00年のモデルチェンジ以来、快調な売れ行きを続けてきたF650GSが、この春モデルチェンジを果たした。曲線美だったボディは、R1200GSと類似性を感じさせる面構成となり、ライトの意匠もGSブラザースを主張する。フレームは、ツインスパーからトラスのスペースフレームへ。エンジンは、水冷単気筒から並列２気筒800㏄へと変更され、まさにビッグチェンジ。え？ 650じゃないの。そう、800なのです。
体に搭載。最高出力はSTなどの85馬力から71馬力へと、チューニングも変更されている。
跨ってみると、シート先端がきれいに絞られ、足着き性はじつに良い。ハンドルバーの幅も適度でフィット感抜群。 エンジンをかけると、当然ながら単気筒時代のゴソゴソ感がなく、スムーズだ。そして音もフラットツイン同様の排気音を奏でる。低中速を重視した、というパワーユニットは、タウンスピードでじつに扱いやすい。単気筒より極低回転までスムーズだから、動き出せば、もう2000回転を割ってもクラッチレバーを気にする必要がない。
２気筒化メリットは大きいのだ。
なにより、単気筒時代より、進化したバイク造りにより、明らかにマスが低く集中している。実際、車重も単気筒同等だから、２気筒は重いなんて言い訳不要なのである。リヤフレーム内にタンクを装備する点など、先代同様ながら、全体のバランスを変更した進化の証しだろう。
とくに速度を上げた時の一体感を伴ったハンドリングのたしかさ、そしてエンジンのパワー特性と、人間の感性の添い方。このいずれもが絶妙でうれしい。
路面からのショックをやや角のある衝撃で伝える場面もあったが、総じて乗り心地もよく、総合点で高い満足度を与えてくれる。さらに速度を上げ、ヨーロッパ的な走りをしても同様だった。120㎞／hぐらいで南アフリカの道を走ると、F650GSが持つ実力がわかる。フロント19インチをものともしない旋回性は、峠道で武器になる。近代のGSが舗装路で高い性能をだし、そのイメージのままオフロードに入ってゆける、という部分を踏襲。まとまっているのだ。
風洞実験で磨かれた快適性も優秀。総じて、ビギナーからベテランまでだれにでも薦められるバイクだ。よく聞く言葉だが、本当にそんなバイクは世の中に少ない。F650GSはその数少ない一台だ。
アクティブラインで100万ちょい、ABS、グリップヒーター、センスタ付きのハイラインで120万ちょい。価格も単気筒なみなのだ。
低いスクリーンながらプロテクション効果抜群。胸元まで快適ゾーンを広げてくれるのだ。スクリーンの形状も快適さに大きな役割を果たしている。
