独自のサスペンションシステム、デュオレバーを装備するBMWの並列4気筒モデル、Kシリーズが排気量をアップしてリニューアル。そのネイキッドモデルが、このK1300Rである。
Rの象徴とも言える、異形と形容したくなるフロントフェイスは健在、一目でわかる存在感は圧倒的だ。フォルム自体は先代モデルを踏襲しているが、全体的にシャープになり、より精悍さを増している。
乗り手を威圧するような大柄な車体だが、ライディングポジションは意外にもコンパクト。車格から想像するほど足着き性は悪くはなく、国産ネイキッドと同等レベル。それでも低重心なおかげで、足で支えている時の不安感は、むしろ国産モデルよりも小さい方だと言えるだろう。
走り出して、すぐ感じられるのが強大なトルク。スロットルを開けると、巨体をものともせずに猛然と加速する。さすがに170馬力と感心しつつタコメーターに目を向けると、回転上昇は意外なほど鈍い。
レスポンスはあえて抑えているのだろう。低速トルクは相当太いのにギクシャクするようなこともなく、インジェクションにありがちなドン付きも皆無。スロットルワークに気を遣う必要は一切ない。
4気筒だからと無闇やたらとハイレスポンス化を狙わない、個性的な「速さ」へのアプローチがBMWらしい。また、声を大にしたいのが、コーナリングの素晴らしさ。
何も考えずにマシンをバンクさせるだけで、自在に曲がる旋回性も秀逸だが、なによりコーナリング中の安定感が抜群に高い。路面に吸い付くような接地感と、絶対的な安心感がある。知らない道の知らないコーナーでさえも、躊躇なく突っ込んでいけるほどだ。
ブレーキをかけてもノーズダイブしないデュオレバーに、最初は戸惑うかもしれない。しかし、それに慣れさえすれば、これほど恐怖感と無縁のコーナリングができるバイクを他に知らない。驚きの1台だ。
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