　YZFーR1は、国産リッタースポーツのなかで、もっとも濃いキャラクターといっていいかもしれない。04年型で大きく生まれ変わり、レースを視野に入れたマシンになったのだが、サーキットよりもワインディングで操る面白さを優先した造り込みは、ライダーとマシンの関係をこのうえなく密にしている。
　マシンからのフィードバックが豊かで、コントロールが如実にマシンに伝わり、ライダーをその気にさせる。エキサイトメントが追求されたマシンなのだ。
　そんなR1がモデルチェンジを受け、標準モデルに加え、上級モデルのSPが設定された。SPには前後オーリンズのサス、マルケジーニのアルミ鍛造ホイール、バックトルクリミッターを採用。サーキット性能を高めているものの、過去のフルチェンジの前例からすると、さほど変更内容が大きいわけではない。
　ところが走りの変貌振りには驚かされた。とにかく軽快でスムーズに向きを変えていく。しかも寝かし込んだときも、フロントタイヤに負担をかけることなく素直に曲がり込んでいく。スロットルを開けても、穏やかにトラクションを受け止める。トラクションもつかみやすく、フル加速時にもさほど暴れない。
　フレームをはじめ、車体剛性バランスのチューニングや、スイングアームの16mmロング化などの効果は期待以上に絶大だ。
　とにかく優しくスムーズ。濃厚な個性を持つことには変わりがないが、洗練され、フレンドリーになる一方、よりワイドレンジに、エキサイトメントに楽しめるものとなっているのだ。

ガイドバルブ長を5mm短縮するなどして吸入効率をアップ。電子制御にも手を加え、コントロール性を高め3ps最高出力を向上。

液晶パネルを設置するメーターのデザインに変更はないが、スタータースイッチで操作できるストップウォッチが新設された。

スイングアームは、16mm長くなった。SPのリヤショックはオーリンズ製で、車高調整はボトムリンクのロッド長を変えて行う。

チタンマフラーを採用するのは従来型同様だが、SPはサイレンサーの表面処理をチタン製らしいものとして質感を高めている。

横置き2灯式のヘッドライトはR1のアンテンティティだ。プロジェクターランプとマルチリフレクターの組み合わせに変更なし。

SPモデルのフロントフォークにはオーリンズを採用。タイヤはピレリのディアプロコルサが標準装着となる。

全長×全幅×全高	2085×720×1105（mm）
シート高	835mm
ホイールベース	1415mm
乾燥重量	173kg（＊SPは174kg）
エンジン	水冷4ストロークDOHC5バルブ、並列4気筒
総排気量	998cm³
ボア＆ストローク	770.×53.6（mm）
圧縮比	12.4：1
最高出力	175ps／12500rpm
最大トルク	10.9kgm／10500rpm
燃料タンク容量	18L
タイヤサイズF	120／70ZR-17
タイヤサイズR	190／50ZR-17
カラー	YZF-R1／ディープレッドメタリック、ディープパープリッシュブルーメタリック、ブラックメタリック、レディッシュイエローカクテル（50周年記念カラー） YZF-R1 SP／ブラックメタリック

試乗レポート ヤマハ YZF-R1 YZF-R1 SP

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