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仲間と走るツーリングは
新鮮な喜びがいっぱい!
「旅はひとりに限る」。そんな志向からソロツーリングを楽しむ人は少なくない。制約を受けず、気ままに行動できるソロツーリングは、バイクの持つ自由さ、開放感をもっとも実感できるもののひとつだ。しかし、仲間と行くツーリングには笑顔が絶えない楽しさがいっぱいだ。
自分のペースで走ることができない、思いつきで行動できない……。そんなことは端から承知のうえ。同じ風景、同じ時間を共有することで生まれる感動や楽しさの前には、ちょっとした制約など雲散霧消してしまう。しかも、同じように行動していても、人それぞれに感じ方や見方が異なるから面白い。
富士山麓をグルリ周遊するツーリング。定番ともいえるコースだけに、過去に旅した経験はみんな、1度や2度ではないはず。だが、見る風景、感じる空気は、だれにとっても初めてのものだ。知った道を走っていても、知った場所を訪れても、そのすべてが新鮮に感じられるのだ。
休憩したらしたで、互いの走りの評価やバイク談議でいっぱしの評論家になったかと思えば、食べ物や女性の話に盛り上がったりと、とりとめない。しかし、そんなひとときがまた妙に楽しい。コンビニの前で何時間もしゃべっている高校生と、まるで同じだ。
そんなふうだから、予定なんてあってないようなもの。気づけば、富士の山影は闇に溶けようとしていた。急速に冷えた空気が肌を刺す。だが、そこに仲間がいることで心細さはない。いや、むしろその逆だ。ヘッドライトとテールランプの灯りが絶えず視界にある安心感に、寒さもいつしか忘れていたのだから。 |