライドピースを交換していない」という方は、異音の発生に関わらずスライドピースを点検しておきましょう。
今回ご紹介したスライドピース以外に、ウエイトローラーも消耗品です。スクーターは駆動系が摩耗すると変速に不調をきたします。定期的に点検して、いつでも快適に乗れるようメンテナンスしていきましょう。
本記事は、2020年3月26日の情報です。記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。