　このところBMWは、若返りを図ったニューモデル開発を推し進めている。それは伝統のフラットツインエンジン搭載のRシリーズも例外ではない。
　R1200STは、その名のとおりスポーツツアラーとして登場した。シャープなラインで構成されたボディは、いかにも現代的でスタイリッシュなフォルムだ。なかでも特徴的なのは、縦型2灯式ヘッドライトを採用したフロントマスクで、ウインドシールドを一体化させた個性的なデザインが目を引く。スポーツ性と快適性を両立しつつ、独自性をも表現しているのだ。
　ポジション調節のためのアジャスト機能も、もちろん採用されている。ちなみにウインドシールドは3段階、ハンドルは25mmの範囲でやはり3段階に高さを変えることが可能。シートも日本仕様の場合、800mmと780mmの2段階に調整可能だ。体格や志向、そして走る状況によって最適なポジションに設定できるのだから、使い勝手だけでなく、走る楽しさも倍加してくれるはずだ。
　3mmのストロークアップで1169ccへと排気量を拡大したフラットツインは、極低速から高トルクを発生。従来の1150RSと比べて明らかに力強い発進加速性を実現している。フラットツインのゴロリとした感覚も低回転域にわずかにあるが、全体にはスムーズなパワーフィーリングで扱いやすい。
　車体の取りまわしも軽い。乾燥重量で205kgまで軽量化を推し進めた結果、ハンドリングも非常に素直だ。フロントからグイグイ旋回していくタイプではないが、ワインディングを泳ぐように走ることができる。
　抜群の高速性はいうに及ばず、優れたスポーツ性をも加味したR1200STでなら、爽快なツーリングを満喫できる。

写真＝堤晋一　文＝栗栖国安

ほかのモデルとは一線を画す個性的なフロントマスク。フェアリングとウインドシールドに一体化したような縦型2灯式ヘッドライトは、ロービームでも2灯点灯する。

さらに進化したパラレバーが、快適な乗り心地と優れた路面追従性を発揮。中空リヤアクスルの採用でバネ下重量も軽減された。

2段階に高さ調整可能なシートはややソフトな座り心地。グラブバー兼用の大型リヤキャリア装備で、タンデムツーリングにも最適。

優れたハンドリングと衝撃吸収性を両立したテレレバー。パーシャリーインテグラルABSブレーキが安定した制動力を生む。

スケールアップしたフラットツインはスムーズで力強い。ミッションのタッチも良くなり、混雑する市街地での走行も苦にしない。

アナルグ式のスピード、タコメーターは夜間も見やすい透過光式。時計や燃料など多彩なデータを表示する液晶パネルも心強い。

全長×全幅×全高	2165×750×1220-1255（mm）
シート高	780／800（mm）
装備重量	238kg
エンジン	水油冷4サイクル水平対向2気筒
ボア×ストローク	101×73（mm）
総排気量／圧縮比	1169cc／12
最高出力	110ps／7500rpm
最大トルク	115Nm／6000rpm
燃料タンク容量	21L
燃料供給	電子制御燃料噴射
ミッション	常時噛合式6段リターン
ブレーキF	油圧式ダブルディスク
ブレーキR	油圧式ディスク
タイヤサイズF	120／70ZR17
タイヤサイズR	180／55ZR17
ボディカラー	ライトマグネシウムメタリック×グラニットグレーメタリック、ダークグラファイトメタリック×シドニーブルーメタリック、ダークグラファイトメタリック×ピーモントレッドメタリック（以上、標準色）
メーカー希望小売価格	206万8500円

試乗レポート BMW R1200ST

BMW R1200ST

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