ビューエルが見せた
新世界ディスカバリー
　06年モデルのビューエルにユリシーズ・XB12Xが加わった。代表のエリック・ビューエルは、このモデルのコンセプトについて「旅は、そして楽しみは、舗装路の終点で終わりを迎えなければならない必然はない」と、明快なコメントを発している。そう、ユリシーズと名付けられたこのバイクは、多少のダートならそのままツーリングを続けよう。そう投げかけているのだ。
　それを具現化するためにユリシーズには数多くの特徴をもっている。まずライディングポジションを造るハンドル＆ステップ、そしてシートだ。幅が広く高くセットされたハンドルバー。また、ステップはファイアーボルトシリーズと比較すると明らかに前進し、かつ低い位置にある。同時に、シートも広く厚手のフォームとなり、足つき性はやや点数を下げたものの、座り心地はロングツーリングでの快適性を上げたことは間違いない。
　また、トリプルクラウンから生えたフロントフェンダーやこのビューエル専用に設計されたダンロップD616のフェイスは、デュアルパーパス系ツアラーのそれを思わせる。しかし、多くのビッグオフ系ツアラーが採用するフロント19インチホイールを採用せず、前後とも17インチを履く。また、オールロードツアラーとして必須のサスペンションストロークをフロント162mm、リヤ162mmとしている。スイングアームも従来モデルよりも50mm長いものを新採用し、これにより、ハンドリングは軽快で一体感をもったまま安定感も身につけている。
　まさに、ロードスポーツをそのままリフトアップしたようなユニークなスタイルは、これまでのツアラーとは一線を画したツアラーとして、秋のモデルラッシュに強烈なカウンターパンチを入れることになる。

文＝松井　勉　写真＝松川　忍

ビューエル初のLED採用テールランプ。オフロードの振動にも球切れせずタフであれという思想だ。

ナックルガード付きハンドルバーは高めの設定。幅も広く、いわゆるオフロードバイク用と似ている。

XB12Sよりも45mm長い165mmのストロークのフロントフォーク。防風効果の高いスクリーンも持つ。

シート下にもアクセサリーパワープラグを持ち、電熱を使ったヒーテッドアパレルにも対応する。

一人乗り、二人乗りではラゲッジラック、タンデム時はシートバック。回転させて一枚三役のラック。

50mm長いスイングアーム。ステップもワイド化。リヤサスには油圧式プリロードアジャスターを装備。

メーター左上にアクセサリー電源を取れるソケットも装備。ナビゲーションなどの追加装備に役立つ。

ダンロップD616の特徴的なトレッドパターン。ロードを攻めてもグリップ不足は感じなかった。

全長×全幅×全高	2158×892×1250（mm）
シート高	841mm
ホイールベース	1370mm
乾燥重量	193kg
エンジン	空冷4サイクル45°Vツイン
ボア×ストローク	88.9×96.8（mm）
総排気量	1202cc
燃料タンク容量	16.7L
フレーム	アルミニウム製、ユニプランナーシステム
ミッション	コンスタントメッシュ5速リターン式
サスペンションF	ショーワ製倒立式フルアジャスタブル
サスペンションR	ショーワ製フルアジャスタブル
ブレーキF	ZTLシステム、6ピストンキャリパー、375mmステンレススチールフローティングローター
ブレーキR	シングルピストンフローティングキャリパー、240mmステンレススチールローター
タイヤサイズF	ダンロップD616F 120/70-17
タイヤサイズR	ダンロップD616 180/55-17
ボディカラー	バリケートオレンジ、ミッドナイトブラック
メーカー希望小売価格	150万円