　FZ1 FAZERは、5年前に登場したFZS FAZERの後継モデルなのだが、現行型R1のエンジンを、これまたR1同様のアルミ鋳造フレームに搭載するという構成となり、走りも画期的な進化を見せている。
　ニューFZ1には、カウル付きのFZ1 FAZERと、ネイキッドのFZ1があって、ハンドリングはFZ1がクイックでシャープなのに対し、この FAZERはツアラー向きともいえる落ち着きがあるのだが、それでもコーナリングのポテンシャルはなかなかのものだ。
　コーナリングラインは正確に思いどおりにトレースでき、ラインを修正できる自由度も高い。なにより、マシンからのフィードバックはダイレクトに伝わってくる。やはりR1直系だ。
　エンジンは、力強く、ガッツがある。ただ、トルクが太いだけではなく、回転に力強さがあるのだ。それだけに、スロットルレスポンスにも強力に反応しすぎるきらいはあるが、これはファイターらしいホットなイメージを演出しているかのようで、ボクは嫌いではない。
　6速で100km／hだと4000rpmで、そのときトルクフルだから、追い越し加速でもそのまま余裕しゃくしゃくだ。レッドゾーンが始まるのは12000rpm（R1は13750rpm）からで、そこまで骨太感を保ったまま気持ちよく使いきることができる。
　 FAZERは、R1のポテンシャルを味わいながら、街乗りからワインディング、そしてツーリングまで、快適にスポーティに楽しめるバイクなのだ。

ライダー・文＝和歌山利弘

FAZERはフレームマウントのフロントカウルを装着。2灯式ヘッドライトはR1イメージだ。ラムエアシステムは採用されていない。

左側にデジタル表示の速度計、右側にアナログ式回転計を配し、キーオンでバックライトが浮かび上がるフェードイン機能を装備する。

現行型R1ベースのエンジンは、クランクマスを40％アップ、バルタイを見直し、圧縮比を12.3から11.5に落としている。

サイレンサーはヘキサゴン形状のショートタイプで、三元触媒が内蔵される。サイレンサー手前にはラムダセンサーが設けられる。

フロントフォークはφ43mmの倒立型。減衰力は圧側を左側フォーク、伸び側を右側フォークで発生させる。これはM1でも実績のあるシステムであるという。

スイングアームは、R1同様、CFアルミダイキャスト製で、トラス型形状を持つ。アーム長は629mmとヤマハ車のなかで最長だ。

全長×全幅×全高	2140×770×1205（mm）
シート高	815mm
乾燥重量	199kg
最大出力	150ps／11000rpm
最大トルク	10.8kgm／8000
タンク容量	18L
ブレーキF	ダブルディスク320mm
ブレーキR	シングルディスク245mm
タイヤF	120／70ZR17
タイヤR	190／50ZR17

試乗レポート ヤマハ FZ1 FAZER

ヤマハ FZ1 FAZER

試乗レポート　ヤマハ　FZ1 FAZER

ヤマハ　FZ1 FAZER