まさしくモタードを思わせるファイターだ
このスーパーデュークは、オフロードスポーツの分野で活躍しているKTM初の本格ロードスポーツモデルである。そもそもエンデューロ用に開発されたVツインエンジンを、同社のアドベンチャーに似たパイプワークのフレームに搭載するという構成は、見るからにスーパーモタードレプリカのストリートファイターといったたたずまいである。　またがってみると、恐れていたとおり足着き性はかなり悪い。161cmのボクでは片足をつま先立ちにして、もう片方がやっとステップに置けるといったありさまだが、ここまで不安がないバイクは珍しい。軽量なことに加え、バランスがいいのだ。またライポジはじつに自然で、ハンドルの幅や位置も含めてピッタリくるし、自由に体重移動もしやすい。　エンジンは低速域から十分なトルクを発しているが、決して粘りがあるとはいえない。2000回転ではスナッチ気味だし、3000回転でも味わいなんか期待しないほうがいい。スロットルワークにも過敏に回転変動して、ギクシャクしがちだ。　ところが、自分自身がスポーツモードになったらどうだろう。トラクションをつかみやすく、スロットルを開けた分だけシャープにレスポンスし、じつにアグレッシブなのだ。とくに5000回転からどんどんトルクは立ち上がるし、それでいてピーキーではなく扱いやすい。まさにスポーツエンジンだ。　ハンドリングも、またがったときの素性そのままに素直で軽い。このカテゴリーで乾燥重量179kgは異例の軽さで、それはまるでオフロードバイクのようだ。リヤサスのストロークは大きく、なおさらスーパーモタードを思わせるハンドリングを実現しているようにも思われる。伝わってくるのはまぎれもなくKTMスピリットなのである。
写真・文=和歌山利宏

アナログ式タコメーターと多機能スピードメーターを融合。KTMならではのオレンジがライダーのやる気を盛り立ててくれる

ラリーシーンで実証済みの軽量コンパクトLC8エンジンをベースに、オンロード用にモディファイ。レスポンスのよさとハイパワーを両立しながら、地球環境まで考慮されている

ブレーキユニットにはブレンボ製4ポッドキャリパーとφ320mmディスクローターを採用。強烈なストッピングパワーを発揮する

全長を575mm短く設計したことで、軽量かつ高剛性を実現したテーパードスイングアーム。リヤのショックユニットはスイングアームにダイレクトマウントされている

シート高	855mm
ホイールベース	1438mm
乾燥重量	184kg
エンジン	水冷4サイクルDOHCV型2気筒
ボア×ストローク	101.0×62.4（mm）
総排気量／圧縮比	999cc／11.5:1
最高出力	120ps／9000rpm
最大トルク	100N・m／7000rpm
燃料タンク容量	15L
燃料供給	電子制御フューエルインジェクション
ミッション	常時噛合式6速リターン
ブレーキF	ダブルディスク
ブレーキR	ディスク
タイヤサイズF	120／70ZR-17
タイヤサイズR	180／55ZR-17
ボディカラー	オレンジ、ブラック
メーカー希望小売価格	168万円（国内販売は限定50台）

試乗レポート KTM 990スーパーデューク

KTM 990スーパーデューク

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