　エンジン、シャーシ、駆動系を一新したブレヴァは驚くほど斬新だ。しかし、そのたたずまいと乗り味は見事なまでにモトグッチらしさを継承している。
　モトグッチのキーである空冷OHVエンジンがタンク両脇から生えるようすはそのまま。しかしまたがってみると、アップライトなセパレートハンドルや、円と四角を重ね合わせ微妙な遠近感を持たせたデザインが秀逸なメーターパネルなど、視覚的にはじつにアバンギャルドにアップデイトがなされている。
　エンジンを始動したときの鼓動感は紛れもなくモトグッチのそれで、発進時の厚いトルクに守られるように後輪をけり出す感覚にも同じように宿っている。次々シフトアップを重ねると、クラッチを繋いだ瞬間のスナッチが、従来モデルよりも明らかに少なく、ぎくしゃく感が減っているのが分かる。峠道に入り込み、シフトアップ、ダウンの回数が増えると、バイクとの一体感を高いものにしてくれる。
　それには、剛性感を高めたシャーシも一役買っている。たとえば、コーナリング中に路面のうねりを超えても、サスペンションが見事に入力を吸収し、エンジンがブルンとするような挙動がない。ひと言でいえば、モダンなシャーシだ。
　エンジン回転を4000回転あたりにキープしてアクセルを多めに開けたときにバイクを揺さぶるような加速感は、五感をダイレクトに刺激する。モトグッチならではの快感だ。そして、増速感を楽しみながら、コーナリングをスパスパ決めてゆく快感にさらなる磨きがかかっている。パニアケースなどを装備してもこのハンドリングとは！
　個性的なエンジン、乗りやすいハンドリング。楽しい時間を過ごせるこのバイクに、ヒットの予感を感じるのであった。

写真＝松川忍　文＝松井勉

今回の試乗車には、デビューを記念して特別価格で提供されるパニアケース、トップケースを取り付けた状態での試乗となった。峠道で邪魔に感じることはない。剛性感も高まっている。

国内仕様はこのスクリーンが標準装備となる。効果的に風圧をキャンセルし、視覚的な部分でもじつにスマートな作り。

アップライトな合金製セパレートハンドル。左スイッチには、トリップの切り替えスイッチが備わる。

左から回転、速度、燃料計が大小の円形の中に収まり、多機能デジタルメーターが長方形の画面の中に収まる。見やすさも悪くない

ユーロ3に適合した新エンジン。空冷OHV2バルブと構成は同じだが、内部は大幅にアップデイト。

片持ちになったリヤスイングアーム。従来からリンクを使ってシャフトのクセを緩和してきたが、このシステムは新しい手法を採用。

全長×全幅×全高	2130×810×1310（mm）
シート高	800mm
ホイールベース	1500mm
乾燥重量	233kg
エンジン	空冷4サイクルOHV2バルブV型2気筒
ボア×ストローク	92.0×80.0（mm）
総排気量／圧縮比	1064cc／9.8
最高出力	61.8kW／7800rpm
最大トルク	86.5Nm／6000rpm
燃料タンク容量	24L
燃料供給	電子制御燃料噴射
ミッション	常時噛合式6段リターン
ブレーキF	油圧式ダブルディスク
ブレーキR	油圧式ディスク
タイヤサイズF	120／70ZR17
タイヤサイズR	180／55ZR17
ボディカラー	レッド、ブラック、グレー
メーカー希望小売価格	156万円（税抜き）
※デビューキャンペーンとして、タンクバッグ／パニアケース／リヤキャリヤ／トップケースの4点を装着した特別仕様車が169万円（税抜き）で先着30台用意されている。

試乗レポート モトグッチ ブレヴァ V1100

モトグッチ ブレヴァ V1100

試乗レポート　モトグッチ　ブレヴァ V1100

モトグッチ　ブレヴァ V1100